フィラリア予防の通年投与とは?メリット・デメリットと費用を抑える方法を解説

フィラリア予防は通年にした方がいい5つの理由!コストを抑えてフィラリア予防をしよう!

疑問に思う男性

獣医師に通年予防を勧められたけど、本当に必要なの?

疑問に思う男性

通年予防って、普通の予防と何が違うの?

フィラリア予防といえば、4月〜12月の期間予防が一般的でした。
しかし近年、温暖化や住宅環境の変化により、1年を通して予防する「通年予防」が推奨されるようになってきています。
 
この記事では、通年予防のメリット・デメリット費用を抑える方法、そして通年予防を始める際の注意点について詳しく解説します。

 

フィラリア症とは

寄生虫がいる犬まず、通年予防の話をする前に、フィラリア症について簡単におさらいしておきましょう。
 
フィラリア症は、蚊を介して犬の体に侵入し、心臓や肺動脈に寄生する寄生虫が引き起こす病気です。
 
感染初期は無症状ですが、進行すると呼吸困難腹水などの症状が現れます。
いったん心臓や血管がダメージを受けると、フィラリアを駆除しても完全には元に戻りません。
 
そのため、発症する前にしっかり寄生虫を叩く「予防」が欠かせないのです!
 
なお、フィラリア症の詳しい感染経路や症状については以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

 


 

 

フィラリア予防薬の仕組み

isi「通年予防」の話に入る前に、もうひとつ大切なことがあります。
それは、フィラリア予防薬の仕組みです。
 
多くの方が誤解されているのですが、フィラリア予防薬は「蚊に刺されないようにする薬」でも「これから感染するのを防ぐ薬」でもありません。
実は、フィラリア予防薬は「予防薬」ではなく「駆虫薬」なのです。
 
予防薬は、過去1〜2ヶ月の間に蚊に刺されて体内に侵入したフィラリアの幼虫を駆除します。
つまり、「すでに体内に入った幼虫」を倒すための薬なのです。
 
一般的には、蚊が出始める時期(4〜5月)から、蚊がいなくなった1ヶ月後(12月)まで、月1回の投薬が推奨されています。
これが従来の「期間予防」と呼ばれる方法です。

 

通年予防とは?

カレンダーそれでは、通年予防とは何でしょうか。
 
通年予防とは、月1回の投薬を1年間、つまり1月〜12月まで続ける予防方法です。
従来の「4月〜12月」の期間予防に対し、冬期間(1月〜3月)も投薬を続けることで、より確実な予防を実現します。
 
近年、米国犬糸状虫学会(American Heartworm Society、AHS)が通年予防を推奨していることもあり、日本でも通年予防を勧める動物病院が増えています。
 
「でも、冬は蚊がいないのに、なぜ投薬が必要なの?」と思われるかもしれません。その理由を、これから詳しく見ていきましょう。

 

通年予防がオススメされる7つの理由

ここからは、通年予防がオススメされる7つの理由について詳しく見ていきましょう。

 

1. 予防の確実性が高まる

フィラリア予防を通年で行う最も大きな理由は、予防の確実性です。
 
従来の期間予防では、地域によって予防期間が異なります。
たとえば、関東では5月〜12月が一般的ですが、九州では4月〜12月、北海道では6月〜11月といった具合です。
 
たとえば引っ越しをした際、その地域の予防期間を正確に把握していないと、感染してしまうリスクが生まれます。
また、温暖化により蚊の発生時期が年々変化しているため、「去年と同じ期間で大丈夫」とも言い切れません。
 
一方、通年予防であれば、蚊の発生時期に左右されることなく、確実にフィラリアを予防できます。
投薬を忘れるリスクも減り、「今月は蚊の時期だから飲ませる」「今月は冬だから休み」という判断が不要になるため、投薬ミスも起こりにくくなります。

 

2. 温暖化による蚊の活動期間の延長に対応

フィラリア地球温暖化の影響で、蚊の発生時期が年々早まり、活動期間も長くなっています。
数年前までは「12月にはもう蚊はいない」と言われていた地域でも、最近では12月に蚊を見かけることが珍しくありません。
 
特に注目すべきは、フィラリアを媒介する主な蚊である「アカイエカ」の特性です。
この蚊は成虫で越冬し、屋内を好むという特徴があります。
冬でも暖かい環境が整えば繁殖し、年中無休で活動することがあります。
 
さらに、秋冬に生き残っている蚊は、フィラリア原虫キャリアの確率が高くなっています。
春から夏にかけて感染した犬の血を吸った蚊が、そのまま秋冬まで生き残っているからです。
 
通年予防なら、こうした温暖化や蚊の特性による予測不可能なリスクにも対応できます。

 

