フィラリア注射にデメリットはない?フィラリア注射と予防薬ではどっちがいい?
フィラリア症を発症してしまえば、治療をしたとしても完治する可能性は低くなるため、感染しないようにすることが何よりも大切です。
そのため、フィラリアの予防をされているという犬や猫の飼い主さんは少なくありません。
現在、フィラリアの予防法として主流なのは予防薬を毎月投与する方法ですが、現在では新たな予防法としてフィラリア注射が登場しています。
こちらのページではそんなフィラリア注射について紹介していきたいと思います。
目次
フィラリア注射とは
フィアリアの予防法として、登場したフィラリア注射とはいったい何なのでしょうか?
これは、アメリカに本拠を置く世界最大ペット医薬品メーカーである「ゾエティス」が製造・販売するプロハートと呼ばれる治療薬を指して呼ばれることが多いです。
以前はプロハート以外にも、モキシデックと呼ばれる注射薬を指す場合もありましたが、副作用の多さなどから現在ではプロハートが主流です。
このフィラリア注射でのフィラリア予防は動物病院で受けることができるため、仕事などで忙しい方などに最適な予防法となっています。
フィラリア注射の効果
フィラリア注射で用いられるプロハートは1度の注射で実に12か月の間、フィラリアの予防効果を発揮し続けます。
そのため、1ヶ月に1度の投与が必要になる予防薬よりも更に手軽になっています。
プロハートの効果はフィラリアの感染を予防するものとなっています。
現在、毎月投与が必要なフィラリア予防薬ではフィラリア以外にもノミ・マダニの駆除を同時に行うことができるものがあったりしますが、フィラリア注射にはそうした効果はありません。
参考元:プロハート12
フィラリア注射にかかる費用
フィラリア注射でフィラリアの予防を行う場合、1年に1度の投与で1年間はフィラリアを予防することが可能です。
そのため、こちらの方法を選択しようと考える飼い主様も少なくありません。
ですが、初めて注射を選択しようと考えている飼い主の中には、費用が気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、ここからはフィラリア注射にかかる費用や保険適用の有無などについて紹介してきます。
フィラリア注射の平均費用はどれくらい?
早速ではありますが、フィラリア注射の費用について紹介してきます!
ここでは体重11kgの中型犬を例に紹介していきますので、是非参考にしてください。
実際にいくつかの動物病院の各費用を調べてみた結果、下記の通りとなりました。
病院名 | 初診費用 | 検査費用 | 注射費用 | 総額 |
---|---|---|---|---|
動物病院A | 700円 | 2,500円 | 10,800円 |
14,000円 |
動物病院B | 2,200円 | 1,700円 | 9,800円 |
13,700円 |
動物病院C | 1,000円 | 1,000円 | 7,000円 |
9,000円 |
病院によって費用に上下がありますが、基本的には1万円以上は必要になると考えて問題ないでしょう。
また、フィラリア注射は犬の体重によって投与する量が変化するため、小型犬では費用は安く、大型犬や超大型犬となると費用は更に高額になると考えて問題ありません。
とはいえ、1年に1回で良いと考えると、毎回診察費用を支払う必要がある予防薬より経済的になる場合もあります。
フィラリア注射は保険適用される?
フィラリア注射にかかる費用について紹介しましたが、上記の金額から更に保険が適用されればさらに安くなるのでは?と考えた方がいらっしゃるかもしれません。
実は、このフィラリア注射には保険は適用されません。
保険が適用されるケースは基本的には、何かしらの治療を行う場合のみとなっているため、予防のための処置に関する費用に対しては保険は適用されないのです。
そのため、保険適用で更に安くなるということは基本的にはないと考えて問題ないといえます。
フィラリア注射は何歳から受けられる?
フィラリア注射は、「何歳の犬でも可能」というわけではありません。
- 小型犬と中型犬は生後6ヶ月以降
- 大型犬は生後8ヶ月以降
病院によっては、犬種にかかわらず「生後1年以上」という条件を設けている場合もあります。
ちなみに、10歳を超えるシニアの犬についても、接種を控えたほうが無難とされています。
レボリューションなど従来のフィラリア予防薬は、「生後6週間から可能」といったものが多いです。
そのため注射も生まれてすぐ受けられると思われがちですが、実は6~8ヶ月経過しなければ接種できないため、注意しましょう!
猫はフィラリア注射を受けることができない
「注射があるなら、うちの猫ちゃんも予防が楽だわ」と思われる方もいるでしょう。
しかし、猫はフィラリア注射を受けることはできないため、注意が必要です。
実際、プロハートを製造・販売しているゾエティスは、「猫への有効性が確認されていないため、使用できない」という説明をしています。
そのため、猫のフィラリア予防は、従来と同じく1ヶ月1回の頻度で投与する予防薬が必要です。
なお、猫のフィラリアについては「感染してからでは遅い!愛猫のためにできるフィラリアの予防を徹底しましょう!」という記事でも詳しく解説しています!
