愛犬・愛猫がマダニに噛まれたらどうなる?人間にうつる感染症にも要注意

愛犬・愛猫がマダニに噛まれたらどうなる?人間にうつる感染症にも要注意愛犬・愛猫がマダニに噛まれると、さまざまな症状があらわれたり、重篤な病気に感染する可能性があります。

こちらのページではそんなマダニに噛まれた場合の対処法や噛まれたときに感染する可能性がある病気について紹介します。
マダニが愛犬や愛猫にもたらすリスクを適切に把握して、対処するようにしましょう。

 

愛犬・愛猫がマダニに噛まれたらどうなる?

愛犬・愛猫がマダニに噛まれたとき、さまざまな症状があらわれることがあります。
代表的なものとしては噛まれた場所が赤くなったり、はれたり、痒がったりします。
また、体調不良や発熱がある場合もあります。

愛犬が既にマダニに噛まれてしまっているような場合は、自身でマダニを取り除いたりしないようにしてください。無理に取り除くと噛みついている口の部分がちぎれて皮膚に残ってしまいます。そのため、動物病院を受診して適切に取り除いてもらうようにしましょう。

 

マダニに噛まれると感染症にかかる可能性がある

マダニは、犬や猫などの動物、人間の体の表面から吸血する「吸血性節足動物」です。
 
そして、マダニは病原体を媒介することもあり、愛犬・愛猫が噛まれてしまうと、以下のような病気にかかる可能性があります。

  • SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
  • 犬バベシア症
  • 猫ヘモバルトネラ症

ここからは、マダニの媒介によって引き起こされる上記3つの病気について詳しく紹介します。

参考元:マダニに愛犬が刺されたら?

 

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、マダニを媒介して犬・猫に感染する可能性があるウイルス性感染症です。
 
愛犬がSFTSに感染してしまうと元気・食欲消失や発熱の症状がみられ、嘔吐などの消化器症状や黄疸などの症状があらわれます。
また、愛猫が感染した場合の症状は犬とほぼ同じですが、黄疸の症状があらわれるケースが犬よりも多くなっています。

現在このSFTSに対する治療法は確立されていないため、症状に合わせた対症療法が基本となっています。
SFTSの致死率は犬の場合30%程、猫の場合65%程といずれも高いため、感染しないようにすることが何よりも大切です。
 

参考元:マダニに愛犬が刺されたら?

 

犬バベシア症

犬バベシア症とは、バベシア原虫という病原体が犬の血液中の赤血球を破壊する病気です。

症状としては食欲不振や溶血性の貧血、リンパ節が腫れたり尿の色が赤くなったり濃い黄色に変化するといった症状があらわれます。
上記の他にも嘔吐や発熱、体重減少や黄疸などの症状もあらわれます。

犬バベシア症の治療は薬を用いた対症療法が基本となっていますが、貧血がひどいような場合には輸血などを行うこともあります。
また、致死率も5%程と決して低くはないため、適切な治療を行うことが大切です。

参考元:バベシア症に罹患した犬の1例

 

猫ヘモバルトネラ症

猫ヘモバルトネラ症は、病原体の「ヘモバルトネラ・フェリス」が赤血球の表面に寄生することで発症する病気です。
「猫伝染性貧血」とも呼ばれる病気で、感染初期は発熱などの症状があらわれますが、貧血が進行していくと鼻の頭や歯茎が真っ白になったり、運動での息切れや食欲の消失、脾臓の腫れといった症状があらわれ、重症化すると死に至るケースもあります。

抗生物質の投与が基本となる治療法ですが、貧血がひどいような場合には輸血などを行うこともあります。
適切な治療を行っても再発のリスクはありますが、再発しないまま生涯を終える猫がほとんどであるため適切な治療は重要です。

参考元: マダニに愛犬が刺されたら?

 

愛犬・愛猫がマダニに噛まれたら人間にも影響が出る場合も

愛犬・愛猫がマダニに噛まれたら人間にも影響が出る場合も
マダニを介して感染する感染症の中でもSFTSは「人獣共通感染症(ズーノーシス)」に分類され、愛犬や愛猫だけでなく人にも感染する感染症のひとつです。
SFTSが人に感染した場合も、有効な治療法は確立されておらず、致死率は30%という報告もあるため、飼い主にとっても脅威になります。

もし愛犬・愛猫がSFTSを発症した場合は、飼い主へも感染が広がる可能性があるため、適切な対処は必要不可欠といえます。

愛犬や愛猫だけでなく飼い主にまで影響を及ぼす寄生虫はマダニ以外にノミがいます。
そんなノミが人を刺したときの情報についてはこちらで詳しく紹介しています。
 


 

愛犬・愛猫がマダニに噛まれたらどう対処する?