室内に侵入する「冬の蚊」にも対応できる

「うちは完全室内飼いだから冬は大丈夫」と考えている方もいるかもしれませんが、実は室内飼育であっても冬に蚊に刺されるリスクはゼロではありません。

マンション・集合住宅での蚊の潜伏場所
共用廊下や階段
エレベーターホール
ゴミ置き場
暖房が効いた室内や共用部分

マンションには冬でも蚊が生存できる環境が整っており、玄関やベランダの開閉時に蚊が侵入することもあります。
たとえ高層階であっても、エレベーター宅配便を通じて蚊が侵入する可能性は十分にあります。
 
また、一戸建ても油断禁物です。

一戸建ての注意点
床下や屋根裏などに蚊が越冬している場合がある
暖かい日には室内に入り込み、ペットを刺すことがある

「冬は蚊がいないから大丈夫」という油断が、フィラリア感染のリスクを高めます。
通年予防を行うことで、このような予期しない感染から愛犬・愛猫を守ることができます。

 

3. 都市部のヒートアイランド現象の影響

都市部でフィラリア予防を行う場合、ヒートアイランド現象の影響を考慮する必要があります。
 
ヒートアイランド現象とは、ビルやアスファルトが多い都市部で昼間の熱が夜まで残り、郊外や農村部に比べて気温が高い状態が続く現象です。
これにより、蚊の活動期間が昔とは変化しているとされています。

【注意】ヒートアイランド現象の蚊への影響
秋や冬でも比較的暖かい日が続くため、蚊が活動を続ける
都市部では郊外に比べて蚊の寿命が長くなる可能性がある

というわけで、都市部にお住まいの方は、従来の投与期間だけでは不十分な場合があるため、通年予防を検討することをおすすめします。

 

4. 投与を忘れにくい

女医通年予防を行うメリットには、投与忘れが起きにくいというメリットがあります。

フィラリアの予防薬は蚊の発生する時期の前後1ヶ月を含めた期間中、1ヶ月に1度のペースで投与する必要があります。

しかし、オフシーズンでは投与が必要ないので、投与することを忘れてしまう可能性が低くありませんでした。

通年投与では、オフシーズンがなく、毎月決まった日にちに投与するようにすることで投与忘れの防止にもなるというメリットがあります。

 

5. 旅行時の心配がない

フィラリア予防を通年で行うのがオススメの理由として、「旅行時の心配がない」ということも挙げられます。

暖かい地域へ旅行するといったような場合、旅行先では既に蚊が発生しているなんていうケースは珍しくありません。

そうした時でも、通年予防であれば旅行のためにフィラリア予防を改めてするといった必要がなくなるので、普段から旅行によく行くご家庭では通年予防はオススメといえるのです。

 

6. 米国のガイドラインが通年予防を推奨

通年予防が推奨される背景のひとつには、米国犬糸状虫学会(American Heartworm Society、AHS)による国際的なガイドラインがあります。
AHSは、フィラリア症の予防に関する研究を長年行ってきた権威ある機関で、世界中の獣医師がそのガイドラインを参考にしています。

AHSが通年予防を推奨する理由
気候変動により蚊の活動期間が予測しにくくなっている
投薬忘れのリスクを最小限に抑えられる
より確実にフィラリア症を防ぐことができる

米国だけでなく、日本でもこのガイドラインに基づいて通年予防を推奨する動物病院が増えています。
 
国際的な専門機関が推奨していることからも、通年予防は単なる選択肢ではなく、より確実にフィラリア症を防ぐための標準的な方法として認識されつつあるのです。

 

7. 春の病院混雑を避けられる

薬通年予防を行うメリットとして見逃せないのが、春の動物病院の混雑を避けられることです。
 
動物病院は、春が最も混雑する時期です。
狂犬病予防接種混合ワクチン接種、そしてフィラリア予防の開始が重なるため、待合室は飼い主とペットで溢れかえります。
特に4~6月は予約が取りにくく、長時間待たされることも珍しくありません。
 
通年予防を完璧にできていれば、「春のフィラリア検査」にこだわる必要がなくなります。
たとえば、秋や冬の比較的空いている時期にフィラリア検査を受けることで、待ち時間を大幅に短縮できます。
また、健康診断と同時にフィラリア検査を受けることもでき、1回の採血で両方の検査が可能です。
 
長時間の待ち時間は、飼い主にとってもペットにとってもストレスです。
通年予防を選択することで、こうしたストレスを軽減し、より快適に予防を続けることができるでしょう。

 

通年予防のデメリット

注意ここまで通年予防のメリットを7つ紹介してきましたが、一方でデメリットもあります。
以下に解説していくので、きちんとそちらも理解した上で取り入れていきましょう。

