愛犬が腎臓病に…おやつを与えてはいけない?与えられるおやつはある?
愛犬が腎臓病になったとき、必ずしなくてはならないことの中に食事内容の見直しがあります。
腎臓病の愛犬と暮らす中で避けては通れない道といえますが
- 食事を見直すならおやつも見直したほうがいいのか
- そもそも愛犬が腎臓病になってからもこれまでどおりにおやつを与えてもいいのか
といったことを不安になってしまう飼い主の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらのページでは腎臓病の愛犬にこれまでどおりにおやつを与えてもいいのか、その疑問について解説します。
腎臓病になっても「おやつ」は食べていい?
愛犬が腎臓病になってしまったときは、食事による治療である「食事療法」が必須となります。
リンやタンパク質、カリウムやナトリウムといった特定の栄養を摂取しすぎないように制限しなくてはならないので、おやつは与えないほうがいいのではと不安になってしまうかもしれません。
肥満体型の場合は痩せる必要があるのでおやつも制限するべきですが、食事療法中におやつを与えてはいけないというわけではありません。
これまでどおりにおやつを与えても大丈夫ですが、注意しなくてはならない点がいくつか存在していますので事前に確認しておく必要があります。
腎臓病の愛犬のおやつ選び4つのポイント
愛犬が腎臓病になってからもおやつを与えて問題ありませんが、おやつの内容には注意が必要です。
食事療法で特定の栄養素を制限している都合上、腎臓病になった犬は全てのおやつを問題なく食べてもいいわけではありません。
腎臓病の愛犬におやつを与えるときは、4つのポイントに気をつけておやつを選びましょう。
消化が良いものを選ぶ
腎臓病の愛犬に与えるおやつは、消化が良いものを選びましょう。
消化に時間がかかってしまうと腎臓への負担が増えてしまい、症状を悪化させてしまうおそれがあります。
また、消化の悪さは愛犬から体力を奪い、栄養の吸収率も下がってしまうため、腎臓だけでなく肝臓や膵臓、さらには腸にまで影響が出てくる可能性があります。
おやつガムがこういった消化が悪いおやつに該当し、リンやナトリウム、カリウムが少ないかわりに消化面の悪さで愛犬の腎臓に負担をかけてしまうので、あまりオススメできません。
腎臓だけでなくその他の臓器の健康を守るためにも、消化が悪いおやつは避けて消化が良いおやつを選びましょう。
もし、どうしても歯ごたえのあるおやつを与えたいという場合は、牛骨や鹿骨などの生骨を活用しましょう。
リンが少ないものを選ぶ
腎臓病になった愛犬のおやつ選びで、もっとも大事なのがリンの含有量が少ないものを選ぶことです。
リンは体に必要なミネラルの1種ですが腎臓病になると余分なリンを上手く体外へ排出できなくなり、余ったリンが腎臓や内臓にダメージを与えてしまうので摂取量を制限する必要があります。
ジャーキー等の肉製品やチーズのような乳製品はリンの含有量が多いので、極力与えるのは避けましょう。
しかし、全てのジャーキーや肉系のおやつが駄目というわけではなく、茹でることによってリンの含有量を減らすこともできます。
どうしてもジャーキーを与えたい場合や、肉系のおやつを与えたいと思ったときは、茹でてリンの量を減らしてから与えるようにしましょう。
ナトリウムが少ないものを選ぶ
リンと同様に、愛犬が腎臓病になったときに制限しなくてはならない栄養素にナトリウムがあります。
腎臓病になって腎機能が低下している場合、リンだけでなくナトリウムも上手く体外へ排出できず、体の中に溜まっていってしまいます。
それが引き金となって腎臓以外の臓器に疾患が生じるおそれがあるため、低リンだけでなく低ナトリウムも意識しておやつを選びましょう。
ナトリウムも多くのおやつに含まれているだけでなく加工製品のほとんどにナトリウムが入っているので、その中でも少ないものを選ぶことが大切です。
おやつの中には腎臓病の犬向けに作られた低リンや低ナトリウムのものがあるので、そういったおやつを選ぶのがいいでしょう。
カリウムが少ないものを選ぶ
リンやナトリウムと同様にカリウムも腎臓病のときは摂取を控えたほうがいい栄養素の1つに数えられています。
腎臓病の犬が過剰にカリウムを摂取すると、高カリウム血症等の重篤な疾患を引き起こして最悪の場合は命に関わるおそれもあります。
そのため、カリウムの摂取を制限されている場合は低リン・低ナトリウムを意識するだけでなく、カリウムの含有量にも注意してできるだけカリウムが少ないおやつを選ぶようにしましょう。
カリウムは野菜や果物に含まれており、中でもほうれん草やイモ類、果物ではバナナやキウイフルーツなどに多く含まれています。
おやつは「与えすぎない」ことも大事
ご説明したように、腎臓病の犬におやつとして何かを与えることは全く問題ありません。
しかし、だからといって与えすぎると、どれだけリンやナトリウム、カリウムの含有量が少なくても意味がなくなってしまいます。
腎臓病の犬の食事は療法食がメインで、おやつはあくまでもご褒美や飼い主とのコミュニケーションをサポートしてくれるものです。
おやつの範疇を超えないように注意し、与えすぎになってしまわないよう気をつけましょう。
腎臓病の愛犬にオススメのおやつはある?
