【データで見る】犬・猫のフィラリア感染確率は?予防しない本当のリスクと対策
愛犬や愛猫と健やかな毎日を送っていく上で気を付けなければいけないのがフィラリア症です!
何となく気を付けておいた方が良いといったイメージを持つ方は多いですが、
「うちは室内飼いだから」
「去年は大丈夫だったから」
そんな油断が、実は非常に危険な賭けになっているかもしれません。
こちらのページでは実際に行われた調査のデータを元にフィラリアの本当のリスクを解説します。
あなたの愛犬・愛猫が置かれている本当のリスクを把握し、確かな予防につなげていきましょう!
目次
予防しないと危険!データが示すフィラリアの本当の感染確率
犬と猫におけるフィラリア感染の確率は、予防措置の有無によって劇的に変化します。
【犬の感染確率】データが示す驚愕の事実
岩手県獣医師会が実施した「北盛岡地区における犬糸状虫感染率の現状」調査の結果がこちらです。
予防 | 感染率 |
---|---|
未予防 | 86.2% |
不完全予防 | 13.8% |
調査の結果、フィラリア予防をしていない犬の実に86.2%がフィラリアに感染していたという結果が出ています。
また、フィラリア予防をしていても月1の投与を忘れたりした不完全な予防を行った場合の感染率は13.8%となっています。
フィラリアは適切に予防すれば確実に防げるからこそ、愛犬のためにも適切に予防することが肝心です。
こちらの調査では飼育環境別の感染確率も出ています。
調査でフィラリア感染が確認された犬のうち、3.1%が室内飼育の子でした。
このことから、外出をあまりしない室内飼育の犬でもフィラリアに感染するリスクはゼロではないことが伺えます。
また、フィラリア予防をしておらず屋外で飼育されていた犬を対象として、屋外で過ごした夏の回数別のフィラリア寄生率を比較した調査では、1夏を過ごした犬の寄生率は38%、2夏は89%、3夏は92%という結果が出ています。
この結果から、予防をせずに屋外飼育するとほぼ確実にフィラリアに感染することが見てとれます。
また、この調査では感染した犬1頭から最高150匹ものフィラリアが確認されています。
【猫の感染確率】のフィラリア感染:低確率でも致命的なリスク
猫のフィラリア感染確率は犬と比較すると低く、10頭に1頭が感染していたという調査報告があります。
また、猫は犬と比べてフィラリアに感染した場合、危険なことが多いため「感染率が低いから安心」とはいえません。
突然死のリスクも高いため、犬と同様にフィラリア予防の重要性が高いです。
フィラリア予防をしていない時のリスクなどについての詳しい情報はこちら
【最重要】なぜ予防薬の前に「フィラリア検査」が必須なのか?
フィラリア予防をするだから、フィラリアの検査をする必要なんてないと考える方は少なくありません。
ですが、予防をスタートする時のフィラリア検査は絶対に必要です。
理由は非常に単純です。
既にフィラリアに感染してしまっている犬や猫に対してフィラリア予防をしてしまうと最悪の場合、死に至ることがあります。
既に感染している場合、予防薬で体内のミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)が一気に死滅します。
その結果、血管を詰まらせてしまったり、大量の死骸でアレルギー反応が出てショック症状を引き起こしてしまうのです。
最悪の場合、死に至ることもあるので愛犬や愛猫のことを大切に思うのであれば、フィラリア予防の前にフィラリア検査は必須です。
フィラリアの検査に関する詳しい情報はこちら
予防薬は「虫除け」ではない?納得のいく仕組みと月1回の理由

どうして毎月フィラリア予防薬を与える必要があるの?
こうした疑問は多くの飼い主が持つ疑問のひとつです。
実は、フィラリア予防薬の仕組みを理解すると、この疑問は完全に解消できます。
まず、最も重要な事実をお伝えします。
それは、フィラリア予防薬が「駆虫薬」であるということ。
つまり、月に1回の投与で過去1ヶ月の間に蚊に刺されて体内に侵入したフィラリアの幼虫を駆除し、フィラリアが成虫になるのを防いでいるわけです。
体内に侵入したフィラリアの幼虫は、皮膚や筋肉の中で50〜60日かけてゆっくりと移動・成長します。
そして、血管に到達すると予防薬では駆除することができないため、血管に到達する前に毎月「リセット」するわけです。
月に1回の投与で、フィラリアの幼虫を駆除し、成虫になるのを防いでフィラリアが成虫になるのを予防します。
これがフィラリア予防薬が月に1回の投与が必要となる根拠となります。
「面倒だから」「忘れがちだから」という理由で投与する間隔を空けてしまうと、幼虫が血管に到達して取り返しのつかない事態になってしまいます。
フィラリアの予防に関する詳しい情報や予防薬の飲み忘れに関する情報はこちらから
「室内飼いだから」は危険!見過ごされる感染リスク
「うちの子は室内飼いだから大丈夫」という考えは、実は非常に危険な油断です!
