フィラリア予防薬は種類が豊富!「投与方法」と「有効成分」を確認しましょう!

フィラリア予防薬は種類が豊富!「投与方法」と「有効成分」を確認しましょう!
愛犬の命と健康を守るため、絶対に欠かすことができないのがフィラリア予防です。
フィラリア症は蚊を媒介して広がる感染症のため、温暖な気候である日本では気づかない間に感染してしまうおそれがあります。
最近ではグローバル化によって海外から蚊が入り込んでいる可能性があるため、フィラリア予防専用の薬を使って、定期的に予防をすることが非常に重要になってきます。
フィラリア予防薬にはどのようなものがあるのか、選ぶときのポイントは何かを事前に確認し、来るフィラリア予防のシーズンに備えておきましょう。

 

フィラリア予防薬の種類【投与方法】

獣医
フィラリア予防薬は、どのような方法で投与するかによって、4つの種類に大きく分けることができます。
選んだ種類によって投与のしやすさが大きく変化するため、フィラリア予防薬を選ぶ際に無視できない部分でもあります。

参考元:犬のフィラリア予防薬の選び方! 種類ごとのメリットや副作用を解説【獣医師監修】

 

注射

動物病院で受けることができるのが、注射タイプの予防薬を使ったフィラリア予防です。
皮下注射をすることによって愛犬の体内に入り込んだフィラリアの幼虫を死滅させ、フィラリア症を予防します。
効果が12ヶ月もの間、得られるものもあるのが特徴で年に1回の注射で通年予防することができます。
1回の接種で通年予防ができるので、毎月予防薬を投与する必要がなく、投与し忘れが発生してしまう心配もないというメリットがあります。

 

錠剤

多くの飼い主の方々に長く使われているのが、この錠剤タイプです。
人間が飲むような薬と同じタイプでフードやおやつに混ぜたり、直接愛犬に飲ませたりして投与します。
毎月、欠かさずに投与しなくてはなりませんが、他の投与方法に比べると1錠あたりのコストが安いものが多いという特徴があります。
また、皮膚がデリケートな愛犬に対しても使いやすい、古くから使われている有効成分が使われているものもあるので実績が豊富という強みもあります。

 

スポット(スポットオン)

錠剤が苦手な愛犬や、食物アレルギーがある愛犬に対しても使いやすいのがスポットタイプです。
有効成分が配合された薬液を肩甲骨の間あたりの皮膚に滴下するだけで投与が完了するため、どのような愛犬に対しても比較的楽に投与することができます。
また、錠剤等でよくある吐き戻しの心配もなく、投与を失敗してしまうことがほとんどありません。
投与した薬液は皮膚から吸収されていくので、投与後、一定時間が経てばスキンシップやシャンプーも問題なく行えます。

 

チュアブル(おやつ)

国内で使われているフィラリア予防薬のうち、主流になってきているといえるのがこのタイプです。
錠剤と同じく経口投与タイプの予防薬ですが、錠剤とは異なってフレーバーがついているのが特徴です。
おやつのような感覚で投与でき、犬の嗜好性が高いフレーバーがついているので吐き戻される心配も少なく、従来の錠剤タイプよりも投与しやすくなっています。
しかし、食物アレルギー等がある場合は投与が難しいこともあるので、その点には注意が必要です。

 

フィラリア予防薬の種類【有効成分】

薬
フィラリア予防薬は、どのような成分が使われているかによってもいくつかの種類に分けることができます。
現在、フィラリア予防薬に使われている成分はイベルメクチン」「モキシデクチン」「ミルベマイシンオキシム」「セラメクチン」の4つです。

 

イベルメクチン

イベルメクチンは、古くからフィラリア予防や寄生虫予防に使われてきた知名度が高い成分です。
無脊椎動物の神経や筋細胞の伝達に対する作用を有しており、シグナル伝達物質である塩化物イオンの結合を阻害して神経や筋細胞の活動を抑制し、麻痺させることによってフィラリアの幼虫を死滅させます。
妊娠中や授乳中であっても投与できるフィラリア予防薬といわれており、予防効果と安全性の両方に優れているのが特徴です。
カルドメックチュアブルキウォフハートなどのフィラリア予防薬に使われています。

参考元:イベルメクチンってどんな薬?気になる情報を獣医師が解説【獣医師コラム】

 

モキシデクチン

フィラリアだけでなく、他の寄生虫も駆除したい場合にはモキシデクチンが使われることが多いです。
モキシデクチンは、フィラリアはもちろん、疥癬やミミダニ、その他の線虫類にも駆虫効果を発揮するのが特徴の成分です。
寄生虫に特有のグルタミン酸開口型塩化物イオンチャネルに作用し、塩化物イオンの膜透過性を増加させて、寄生虫の神経や筋肉組織を過分極させて麻痺を引き起こすことによって予防効果を発揮します。
アドボケートシンパリカ・トリオなどの予防薬に使われています。

