フィラリアに感染してしまった場合の治療方法には何がある?フィラリア治療を解説
犬や猫を飼われる飼い主にとって欠かすことができないフィラリア予防。予防で感染を完全に防ぐことは可能ですが、予防を忘れてしまい感染してしまうケースはゼロではありません。
そこで、こちらのページではフィラリアに感染してしまっていた場合に行われるフィラリアの治療に焦点をあてて紹介していきたいと思います。
- フィラリアの治療には一体どんな方法があるのか?
- 治療すれば完治するのか?
といった疑問にお答えしていくので、是非参考にしてください。
目次
フィラリアの症状はどんなもの?
フィラリアの感染に気付くキッカケはさまざまですが、そのひとつがフィラリアに感染している時にあらわれる症状があげられます。
フィラリアの症状にはさまざまなものがありますが、進行度別の症状の一例がこちら
症状の重さ |
症状 |
---|---|
軽症 |
無症状、軽い咳 |
中等症 |
咳、元気消失、運動不耐 |
重症 |
呼吸困難、肝臓腫大、失神、合併症 |
軽い場合はそこまで症状も現れませんが、フィラリアが進行するにしたがってさまざまな症状があらわれます。
また合併症を発症することで、血色素尿(赤茶色の尿が出る)などの症状があらわれたりする場合もあります。
これらの症状に気づいた場合には、速やかに動物病院に足を運んでフィラリアに感染しているかどうかの検査を受けて感染の有無を確認することが大切です!
フィラリアに感染した場合にあらわれる症状についての詳しい情報なら「フィラリアの症状や対策についてわかりやすく解説します!」のページでまとめています。
フィラリアの治療をしなければならない状況は?
フィラリアが体内に入ったからといって、絶対に治療を行う必要があるというわけではありません。
フィラリアの予防はフィラリアが体内に入らないように防ぐというものではなく、フィラリアの子供が体内に入っても予防薬を用いて成長する前に駆除するという方法になります。
そのため、フィラリアの予防薬の投与を忘れてしまって、体内に入ったフィラリアの子供が成長してしまった場合に、治療が必要となるのです。
参考元:フィラリア – シリウス犬猫病院
フィラリアの治療方法
フィラリアに感染してしまった場合の治療法にはさまざまな種類があります。
- 駆虫薬の投与
- 外科手術
- 予防薬の長期投与
- 対症療法
といった方法があるので、ここからは上記の治療法それぞれについて紹介していきたいと思います。
それぞれの治療法や、どの程度の費用が必要になるのかといったことまで、治療に関する情報を紹介していきたいと思います。
成虫駆虫薬を使用する治療方法
フィラリアの治療法のひとつ目として紹介するのが「成虫駆虫薬の使用」です。
これは成虫に対して効果を発揮する駆虫薬を投与することで、成虫を殺すという治療法になります。
この方法は、寄生しているフィラリア成虫に対して絶大な効果を発揮しますが、一度に大量の成虫を駆除すると、血管に成虫の死骸が詰まってしまい症状が悪化したり、突然死などのリスクも増えてしまいます。
そのため、寄生している成虫の数を見ながら数ヶ月から1年以上をかけて徐々に駆除していくことも珍しくありません。
外科手術
次に紹介するフィラリアの治療法が「外科手術」です。
成虫が心臓などに寄生しており、駆虫薬での駆除が難しいと判断されたり、合併症が発症してしまったりした場合に選択される治療法になります。
こちらは、その名の通り外科的な手法で体内からフィラリア成虫を取り出して駆除する方法です。
駆虫薬とは違って死骸が血管を詰まらせたりといったリスクはありませんが、ペットへの負担だけなく費用面での負担もかなり大きなものとなってしまいます。
また、ペットの体力的に手術に耐えられるかどうかといった判断も必要となります。
各種検査費用の他、手術費用として10万円以上の費用が掛かるケースがほとんどであるため、費用負担も大きくなります。
フィラリア予防薬の長期投与による治療
体内で成虫になったフィラリアの数が少ない場合に取られる治療法が「Slow-kill法」と呼ばれる治療法です。
こちらはフィラリア予防薬を投与しながら成虫が生むミクロフィラリアを死滅させ続け、成虫が寿命で死ぬのを待つ方法になります。
この方法は成虫の9割以上が死滅するまでに2年以上の期間を要する場合もあり、長期的な治療を行う必要があります。
また、コリー系の犬種ではこの治療法が使えないため、さまざまな条件をクリアしてはじめて受けられる治療法となります。
必要になる費用は、体重10kgの中型犬が2年治療を行うと仮定した場合。
通常のフィラリア予防薬が2年分だけで、平均34,800円ほど必要になります。
そこに検査費用や診察費用、交通費なども必要となるので合計するとそれなりの金額となってしまいます。
参考元:内科治療の大環状ラクトン
対症療法
最後に紹介するのは「対症療法」です。
こちらはペットの体内に寄生したフィラリアの摘出や駆除が難しいと判断された場合に取られる治療法になります。
当然、フィラリアの摘出などは行われないので、根本的な治療にはならないという点には留意しておく必要があります。
こちらの治療法では、フィラリアに寄生された状態のまま、あらわれるさまざまな症状に対して治療薬などを用いて症状を和らげて少しでも健やかにペットが暮らせるように処置します。
フィラリアは治療すれば完治する?
