犬のフィラリアは人間にうつる?感染リスク・症状・予防方法を徹底解説
「犬のフィラリアは人にもうつるの?」
「フィラリアに感染した犬を飼っているけど大丈夫?」
そんな不安・疑問をお持ちの方もいるでしょうが、実際はどうなのでしょうか?
実は、フィラリアは犬だけでなく人にも感染する可能性があります!
この記事では、フィラリアが人に感染するリスク、症状、予防方法について詳しく解説します。
フィラリアは人間にうつる?
犬や猫を飼い始めると、獣医さんやまわりの人に「フィラリアの予防はしてあげてる?」などと聞かれることも多いですよね。
そのため、「ペットの病気」というイメージが強いと思います。
でも実際には、人間にも感染することがあります。
ただし、フィラリアには大きく2種類あり、それぞれ特徴が大きく異なります。
このうち、日本で人への感染を心配すべきは「犬フィラリア」です。
リンパ系フィラリア症は国内感染リスクがなく、熱帯地域への旅行時のみ注意が必要です。
犬フィラリアが人にうつる仕組みと感染経路
犬のフィラリア(犬糸状虫)は、ペットの犬から蚊を媒介して人に感染する可能性があります。
日本国内では、1964年に人への感染第1例が報告されて以来、現在まで約100例を超える報告があります。
これを肺犬糸状虫症または肺外犬糸状虫症と呼びます。
ただし、感染しても90%のフィラリアは成虫になれず、たいていは無症状のまま終わります。
人間の体内は犬と異なり、フィラリアが生息しやすい環境ではなく、人は終宿主ではないからです。
感染経路
犬フィラリアの感染経路は以下の通りです。
犬から直接うつることはなく、必ず蚊を介します。
人が感染した場合の症状
すでに紹介したように、犬フィラリアの症状が人間に出ること自体、非常にまれなケースです。
ただし、実際に以下のようなケースが報告されています。
肺犬糸状虫症(感染報告例の約75%)
肺に寄生したフィラリアが結節を作ることで症状が出ます。
多くの場合、偶然の健康診断で肺に影が見つかり、精密検査で判明します。
肺外犬糸状虫症(感染報告例の約21%)
肺以外の臓器に寄生した場合です。
なお、いずれの場合も重症化することはほとんどありません。
犬の場合、フィラリアが心臓に大量寄生して命を脅かすことがありますが、人間の場合は自然に治癒するケースが大半です。
死亡例も、ほぼ報告されていません。
検査と治療
もし万が一、咳や胸の痛みが続く場合は、呼吸器内科または内科を受診してください。
ペットを飼っていること、フィラリア予防をしていないことを合わせて伝えると、診断がスムーズです。
フィラリアに感染していた場合は、胸部X線検査で肺に異常な影(結節)が見つかることがあり、CT検査や組織検査(生検)といったより詳細な検査で確認されます。
ただし、こう聞くと物々しい感じがするかもしれませんが、大がかりな治療は行われません。
基本的には経過観察のみで、ほとんどの場合は治療不要です。
症状が強い場合や悪性腫瘍と見分けがつかない場合は、外科的摘出が行われることもありますが、フィラリアの場合は術後の経過も良好なケースがほとんどです。
ペットのフィラリア予防が最大の対策!
日本でフィラリア予防をするなら、何といってもペットの予防が非常に重要です!
犬のフィラリア(犬糸状虫)は、ペットから蚊を媒介して人に感染する可能性があるため、まずはペットがフィラリアに感染しないように予防を徹底しましょう。
ペットに対しては、蚊が出ている時期(4~12月)を中心に月1回のフィラリア予防薬の定期投与が効果的です。

また、最近は年間を通して月1回の予防を続ける通年予防が推奨されるケースも多いため、薬代が高くなりがちですが、通販ならまとめ買いで安く入手できるので、コスパも良好です!
また、次のような「予防薬以外の対策」も有効です。
リンパ系フィラリア症とは?