参考元:Q&A|ゾエティス
どっちがいい?フィラリア注射VSフィラリア予防薬
ゾエティスの「プロハート」をはじめ、フィラリア注射を導入する動物病院は増えています。
しかし、従来の滴下したり飲ませたりするフィラリア予防薬と比べてどっちがいいか、迷う方も多いはず……。
そこで、ここではそれぞれのメリットをまとめました。
とにかく手間をかけたくないなら「フィラリア注射」
次のような方には、フィラリア注射のほうが圧倒的におすすめといえます!
- 「フィラリア予防はお手軽に済ませたい」
- 「毎月忘れずに薬をあげなきゃいけないのがプレッシャー」
フィラリア注射の特徴・メリットは、何といっても1年に1回接種すればOKということです。
いったん注射を済ませれば、その後1年にわたって、しっかりフィラリアを予防することができます。
ただし、1年が経過したら必ずまた注射しなければならないということはお忘れなく!
少し手間はかかっても「フィラリア予防薬」の方がメリットが多い
スポットオンタイプ、チュアブルタイプといった従来のフィラリア予防薬は、毎月必ず投与しなければならない点がデメリットといえるでしょう。
ただし、安全性という面では、従来のフィラリア予防薬に軍配が上がりそうです。
農水省が管轄する「動物医薬品検査所」が発表している動物用医薬品等データベースで「プロハート」と「ネクスガードスペクトラ」を比較すると、副作用による死亡例はネクスガードスペクトラのほうが低いことがわかります。
また、ジェネリック医薬品が揃っている従来のフィラリア予防薬のほうが価格的にも安く、「滴下」「飲ませる」など投与方法が多く、注射に比べて負担が少ない点もメリットといえるでしょう。
フィラリア注射のメリット
フィラリア注射を受けることによって、フィラリアの感染を完全に防ぐことができます。
ですが、これまで利用されていたフィラリアの予防薬であってもフィラリアの予防を確実に行うことは可能です。
そうなってくると気になるのはやはり、フィラリア注射ならではのメリットでしょう。
注射のメリットを適切に把握して、自身に合った方法をお選びください。
投与忘れ(飲み忘れ)がない
フィラリア注射の何よりのメリットといえるのは、やっぱり投与を忘れてしまうことがないことです!
プロハートのサイトを見ると、フィラリア予防薬を用いた予防をしている人のドロップアウト経験があるという人が3割にも上るというアンケート結果が掲載されています。
月に1度の投与でも、3人に1人の人が、フィラリア予防薬の投与を途中で断念されているからこそ、1年に1回の投与で済むのはフィラリア注射の非常に大きなメリットといえます。
参考元:プロハート12
フィラリア予防薬の投与でやりがちな飲み忘れに関して知っておきたい情報は「フィラリア予防薬を飲み忘れた(投与し忘れた)らどうするべき?」でまとめています。
動物病院が混雑する時期を回避できる
フィラリア予防に使われるフィラリア注射ですが、このフィラリア注射は1年に1回、注射するだけで良いというメリット以外に注射のタイミングに左右されないというメリットがあります。
フィラリアの原因となる蚊が発生し始めるシーズンでは、多くの飼い主がフィラリア予防のために動物病院へと一斉に足を運ぶので、非常に混雑します。
ですが、このフィラリア注射の場合、1年に1回の注射でいいので、動物病院が混雑するシーズンを避けて毎年投与することが可能です。
検査から注射まで一気に解決できる
フィラリア注射のメリットは
- 投与を忘れる心配がなくなること
- 混雑する時期を回避できること
以外にもあります。
それが、検査から注射までを一度の通院で済ませられるということです。
フィラリア注射はネット通販などでは手に入れることができないので、動物病院で注射をしてもらう必要があるため検査から注射まで全てを一度のタイミングで行えるのです。
フィラリア注射のデメリット
フィラリア注射のさまざまなメリットについて紹介しましたが、フィラリアの注射はメリットだけでなくデメリットもあります。
これはどの予防法においても同様のことが言えるので、メリットとデメリットそれぞれを的確に把握した上で良いと思った方法でフィラリアの予防を行うようにしましょう。
フィラリア予防以外の予防ができない
フィラリア注射のデメリットのひとつ目は、フィラリア以外に対しての効果がないという点です。
犬や猫に寄生する寄生虫はフィラリア以外にもノミやマダニなどさまざまな種類があります。
しかし、フィラリア注射ではノミやマダニの対策はできないので、ノミやマダニなどの他の寄生虫に対しては別途対策をとる必要があります。
フィラリア予防費用が高くなるケースがある
フィラリアを予防するためにフィラリア注射を採用する場合のデメリットのふたつ目は予防費用が高くなる場合があるということです。
予防法 | 予防費用 |
---|---|
フィラリア予防薬 (蚊の発生期間のみ) |
8,800円 |
フィラリア予防薬 (通年予防) |
11,800円 |
フィラリア注射 | 12,000円 |
※体重10kgの中型犬のフィラリア予防を行う場合として算出
フィラリア予防を注射で行う場合、蚊のシーズンだけ予防薬を投与する場合と比べると高くなるケースがほとんどです。
しかし、年間を通して行う通年予防をする場合では、病院によって多少の違いはありますが予防薬と注射ではそこまで大きな違いが出ないケースもあります。
そのため、事前にどの程度の費用がそれぞれで必要になるのかを把握して、予防法を選択するのもひとつの方法といえます。
フィラリア予防の費用に関する詳しい情報は「フィラリアの予防にかかる費用はどれくらい?選ぶ方法で費用が大きく変わる!」をご確認ください。
副作用や注意点などで分かっていないことも多い
フィラリア注射はフィラリア予防の方法として、広がりつつあります。
ですが、登場してからの期間は予防薬と比べるとまだ浅いという現実があります。
そのため、フィラリア注射の副作用や注意点などについては予防薬と比べて不明な部分が多いというデメリットがあります。
不明な部分が予防薬よりも多いので安心して予防をしたいと考えた場合には、注射よりも予防薬の方が適しているといえます。
フィラリア注射の副作用
寄生虫であるフィラリアを予防するフィラリア注射もひとつの医薬品であるため、副作用のリスクはあります。
ですが、どういった副作用があるのかというのを把握して使用するというのは非常に重要なので、フィラリア注射の副作用について紹介していきたいと思います!