データがその危険性を如実に物語っています。
既に紹介した岩手県獣医師会の調査でも、フィラリア感染が確認された犬のうち3.1%が室内飼育の犬でした。
では、なぜ室内飼いの犬や猫がフィラリアに感染してしまうのでしょうか?
その理由は蚊の侵入経路の多様さにあります。
- 玄関や窓の開閉時に侵入する
- 人にくっついて一緒に室内に入る
- 網戸の小さな隙間や破れから侵入する
- 換気扇や通気口から侵入する
- 洗濯物を取り込む際に紛れ込む
- 宅配便の受け取り時に侵入する
- ドアポストの開閉時に侵入する
などなど、蚊が室内に侵入する経路は多岐にわたるので、完全に蚊を遮断することは不可能です。
また、高層マンションの高層階など高い場所に住んでいれば安心と考える方もいますが、エレベーターと共に蚊が上がってくる可能性もあるので、高層階だから侵入されないといったこともありません。
注意していても愛犬や愛猫がフィラリアに感染してしまう可能性があるからこそ「室内飼いだから安全」という考えは避けるべきです。
症状が出たら手遅れ?犬と猫で異なる危険なサイン
フィラリア症の恐ろしさは、症状が現れた時にはすでに重篤な状態になっていることが多い点です。
特に初期段階では症状がほとんどあらわれないため、飼い主が気づくのが遅れがちです。
実際に犬がフィラリアに感染した時に出る症状を進行段階ごとにまとめてみました。
軽度の症状
- 散歩を嫌がる、疲れやすくなる
- 軽い咳が出る
- 食欲が少し落ちる
感染初期の段階ではこうした症状があらわれます。
この段階では症状に気づかないことも多いため、日ごろから愛犬の様子を確認して変化を見逃さないことが重要です。
中度の症状
- 明らかな運動不耐性(すぐに息切れする)
- 慢性的な咳
- 腹部が膨らむ(腹水の貯留)
フィラリアの感染が進行していくと、慢性的な咳や腹部の膨らみなど軽度な症状よりも顕著な変化があらわれます。
これ以上進行してしまうと、命に危険が及ぶ可能性もあるので注意が必要です。
重度の症状
- 呼吸困難
- 失神やふらつき
- 血尿
- 最悪の場合、突然死
フィラリアが進行し続けると、最終的に失神や血尿などの明らかな症状があらわれるようになります。
この状態になってしまうと、突然死のリスクもあるので飼い主はこの状態になる前に愛犬の変化に気付けてあげることが大切です。
猫がフィラリアに感染した時の症状は?・
猫がフィラリアに感染した場合にあらわれる症状はこちら。
- 咳や嘔吐など
- 食欲不振や体重減少
- 急激な呼吸困難
- 突然死
ただし、猫は犬と比べて症状が出ないことが多いうえに、他の病気の症状と区別が難しいことも多いです。
また、猫の飼い主にとって最も重要な事実があります。
それは、犬には有効な成虫駆除の治療法が確立されているのに対し、猫には犬のような確実な成虫駆除治療法が存在しないということ。
つまり、猫がフィラリアに感染してしまった場合、対症療法しかできないのが現実です。
だからこそ、猫におけるフィラリア予防の重要性は犬以上に高いといえます。
さらに詳しいフィラリアの症状やフィラリアの治療方法に関する情報はこちらで解説しています。
まとめ:愛犬・愛猫の命を守るために、今すぐ正しい知識で行動を
これまでお伝えした重要なポイントを整理します。
- 予防なしの犬の感染確率は86.2%という驚異的な高さ
- 室内飼いでも3.1%がフィラリアに感染
- 予防薬投与前の検査は必須
- 予防薬は「虫除け」ではなく「駆虫薬」である
- 猫には確実な成虫駆除治療法が存在しない
- 症状が出てからでは手遅れになることが多い
フィラリア症は、適切な予防を行えばほぼ100%予防できる病気です。
しかし、何も予防しなければほぼ確実に感染してしまう病気です。
予防を怠れば高確率で愛犬・愛猫の命を危険にさらすことになります。
正しい知識を持ち、確実な予防を始めることが、飼い主としてできる最大の愛情表現です。
「まだ大丈夫」「今度でいいや」という先延ばしが、取り返しのつかない後悔につながる前に、今すぐ行動を起こしましょう!