愛犬・愛猫がマダニに噛まれた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
ここでは、マダニに噛まれた際の対処法を詳しく見ていきましょう。

 

動物病院に連れて行く

愛犬・愛猫に噛みついているマダニを発見した場合は、速やかに動物病院に連れて行き、獣医の処置を受けましょう。
マダニの吸血期間は数日から10日以上にもわたり、10mmほどの大きさになることが一般的です。
 
ペットが体をかいたり、体を地面にこすりつけたりするときは、マダニが寄生している可能性があるため、チェックしてみましょう。
 
吸血によって体が膨らんだマダニは、黒いイボのような状態になっていますが、決して引きちぎったり、潰したりしないよう注意が必要です。
マダニを無理に取り除こうとすると噛みついたアゴのみが皮膚に残り、化膿や腫れを引き起こす可能性があるためです。
 
大切な愛犬・愛猫はもちろん、飼い主自身の健康を守るためにも、無理なマダニの除去は控え、動物病院に連れて行くことをおすすめします。

 

自分でマダニを除去する

マダニは医師に取ってもらうことが推奨されていますが、マダニがまだ噛みついていない場合は、先の細いピンセットやテープなどを使って取り除くことが可能です。
 
しかし、マダニが噛みついてしまっている場合は自身で除去するのは危険なため、動物病院を受診して適切な対処を受けるようにしましょう。

マダニやノミのより詳しい取り方についてはこちらのページで詳しく紹介しています。
 


 

愛犬・愛猫がマダニに噛まれていないかチェックする方法

愛犬・愛猫がマダニに噛まれていないかをチェックする際は、体に手を沿わせて小さなしこりや炎症箇所がないかチェックしましょう。
前述のとおり、吸血したマダニは10mmほどの大きさになるため、目視が可能です。
 
特に以下のような箇所に潜んでいるケースが多いため、しっかりとチェックしてください。
 
マダニチェック
もし、愛犬・愛猫の体を噛んでいるマダニを発見した場合は、動物病院で処置してもらいましょう。
 

愛犬・愛猫がマダニで病気にならないための予防法

愛犬・愛猫がマダニで病気にならないための予防法としては、以下が挙げられます。

  • 予防薬を定期的に投薬する
  • 外出時は虫よけスプレーをする
  • 定期的に体をチェックする
  • 室内は常に綺麗にしておく

 
ここでは、それぞれの予防法について詳しく見ていきましょう。
 

予防薬を定期的に投薬する

愛犬・愛猫がマダニを媒介とした病気にかからないようにするには、予防薬を定期的に与えることが大切です。
一口に予防薬といってもさまざまな種類があるため、かかりつけの獣医と相談しながら、最適な予防薬を選びましょう。
 
また、マダニを媒介とする病気と同時に、蚊を媒介に寄生虫のフィラリアが体内に侵入し、血液の循環障害を起こす「フィラリア症」を予防できるオールインワンタイプの予防薬もあります。この予防薬を使えば、1回の投薬でさまざまな病気を予防できます。

参考元:フィラリア症の予防について

 

女医
マダニに噛まれてからでは手遅れ。噛まれる前に予防的対策をすることが大事です!ノミ・ダニの駆除薬を通販で購入しておき、予防・対策しておくことをオススメします!

 

外出時は虫よけスプレーをする

マダニは、春から初夏にかけて草むらにいるとされています。
そのため、愛犬・愛猫を散歩させる際は、虫よけスプレーを吹いてマダニを寄せ付けないことが大切です。
犬・猫はもちろん、人間にも安全性の高い虫よけスプレーを選ぶことで、継続して使用できます。
ほかの飼い主の評価などもチェックして、適切な商品を選ぶようにしましょう。
 

定期的に体をチェックする

マダニによる病気から愛犬・愛猫を守るためには、定期的に体をチェックすることも重要です。
その理由として、マダニが吸血を始めて48時間以降に、病気を媒介する危険性がアップするといわれているためです。
 
愛犬・愛猫に噛みついているマダニを早めに発見して、適切な対処ができれば、病気に感染するリスクを減らせます。
 

室内は常に綺麗にしておく

家の中にある愛犬・愛猫の寝床やお気に入りの場所をこまめに掃除して、マダニが発生しない環境を保つことが大切です。
 
基本的にマダニが生息しているのは屋外ですが、室内に侵入するケースもあります。
そのため、畳やカーペットに殺虫剤を吹きかけたり、週に1回の頻度で掃除機をかけたりすることで、マダニを駆除できる可能性があります。
 


 

まとめ

愛犬・愛猫がマダニに噛まれると、SFTSをはじめとする病気にかかる可能性があるほか、飼い主自身に影響を及ぼす可能性があります。
対処法としては、動物病院に連れて行くことが推奨されていますが、酢水もしくは消毒用アルコールを使った方法でマダニを除去できるケースもあります。
 
愛犬・愛猫の病気を防ぐために、予防薬を定期的に投薬したり、体をチェックしたりすることを忘れないようにしましょう。
愛犬・愛猫の健康を守るために、この記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。