 

費用負担が増える

通年予防の最も大きなデメリットは、費用面の負担です。
通年予防は1月〜12月まで毎月投薬するため、従来の期間予防(4月〜12月の9ヶ月)と比べて3ヶ月分の費用が追加でかかります。
単純計算で、費用が約1.3倍になるのです……。
 
ただし、後述する通販(個人輸入)サイトの利用や、まとめ買い割引を活用することで、費用を抑えることは可能です。
また、年間を通して見れば、フィラリア注射を選択することで、むしろ費用を抑えられる場合もあります。

 

通年予防でも年1回の検査は必要

「通年予防をしていれば、もう検査は不要だよね?」と思われる方もいるかもしれませんが、これは誤解です。
 
通年予防を行っている場合でも、年に1回はフィラリア検査を受けることが推奨されます。
予防薬を確実に投与していても、わずかながら感染のリスクが残るためです。

  • 投与後にペットが薬を吐き出してしまった
  • お腹の調子が悪くて薬の成分が十分に吸収されなかった

特に錠剤タイプやチュアブルタイプでは、こうしたリスクを完全に避けられません。
通年予防を行っているからといって検査を怠らず、年に1回は必ずフィラリア検査を受けましょう。
 
ただし、先述の通り、春の混雑時期を避けて秋〜冬の比較的空いている時期に検査を受けられるのは、通年予防のメリットです。
健康診断と同時に行えば、1回の採血で両方の検査が可能で、愛犬への負担も最小限に抑えられます!

 

通年予防の安全性について

疑問に思う男性

1年中フィラリア予防薬を飲ませて、副作用は大丈夫なのか?

そんな心配をされる飼い主さんもいるでしょう。
しかし、フィラリア予防薬は非常に安全性の高い薬剤として設計されています。
 
フィラリア予防薬に含まれる駆虫成分は、フィラリア症の治療に使用される薬剤に比べて非常に少量です。
治療用量の数分の一程度の量で幼虫を駆除できるため、長期間投与しても体に負担がかかりにくいのです。
実際、多くの予防薬は安全域が広く設定されており、誤って規定量の数倍を投与してしまっても重篤な副作用が起こることはめったにありません。
 
また、通年予防は米国犬糸状虫学会(AHS)のガイドラインでも推奨されており、世界中で多くの犬や猫が通年予防を受けています。
長年の実績があり、安全性は十分に確認されています。
 
ただし、どんな薬にも個体差があります。
投与後に嘔吐、下痢、元気消失などの症状が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。

 

通年予防をするならフィラリア注射も考えられる

フィラリア注射フィラリアの通年予防を行うには、予防薬を1ヶ月に1度のペースで1年間継続するという方法以外にもあります。

その方法というのが、フィラリア注射です。

フィラリア注射とは、その名の通り薬剤を注射する予防法で、こちらの方法であれば1度の注射で12ヶ月効果が持続します。

そのため、単純に投与の手間が省けるからフィラリア注射を選択するという人は少なくありません。

また、通年予防という観点から見てもフィラリア注射は非常に効率的な方法といっても過言ではないでしょう。

ただし、こちらのフィラリア注射は通常の予防薬を投与する場合と比べて副作用が大きいというデメリットもあるので、よく考えた上で選択すべきかどうかを決めるようにしましょう。

 

フィラリア注射に関するより詳しい情報は「フィラリア注射とは?デメリットや注意点も理解しておきましょう!」のページでまとめています。

 

通年予防にかかる費用

疑問通年予防のメリット・デメリットを理解したところで、気になるのは費用ですよね。
ここでは、実際にどの程度の費用がかかるのか具体的に見ていきましょう。

 

動物病院のみで通年予防する場合

フィラリア予防薬を毎月、投与して通年予防をする場合にかかる費用を見ていきましょう。

ここでは例として8kgの中型犬のフィラリア予防をすると仮定します。

また、診察などにかかる費用は下記のように仮定した場合

  • 初診・再診費用…1,000円
  • 検査費用…2,500円
  • フィラリア薬(チュアブルタイプ)…3,000円

予防薬の費用だけで3,000円が12ヶ月分となるので、36,000円

そこに検査費用と初診費用が加わった39,500円が1年間で必要になります。ただし、これは予防薬を初回で12ヶ月分処方してもらった場合の費用になります。

複数回に分けて処方してもらう場合には、その分だけ再診の費用が上乗せされる形となることには注意が必要です。

ですが、1年目を適切に通年予防できた場合、2年目はフィラリア検査が不要になる可能性があるので、2年目以降は検査費用分が抑えられる場合もあります。

 

フィラリア注射による通年予防をする場合

次に、フィラリア注射を行う場合ではどの程度の費用が必要になるのでしょうか?

