フィラリア予防薬は国内で市販されている?購入する方法についても解説
フィラリア症は、蚊を媒介にして犬などの心臓や肺動脈に寄生し、呼吸困難や不整脈といった重篤な症状を引き起こす場合がある病です。フィラリア症を防ぐには、体内に入り込んだ幼虫を駆除する「フィラリア予防薬」の投与が有効です。
しかし、ドラッグストアや国内通販サイトではフィラリア予防薬は扱われておらず、どこで購入すればよいかわからないという方も多いでしょう。
この記事では、フィラリア予防薬が市販されていない理由や、予防薬を国内で購入する方法について解説します。併せて、代表的な予防薬の特徴も紹介します。フィラリア予防薬について詳しく知りたい人は参考にしてください。
目次
フィラリア予防薬は国内で市販されていない
現在、日本国内においてフィラリア予防薬は市販されていません。また、フィラリアがペットの体内にいるかを調べる検査キットも購入できません。
もし「フィラリアを予防できる」と謳う商品がドラッグストアやペットショップなどで市販されていたとしても、基本的には効果がないと考えられるため注意してください。
フィラリア予防薬が市販されていない理由
フィラリア予防薬が市販されていない理由は、農林水産大臣により「要指示医薬品」に指定されているためです。要指示医薬品とは、獣医の専門知識や技術の下でなければ使用できない薬のことを指します。例えば、副作用が強い薬は使用上のリスクがあり、使用前・使用中に獣医の診察と投薬指導を受けなければなりません。
副作用などのリスクも十分に考えられるため、専門医である獣医の処方箋が必要となっているわけです。
そのため、ドラッグストアなどでは販売されておらず、購入することができないのです。
では、フィラリア予防薬は一体どのように手に入れればよいのでしょうか?
次からはフィラリア予防薬を手に入れるための方法について紹介していきたいと思います。!
市販されてないフィラリア予防薬の購入方法とは?
フィラリア予防薬が店頭や国内通販サイトで購入できないのであれば、どのように入手すればよいのでしょうか。ここでは、予防薬を合法的に購入する2つの方法について、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
動物病院で処方してもらう
フィラリア予防薬を入手する方法として一般的なのは、動物病院で処方してもらうことです。獣医の診察と検査を受けることで、投与に適切な薬を処方してもらえます。
予防薬を動物病院で処方してもらうメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
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安全性が高い 即日で受け取れる 検査も受けられる |
費用がかさむ 通院の手間がかかる |
特に初めて投薬する場合、用法・用量について専門医から指導を受けたほうが安心できるでしょう。
また病院ではフィラリアの予防薬投与前に必要になる検査も行えます。
ただし、処方時には薬代以外に診察・検査代や交通費がかかります。また、薬がなくなるたびに病院に行く必要があるのはデメリットでしょう。
動物病院で処方される薬には、次のようなタイプがあります。
- 食事と一緒に内服する「錠剤・おやつタイプ」
- 皮下に注入する「フィラリア注射」
- 肩付近の皮膚に垂らす「スポットタイプ」
近年は、フィラリアとノミ・ダニを介した病気の予防を同時に行えるタイプも人気です。
海外通販で購入する
フィラリア予防薬はヨーロッパの一部やオーストラリアでは市販されているため、海外からの個人輸入でも入手できます。
予防薬を個人輸入するメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット |
デメリット |
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価格が安い 通院のための費用や手間がかからない |
薬の安全性や品質が保証されない 日本語の説明書が付属しない 受け取りに時間がかかる |
海外の業者と仲介してくれる個人輸入代行サイトを利用すれば、物価の安い国からお手頃な価格で予防薬が入手できます。ただし、いくら安くて便利でも、動物病院で処方される予防薬と比べると添付文書が英語表記だったりするので投与が難しくなるケースもあります。
フィラリア予防薬の購入は動物病院・海外通販どっちがよい?