おやつ選びのポイントを把握していても一体どれにすればいいのか迷ってしまい、なかなか選べないということもあるでしょう。
腎臓病になった愛犬のおやつには米や小麦粉でできたクッキーやビスケット、果物やイモ類ならリンゴやサツマイモがオススメです。
お米や小麦粉でできたクッキー・ビスケット
クッキーやビスケットなど、穀物を使用したおやつが好きな愛犬には、米や小麦粉からできたものを選んであげましょう。
米や小麦粉は含まれているリンやカリウムの量が少なく、腎臓病になった愛犬のおやつに適しています。
リンだけでなくカリウムも制限されている場合でも与えやすいため、腎臓病になった多くの犬に安心して与えることができます。
ただし、既製品のクッキーやビスケットの中にはナトリウムが多く含まれているものもあるので注意が必要です。
低リン・低カリウムだからと適当に選ばず、ナトリウムの含有量にも注意して選ぶようにしましょう。
果物ならリンゴがオススメ
果物が好きな愛犬の場合は、リンゴを選ぶことをオススメします。
バナナやキウイフルーツ、メロンなど果物にはカリウムが多く含まれているものが多く、カリウムの摂取制限がされている場合は注意が必要です。
リンゴにもカリウムが含まれていますが、他の果物に比べて量はそれほど多くなく、愛犬が腎臓病になってしまった場合でも比較的与えやすいといえます。
また、果物を与える際はなるべく細かくする必要がありますが、水分量が多い果物に比べ、リンゴなら比較的簡単に切って細かくすることができます。
切り分けたリンゴを流水にさらすことでカリウムを簡単に除去できるという点もオススメの理由となっています。
カリウム制限がないならサツマイモもOK!
市販されている犬用のおやつの中にはサツマイモを使用しているものも多く存在しています。
カリウムの摂取制限がされていない場合、サツマイモもおやつとして優秀です。
サツマイモには、愛犬が腎臓病のときに積極的に取り入れたい栄養素の1つである食物繊維が豊富に含まれています。
さらに、イモ類はリンやナトリウムの含有量が少なく、愛犬が腎臓病になってしまった場合のおやつとして適している面があります。
水さらしや茹でこぼしといった下処理をすることでカリウムの含有量を効率よく減らせるため、そのままではなく下処理をしてから与えるようにしましょう。
まとめ
腎臓病になると愛犬の食事に気を使う必要があるため、普段どおりにおやつを与えてもいいのか不安になってしまうかもしれません。
ですが、ここまで紹介してきたように愛犬が腎臓病になってもおやつは与えても問題ありません。
ただし、腎臓病になってしまった場合はリンやナトリウム、カリウムなど、一部の栄養素の摂取を控えなくてはならないので、おやつもこれらの栄養素が少ないものを選ぶ必要があります。
米や小麦粉を使用したクッキーやビスケット、カリウムの含有量が少ないリンゴなどが腎臓病になった愛犬のおやつとしてオススメとなっています。
また、カリウムの摂取制限がされていない場合は下処理をしたサツマイモも適しています。
低リン、低ナトリウム、低カリウムを意識しながらおやつを選び、腎臓病の愛犬の生活に彩りを与えてあげましょう。