参考元:アドボケート®犬用・猫用

 

ミルベマイシンオキシム

ミルベマイシンオキシムは、オールインワンタイプの予防薬に使われていることがある成分です。
寄生虫の神経細胞や筋細胞における神経伝達作用に障害を引き起こし、弛緩麻痺を引き起こして駆虫効果を発揮します。
また、フィラリアだけでなく回虫や鈎虫に対しても効果があるため、フィラリアと同時にこれらの寄生虫も予防できます。
ミルプラゾンネクスガードスペクトラなどの予防薬に使われており、フィラリア予防と寄生虫予防を同時に行いたいとお考えの方々に多く選ばれています。

 

セラメクチン

レボリューションやストロングホールドなど、スポットタイプのフィラリア予防薬に使われていることが多いのがセラメクチンという成分です。
この成分は、節足動物および線虫類のグルタミン酸受容体の塩素イオンチャネルに結合することで、細胞内の塩素イオンの透過性を亢進させて神経活動を抑制し、予防効果を発揮します。
一部の有効成分が使えないコリー系の犬種に対しても毒性を示す心配がなく、安心して使用することができます。
また、セラメクチンは投与方法がスポットタイプにのみ限られているという特徴もあります。

参考元:作用機序・薬物動態 | レボリューションプラス

 

フィラリア予防薬の種類は豊富!選び方のポイントは?

イベル
ご紹介したように、フィラリア予防薬にはたくさんの種類があります。
ともに暮らしている愛犬に適したものを選ぶのが一番ですが、あまりにも数が多い場合、どういったポイントに注目して選べばいいのか迷ってしまうことでしょう。
フィラリア予防薬の選び方のポイントは、大きく分けて4つです。

 

基本は「投与タイプ」や「有効成分」から選ぶ

フィラリア予防薬を選ぶ際は、基本的に「投与タイプ」と「有効成分」に注目して選びましょう。
定期的に使う必要がある薬だからこそ、フィラリア予防薬は愛犬や愛猫にとって何がもっとも良いのかを考え、選ぶ必要があります。
どのような投与方法で、どのような有効成分なら愛犬や愛猫に適しているかを考え、これなら適していると思ったものを選びましょう。
通販を利用して購入する場合、動物病院で処方してもらったものと同じ予防薬を購入するのが最善です。

 

コリー犬種は基本的に「セラメクチン」

コリー系の犬種と暮らしている場合は、基本的にセラメクチンを選びましょう。
イベルメクチン等の一部の有効成分とコリー犬種は相性が悪く、神経毒性を示してしまうおそれがあります。
ミルベマイシンオキシムもコリー犬種に投与して問題ないケースもありますが、ミルベマイシンオキシムはイベルメクチンの類似薬という特徴もあります。
もしミルベマイシンオキシムを投与する場合は、動物病院で必ず担当医と相談しましょう。

 

なるべくコストを安く抑えたいなら「錠剤」

フィラリア予防は、蚊の姿を多く見かける時期は継続的な対策が必要になります。
最近は温暖化の影響によって蚊を見かける時期が延びているため、以前よりも長い間、フィラリア予防が必要になってきています。
その間は予防薬代がかかり続けるため、なるべくコストを抑えたいという方もいらっしゃることでしょう。
そのような場合は、最もコストを抑えられる錠剤タイプのものを選びましょう。

 

投与が面倒に感じるのなら「注射」

すでにご紹介しているように、注射タイプの予防薬は動物病院で接種することができます。
飼い主側で定期的に予防薬を投与する必要がなく、動物病院のみで完結することができます。
投与する回数も1年に1回で十分なので、途中で投与し忘れてしまう心配もありません。
予防薬を投与し忘れてしまいそうで不安に感じている方や、動物病院のみで完結したいという方は注射タイプのものを選びましょう。

 

まとめ

フィラリア症は、感染しないように予防薬を使って予防することが重要な病気です。
現在、国内で使われているフィラリア予防薬はたくさんの種類があり、投与方法や配合されている有効成分によって細かく分けることができます。
種類によって投与しやすさが大きく変化するため、ともに暮らしている愛犬にとって、もっとも適しているものを選ぶ必要があります。
 
特にコリー犬種の場合、一部の有効成分は相性が悪いため、慎重に選ばなくてはなりません。
基本的に投与方法や有効成分に注目しつつ、コリー犬種と暮らしている場合はコリー犬種にも使えるかどうか、コストを抑えたいかどうか、投与が面倒に感じるかどうかなどのポイントに注意しながら、フィラリア予防薬を選びましょう。