リンパ系フィラリア症は、バンクロフト糸状虫などが原因となる病気です。
原因となる寄生虫は3種類あり、バンクロフト糸状虫が90%、マレー糸状虫、チモール糸状虫が残りを占めます。
リンパ系に寄生し、象皮病や陰嚢水腫などの深刻な症状を引き起こします。
この病気は、かつて日本でも九州地域や沖縄地域を中心に感染流行が認められ、東京都の八丈小島でも感染が確認されていました。
しかし、日本国内の医師や製薬会社による治療薬の研究・開発が成功し、地域住民とも協力し合い、1970年に根絶しています。
現在では、国内での新たな感染の報告はありません。
一方、世界的に見ると、リンパ系フィラリア症は現在もアジア、アフリカ、西太平洋、カリブ海と南アメリカの一部の熱帯・亜熱帯に属する地域にまたがる52ヶ国でみられます。
世界で8.6億人がリンパ系フィラリア症の感染リスクにさらされており、2000年の時点で1.2億人以上が感染しています。
リンパ系フィラリア症の症状
リンパ系フィラリア症は、無症候期、急性期、慢性期の3段階に分かれます。
リンパ系フィラリア症に感染した人の基礎疾患を世界全体で推定すると、陰嚢水腫の男性が約2500万人で、リンパ浮腫で苦しむ人は1500万人以上です。
これらの慢性的な疾患の発現に、少なくとも3600万人が苦しんでいるとされています。
参考元:リンパ系フィラリア症
熱帯地域での感染リスク
リンパ系フィラリア症は、主にアジア、アフリカや西太平洋、カリブ海、南米の一部の熱帯・亜熱帯地域で多く発生しています。
これらの地域を訪れる際には、蚊に刺されることを避けるための対策が必要です。
バングラディシュやコートジボワール、インドは特に感染リスクが高いという特徴があります。
それらの地域を旅行する際は特に、蚊に刺されやすい環境に身を置かないように注意することが必要です。
リンパ系フィラリア症の感染が懸念される熱帯・亜熱帯地域への旅行を計画している方は、特に注意が必要です。
なお、フィラリアが頻発する地域では、感染拡大を防ぐために年間を通じた集団治療プログラムが役立っています。
このプログラムでは、地域特有の寄生虫の有無に応じて複数の抗寄生虫薬が用いられ、感染者の血中ミクロフィラリアの数を減少させています。
リンパ系フィラリアの検査方法
リンパ系フィラリアの検査方法としては、血液検査が一般的です。
医師は顕微鏡を用いて、血液やリンパ組織の生検サンプル中にミクロフィラリアが存在するかを確認します。
超音波検査は、特に陰嚢水腫や四肢のリンパ管拡張などの評価に優れています。
最も特徴的な所見は「filarial dance sign(踊る糸状虫徴候)」と呼ばれるもので、これはリンパ管内で成虫が活発に動く様子を捉えたものです。
ただし、感染後に数年が経過してリンパ浮腫を発症した人でも陰性となることがあるため、診断には困難が伴います。
参考元:リンパ系フィラリア症
リンパ系フィラリアの治療方法
人がフィラリアに感染した場合、ジエチルカルバマジン、アルベンダゾール、イベルメクチンなどの駆虫薬を使用するのが一般的です。
ただし、リンパ浮腫や象皮病はフィラリアを取り除いた後も悪化するケースがあります。
悪化を防ぐためには、患部を清潔に保ち、リンパ液の流れを改善するための運動が大切です。
また、慢性の腫れに対しては、皮膚の丁寧なケアが必要です。
小さな傷やすり傷をしっかり洗浄することで、細菌感染を予防できます。
さらに、腫れを軽減するには、弾性包帯を巻く、患部を高く保つといった方法が有効です。
重度の象皮病や陰嚢の腫れに対しては、手術によって体液を排出するという方法が取られることもあります。
皮膚細菌感染症には抗菌薬の経口投与が行われており、象皮病の進行を遅らせることが可能です。
肺関連の問題には、ジエチルカルバマジンを用いるのが効果的ですが、感染症の再発が見られる場合もあり、その際は再治療が必要です。
なお、世界保健機関(WHO)は、リンパ系フィラリア症の蔓延を防ぐために地域全体での集団投薬を推奨しています。
蚊の媒介によって人から人へ感染するため、コミュニティ全体で制圧する必要があるとしています。
よくある質問
フィラリアの人への感染について、よくある質問にお答えします。
Q. 犬のフィラリアは人にうつる?
A.うつる可能性はありますが、人は終宿主ではないため、ほとんどの場合は無症状です。
日本では1964年以降、約100例の感染報告がありますが、症状が出ることは稀で、もし出たとしても咳や胸の痛み程度です。
Q. 犬から直接うつることはある?
A.ありません。犬フィラリアは必ず蚊を媒介します。
犬と触れ合っても、同じ部屋で寝ても、直接人にうつることはありません。
Q. 子供や妊婦は感染しやすい?
A.特に感染しやすいということはありません。
犬フィラリアの人への感染は非常にまれで、年齢・性別・妊娠の有無による差はほとんどないとされています。
Q. 日本でリンパ系フィラリア症に感染する?
A.いいえ。日本では1970年に根絶されており、現在は国内感染の報告はありません。
新たな感染の報告もなく、国内での感染リスクは極めて低いと言えます。
ただし、熱帯・亜熱帯地域の国々では今も“現役の病気”であるため、感染を避けるための工夫が欠かせません。
Q. ペットが感染していたら危険?
A.ペットが感染していると蚊を媒介して人に感染する可能性があるため、月1回のフィラリア予防が欠かせません。
なお、飼育環境が不衛生な場合はペットの感染確率が上がるため、要注意です。
不衛生な環境で飼われたペットが皮膚病になり、毛が抜けて皮膚が露出すると、蚊に刺されやすくなります。その結果、飼い主である人への感染リスクが高まるのです。
Q. 症状が出たらどうすればいい?
A.すぐに医療機関を受診してください。
血液検査や超音波検査で診断できます。
また、治療方法も確立されています。
まとめ
では、今回の記事内容をまとめます!
- ペットのフィラリアは人にも感染する
- 予防の基本:蚊に刺されないこと、ペットの予防
- 犬のフィラリア(犬糸状虫):日本で約100例報告、90%は無症状
- リンパ系フィラリア症:日本では1970年に根絶済み!
- 熱帯地域への旅行者はリンパ系フィラリア症に注意
人間が犬フィラリアに感染しても90%は無症状で終わりますが、感染リスクはゼロではありません。
ペットのフィラリア予防を毎年徹底することが、家族全員を守る最大の対策です!