前項の予防薬を利用する場合と同条件で考えると、フィラリア注射の費用は10,800円ほどが相場となっています。

そこに前項と同じ初診費用や検査費用を加えた14,300円が注射を用いたフィラリアの通年予防で必要になってきます。

このことから、通年予防をする場合、フィラリア注射は予防薬を用いた予防よりも安価で済ませることができるといったメリットがあります。

ただし、フィラリア注射はフィラリアだけにしか効果がなく、副作用などのリスクも予防薬と比べると大きくなってしまうという点には留意しておく必要があります。

 

通販サイトを利用する場合

通販サイトを利用する海外製のフィラリア予防薬を取り寄せる通販(個人輸入)なら、予防薬のコストを大幅に抑えられます!
 
たとえば中型犬のフィラリア予防をする場合、わんにゃん薬局でも取り扱いのある安価なジェネリックの「キウォフハート」を選べば、6錠入り(6ヶ月分)が3,900円で入手できます。
1ヶ月あたりのコストは、実に650円です。
 
ただし、完全に個人輸入だけで予防を行う場合は、フィラリア検査ができないという問題があります。
 
そこでおすすめなのが、動物病院と通販サイトを組み合わせた方法です。

初回(病院検査+処方)
6,500円
2ヶ月目以降(通販11ヶ月)
7,150円

合計
13,650円

この方法なら、検査を受けた上で、安価に通年予防を続けられます。
動物病院だけで通年予防する場合(39,500円)と比べると、かなりの節約になりますね!

 

通販サイトで(さらに)費用を抑える方法

さらに費用を抑えられて喜ぶユーザー通販サイトを利用してフィラリアの予防薬を手に入れる場合、更に料金を抑えるといったことが可能になる場合があります。

こうした方法を把握しておくことによって、フィラリア予防にかかる費用を下げることができるため、上手に活用していくようにしましょう。

 

1年分を一回で注文する

フィラリア予防薬を通販サイトで手に入れる場合、注文回数を減らした方がかかる費用を抑えることが可能です。

こうした通販サイトの場合、まとめ買いをすると割引が適用されるケースは珍しくありません。

そのため、1ヶ月分を小分けにして購入したりするよりも、1年間の12ヶ月分をまとめて購入した方が更に安価で予防薬を手に入れることができたりします。

 

送料無料になるように調整する

12ヶ月分をまとめて購入することで割引になるため、費用を抑えられると紹介しました。

更に、まとめ買いをする場合は、送料が無料となるケースもあります。通販サイトを利用する場合には送料は必ずかかってきます。

ですが、〇〇円以上の注文で送料が無料となるといったような通販サイトは珍しくありません。

まとめ買いをすることで、自然とその〇○円以上という条件を満たしていることも多いため、小分けで注文する場合と比べてまとめ買いは送料分もお得になったりします。

 

クーポンやセールを狙って買う

ネット通販でフィラリア予防薬を注文する場合に費用を抑える方法としてクーポンやセールの活用というものもあります。

通販サイトによってはシーズンやイベントの際に割引クーポンを配布したりしています。そうしたクーポンを使うことで費用を抑えることが可能だったりします。

またクーポン以外に、シーズンやイベントのタイミングでセールを実施する通販サイトも少なくないため、セール時に購入することでも費用を抑えられます。

 

フィラリアの通年予防に関するよくある質問

gimonnここでは、通年予防の必要性や方法について、よくある質問にお答えします!

 

Q.通年予防は必須ですか?

A.絶対に必須!というわけではありません。従来の期間予防(4月〜12月)でも、適切に投薬すれば十分な予防効果があります。
 
ただし、以下のような方には通年予防をおすすめします。

  • 都市部にお住まいの方
  • よく旅行に行く方
  • より確実な予防をしたい方

 

Q.妊娠した場合も続けて大丈夫ですか?

A.多くのフィラリア予防薬は、妊娠中・授乳中の犬にも使用可能とされています。
 
ただし、妊娠中は体調が変化しやすい時期なので、妊娠の可能性に気づき次第、獣医師に確認しましょう。
 
重要なのは、自己判断でフィラリア予防を中断しないことです。
妊娠中であっても、獣医師の指導のもと、予防を続けることが大切です。

 

まとめ

フィラリア予防の通年投与は、より確実な予防を実現する方法です。
 
従来の期間予防でも十分な効果がありますが、特により確実な予防を求める方投薬忘れが心配な方都市部にお住まいの方には、通年予防をおすすめします。
 
大切なのは、愛犬の命を守るために、毎月確実に予防を続けることです。
ぜひ参考にしてみてくださいね!