フィラリア予防薬を動物病院と海外通販のどちらで購入すればよいのかは、動物病院の受診有無などのケースごとに異なります。
例えば、初回購入時や予防シーズン(5月上旬~12月下旬)の前は、動物病院で処方される薬をおすすめします。これは、適切な用法・用量を知らずに投薬した場合にアナフィラキシーショックにより重篤な副作用が起こる可能性があるためです。
安全性を重視するのであれば、毎年検査を受けてフィラリアが体内にいないかを確かめたうえで、獣医の指導のもとに投薬するほうが賢明でしょう。
一方で、海外通販は、動物病院の処方薬と同じものを安価でリピート購入したい場合に役立ちます。ただし、個人輸入した予防薬の使用は自己責任です。個人輸入でも安全性を得たい場合は、100%メーカー正規品を扱う個人輸入代行サイトで予防薬を選ぶとよいでしょう。
動物病院で主に処方されるフィラリア予防薬
ここでは、動物病院で処方される主なフィラリア予防薬についてタイプや特徴、安全性などを解説します。
パノラミス錠
「パノラミス錠」は、アメリカの動物用製薬会社であるエランコが製造・販売する、月に1回飲む錠剤タイプのフィラリア予防薬です。蚊の発生から発生終息1ヶ月後までの間に、餌に混ぜるか投与前後に少量の餌を与えることで効果を発揮します。
ミルベマイシンオキシムとスピノサドという有効成分が含まれており、フィラリア以外にノミ・マダニや回虫など計6種類の寄生虫対策にも有効です。
230頭の犬に投与した国内臨床試験では全頭がフィラリア陰性という結果があるため、予防効果に問題はないでしょう。ただし、副作用として嘔吐・下痢・食欲不振・じんましんなどの症状が現れる可能性があります。
参考元:パノラミス®錠
プロハート12
「プロハート12」は、アメリカに本拠を置く世界最大手の動物用製薬会社であるゾエティスが製造・販売する、1回の投与で1年間効果が続くフィラリア注射です。フィラリアを神経麻痺させるモキシデクチンが含まれており、動物病院で皮下注射を受けることで投与します。特長としては、1年のうちいつでも投与できるため、病院の繁忙期を避けて予防対策を始められる点が挙げられます。
209頭の犬を対象とした臨床試験では100%がフィラリア陰性であり、副作用の発生も1症例であった結果から、予防効果と安全性が確立されました。MDR1遺伝子が欠損していることによりフィラリア予防薬との相性が悪いとされるコリー系品種に対しても、問題なく投与可能です。起こり得る副作用には、嘔吐・下痢・じんましんなどがあります。
参考元:プロハート12
海外通販で購入できるおすすめフィラリア予防薬
ここでは、海外通販で購入できるおすすめの犬用フィラリア予防薬についてタイプや特徴、安全性などを解説します。
ストロングハートプラス・チュアブル
「ストロングハートプラス・チュアブル」は、インドのペット用製薬会社であるサヴァ・ヴェットが製造・販売するチュアブルタイプのフィラリア予防薬です。噛み砕かせて投与することで、有効成分のイベルメクチンが血管内にいるフィラリアの幼虫を死滅させます。味と噛み応えがビーフジャーキーに似ているため与えやすいほか、フィラリア以外に回虫・鉤虫(こうちゅう)・鞭虫(べんちゅう)駆除にも有効な薬です。
ストロングハートプラス・チュアブルは、カルドメックのジェネリック医薬品です。カルドメックと配合成分が同じであることから、安価でありながら高い予防効果と安全性が保証されています。
嘔吐・食欲不振などの副作用の発生は稀にあるものの、妊娠中の犬や生後6週間以降の子犬にも投与可能です。価格については、小型犬用6錠が4,560円程度(1錠あたり760円)です。
ネクスガードスペクトラ
「ネクスガードスペクトラ」は、チュアブルなチュアブルタイプのフィラリア予防薬です。ドイツに本拠を置くベーリンガーインゲルハイムが製造・販売しており、ミルベマイシンオキシムの殺虫作用がフィラリアの幼虫を駆除します。
犬が食べやすいソフトな噛み応えとミート風味が特徴の予防薬であり、1,342頭を対象にした調査では96.4%が食べたという結果もあります。もともとはノミ・ダニ対策用の薬であり、回虫・鉤虫・鞭虫といった消化管内寄生虫の駆除にも有効です。
下痢・食欲不振・かゆみなどの副作用が稀に見られますが、基本的に一過性のもので治療の必要はありません。用法・用量を守ることで、生後8週間以降・体重1.8㎏以上の子犬に使用できます。価格については、小型犬用3錠が9,260円(1錠あたり3,087円)です。
キウォフハート
「キウォフハート」は、先ほど紹介したストロングハートプラス・チュアブルと同様に、サヴァ・ヴェットが製造・販売するチュアブル錠タイプのフィラリア予防薬です。イベルメクチンを主成分とするミート風味の錠剤には割線がついており、犬の体重に応じて成分量を調整できるようになっています。フィラリアと同時に、回虫・鉤虫・鞭虫も駆除できます。
なお、キウォフハートは、ストロングハートプラスと同じくカルドメックのジェネリック医薬品です。起こり得る副作用に嘔吐・食欲不振・痙攣などがありますが、妊娠中の犬や生後6週間以降の子犬にも投与できます。価格については、小型犬用6錠が3,960円(1錠あたり660円)です。
フィラリア予防薬の購入に関するよくある質問
ここからは、フィラリア予防薬の購入に関するよくある質問とその回答を紹介します。
Q.動物病院でフィラリア予防薬だけを購入することはできる?
動物病院では、フィラリア予防薬のみの購入は原則不可です。毎年の投薬シーズンの初回は、処方前に必ず血液検査と体重測定を受けなければなりません。
フィラリア予防薬は既に感染している犬にとっては効果がない可能性があるだけでなく、重大な副作用を引き起こすリスクにもなりえます。
そのため、事前の検査は必要不可欠なものとなっています。
ただし、その年に処方された薬が切れた場合は、同じ薬を単体で購入できます。
参考元:フィラリア予防のご案内
Q.フィラリア予防薬などの医薬品を個人輸入してもよい?
フィラリア予防薬を含む一部の医薬品を個人輸入・使用することは、法的には問題ありません。
医薬品医療機器等法(薬機法)によりフィラリア予防薬の個人輸入は、購入した本人が飼っているペットに対して使用する場合に限って認められています。
なお、個人輸入する際は原則的に地方厚生局に営利目的でないことを証明する書類を提出する必要があるものの、2ヶ月分以内の数量であれば提出は不要です。
参考元:医薬品等の個人輸入に関するQ&A
まとめ
フィラリア予防薬は要指示医薬品に指定されており、国内では市販されていません。
入手する方法は、動物病院で処方を受けるか、海外通販で購入するかのどちらかです。
安全性を重視する場合は動物病院の処方を受けることをおすすめしますが、コストを重視する場合は通販でフィラリア予防薬を入手してもよいでしょう。
本記事を参考に、自身のペットに合った最善の方法でフィラリア予防薬を入手してみてください。