注射を選択したいけど副作用が心配という方は是非、ご覧ください!
フィラリア注射で死亡事故はある?
フィラリア注射であるプロハートを用いた時に副作用があらわれる可能性はゼロではありません。
下記の表にあるように副作用があらわれたという報告は約1年で88件ほどあったようです。
メーカー試算の 接種推定数 |
約5.5万頭 |
---|---|
軽度な副作用 | 64件 |
アナフィラキシー | 23件 |
死亡 | 1件 |
※2012年7月~2013年5月報告分まで
ただし、摂取した総数から考えると副作用のリスクが非常に低いといえます。死亡リスクに関してもゼロではないももの、極めて稀な症例のひとつといえるため、安心して利用できると考えられます。
参考元:フィラリア注射薬の副作用情報
フィラリア注射の注意点
フィラリア予防のためにフィラリア注射を選択する場合には、いくつかの注意点があります。
そうした注意点を把握しないままだと、そもそもフィラリアの注射を受けることができなかったり、何かしら問題が起きてしまったりする場合があります。
ですので、フィラリア注射を希望する場合には事前に注意点についても把握しておくようにしましょう。
フィラリア注射を受けられる条件がある
フィラリア注射には、いくつか「受けられる条件」があり、以下のような犬は接種を控えるべきとされています。
- すでにフィラリアに感染している犬
- 成長期の犬
- 妊娠中や高齢な犬
- 持病を持っている犬
- アレルギーを起こしたことがある犬
- 重い病気を治療中の犬
ただし、「妊娠中」「疾患がある」という場合、必ずしも絶対に受けられないわけではありません。
動物病院で獣医師に見てもらい、判断を仰ぎましょう。
フィラリア注射とワクチン接種
「狂犬病ワクチンや混合ワクチンを接種させるついでに、フィラリア注射も一緒にしてもらえたら……」
そのように考えている飼い主さんもいるでしょう。
しかし、基本的にフィラリア注射とワクチン接種を同時に行うことはできません。
動物病院によって対応はさまざまですが、「日をずらして行うこと」が推奨されています。
ちなみに順序はどちらが先でも構いませんが、病院によっては、どちらを先にするかでずらすべき間隔が異なるため、必ず確認しましょう。
【例】
フィラリア注射が先:1週間後にワクチン接種
ワクチン接種が先:2週間以上してからフィラリア注射
フィラリア注射を受けた後に注意すべきこと
フィラリア注射を受けた当日は、安静にする必要があります。
散歩に連れていったり、激しく体を動かすような遊びに誘ったりするのは避けて、静かに過ごさせましょう。
また、トリミングやシャンプーなども当日は行わないのが望ましいです。
(注射前に済ませておきましょう)
また、副作用についても注意が必要です。
フィラリア注射を受けたあと、次のような様子が見られるときは動物病院に相談しましょう。
- 元気や食欲がない
- じんましんやかゆみがある
- 嘔吐や下痢の症状が見られる
まとめ
こちらのページでは
- フィラリアの注射がどんなものなのか
- フィラリア注射の効果や費用
- フィラリア注射のメリットやデメリット
など、フィラリアを予防するためのフィラリア注射についてさまざまな紹介してきました!
フィラリアの予防法は予防薬を投与するというのが、今も主流ではあります。ですが、この方法では毎月の通院や予報薬の投与など飼い主、ペットともに負担がかかってしまいます。
ですが、フィラリア注射の活用によって、一度の通院と注射だけで毎月の通院や予防薬の投与が必要なくなるので、非常に効果的な方法といえます。
ペットとのすこやかな毎日のためにもフィラリアの予防は飼い主にとっての大きな責任のひとつともいえるので、忘れることなく予防するようにしましょう!

フィラリア予防は注射のほかに薬を投与する方法があります。注射が苦手な場合やできる限りコストを抑えたい方はフィラリア予防薬の投与がオススメです。フィラリア予防薬は通販で購入すればかなりコストを抑えることが可能です!