ここまで、フィラリアに感染した場合の治療法について紹介してきました。
対症療法はフィラリアの摘出などを行わないため完治することはありませんが、それ以外の方法であれば、フィラリアは完治すると考えられる飼い主の方は少なくありません。
ですが、フィラリアが寄生し、体内を成長して移動していく過程で血管内部などはダメージを受けてしまいます。
このダメージを回復させるという術は現状ありません。
そのため、体内から上記の治療法でフィラリアを摘出したり駆除したとしても、血管内部などに残ったダメージを起因とするような症状は継続するので、完治することは基本的にないと考えて問題ありません。
だからこそ、フィラリアは寄生されてから治療を考えるのではなく、寄生する前に確実に予防するということが重要です!
フィラリア治療の流れ
フィラリアに感染していた場合、治療を行う必要があります。
では、実際にフィラリアの治療を受けることになるまでの流れとはいったいどのようなものなのでしょうか?
ここからはそんなフィラリアの治療の流れについて紹介していきます。
フィラリア治療の流れを把握して、適切に治療を受けるようにしていきましょう。
フィラリア検査を受ける
フィラリアの治療を受けるにあたって、最初に行われるのは「フィラリア検査」です。
フィラリア予防の前に行うフィラリア検査と同様の血液検査の他、レントゲンやエコーなどを用いた検査を行います。
それぞれの検査の役割はこちら
- 血液検査…フィラリア感染の有無を調べる
- レントゲン検査…内臓の状態や損傷具合の確認
- エコー検査…内臓の状態やフィラリアの寄生部位の特定など
また、上記以外の検査も並行して行われることもあります。
それぞれの検査を組み合わせた結果は、今後の治療にあたっての方針決定などの重要な材料となります。
参考元:犬フィラリア症について
治療方法(治療方針)の確定
各種フィラリア検査を行った上で、どのような治療法が適しているのかというのを判断します。
この時、治療方針を決定する判断材料は、上記の検査結果だけでなく
- リスク面
- ペットの体力的な問題
- 犬種
- 費用面
- 飼い主の希望
などさまざまな要因を加味した上で医師と相談しながら決定します。
この時、治療法や治療中や治療後のケアなどについて担当医に相談しておくようにすることで、治療中や治療後のケアもスムーズに行えるようになります。
治療終了後も要観察
フィラリアの治療を行った後も、適切なケアや観察は必要不可欠です。
フィアリア治療でペットの体内からフィラリアを摘出したり駆除したりすることができたとしても、治療のダメージは少なからずペットに残ってしまいます。
当然、治療のダメージだけではなくフィラリアの寄生についてしまった血管内や臓器へのダメージも残ったままになってしまうため、治療後も適切にケアしながら状態を観察していくことは非常に重要です。
フィラリアの治療に関するよくある疑問に答えます!
ここまで、フィラリアの治療法やフィラリア治療の流れについて紹介してきました。
とはいっても、フィラリアに関する疑問はさまざまなものがあったりします。
そこで、少しですがフィラリア治療に関するよくある疑問についてQ&A形式で紹介していきますので、フィラリア治療をお考えの方は是非参考にしてみてください。
Q,フィラリアの治療には保険が適用されますか?
フィアリアの予防に保険が適用されるケースは、まずありません。
では、フィラリアの治療では保険は適用されるのでしょうか?
フィラリアの治療に関しても保険は適用されないケースが多いです。これは、フィラリアが予防することで確実に防ぐことができるためとされています。
もちろん、ペット保険の種類などによってもこうした補償対象部分に違いがあったりするので、さまざまな保険を比較検討すべきといえます。
Q.フィラリアの治療が終わった後、再発することはありますか?
外科手術などで摘出を行った場合、体内にフィラリアが残ったりしていれば症状が再発する可能性はあります。
ですが、その可能性自体はほぼないと考えて問題ないでしょう。
ただし、フィラリアの摘出治療を行った後に、予防をしなければ改めて蚊に吸血されてフィラリアに再感染し、症状が再発する可能性はあります。
Q.猫でもフィラリアの治療は可能ですか?
猫に感染したフィラリアも治療を行うことは可能です。
ですが、犬に感染した場合とは違って、治療法が確立されているわけではありません。
それでも、犬と同様の外科治療や投薬治療などが行われますが、外科手術については寄生する数自体はそこまで多くないので、手術が実施されるケースは稀です。
投薬治療であっても予後は良好とのことであるため、基本的には投薬治療が行われると考えて問題ありません。
ですが、フィラリア成虫が体内で死亡した際にショックを引き起こして突然死してしまうという可能性がある点には注意しておく必要があります。
犬や猫に感染するフィラリアに関する基本情報は「犬だけじゃない!?猫も感染するフィラリアとは?重要なのは「予防」」のページで詳しく紹介しています。
まとめ
こちらのページではフィラリアに感染してしまった場合の治療法について紹介しました。
愛犬や愛猫がフィラリアに感染してしまった…そうした時は、適切に治療を受けてダメージを最小限に抑えるということが重要です。
そうしてダメージを抑えて治療を行ったとしても、治療のダメージやフィラリア感染のダメージは残ってしまうため、症状が残って完治することはありません。
大切な愛犬や愛猫と1日でも長くすこやかな毎日を送る。そのためにもフィラリアの予防は必要不可欠なものといっても過言ではありません。
それ故に、フィラリアは感染しても治療できるからといって、予防を怠るといったことはせずに、まずはフィラリアに感染しないように適切に予防を行うようにしましょう!
フィラリアは感染してしまうと完治させることが難しく、基本的には「予防」が大事です。フィラリア予防薬は通販でも購入できるので、ぜひ検討してみてください!