犬や猫に元気がないのは甲状腺機能低下症の可能性も!どんな病気?予防方法は?
飼っている犬や猫が、何となくしょんぼりしていて元気がない……。
食欲もあまりないみたい……。
「風邪ひいた?」「夏バテ?」など軽く考えている方もいるかもしれませんが、甲状腺機能低下症が原因かもしれません!
甲状腺機能低下症は私たち人間の病気でもありますが、犬や猫も発症することがあります。
今回の記事では、そんな甲状腺機能低下症の予防方法や、かかりやすい犬・猫の種類などについて解説します。
甲状腺機能低下症についてよくご存知ではない飼い主さんは、ぜひ最後までチェックしてみてください。
目次
犬や猫に起こる甲状腺機能低下症ってなに?
甲状腺機能低下症とは、「甲状腺ホルモン」の分泌量が下がることで起こる病気です。
元気がなくなる、動きが鈍くなる、食欲が低下するといったさまざまな症状を引き起こし、全身のさまざまな機能が低下します。
甲状腺は喉の甲状軟骨(のどぼとけ)のすぐ下にある器官で、そこから分泌される甲状腺ホルモンには体の代謝を活発にする働きがあります。
その分泌量が下がると、活発さが失われて上記のような症状があらわれるわけです。
参考元:犬の甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症の逆「甲状腺機能亢進症」とは?
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌量が減少することでさまざま症状が起こる病気ですが、「甲状腺機能亢進症」は甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になることで発症する病気です。
甲状腺機能亢進症の症状は、甲状腺機能低下症とはまったく異なります。
落ち着きがなくなって攻撃的になる、食欲が異常に増すなどの症状があらわれます。
ちなみに、この病気は犬より猫に多く見られ、とくに高齢期の猫が発症しやすいといわれています。
参考元:甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症はどんな犬や猫が発症しやすい?
ここでは甲状腺機能低下症はどのような犬・猫が発症しやすいのか、また発症しやすい年齢はいつごろ?という疑問についてまとめてみました。
「うちの子は大丈夫?」と心配されている飼い主さん、ぜひチェックしてみてください。
中型・大型の犬が発症しやすい
甲状腺機能低下症は中型~大型犬に多く見られるといわれています。
とくに注意したい犬種は、以下の通りです。
- ゴールデンレトリーバー
- ラブラドールレトリバー
- グレートデン
- ドーベルマン
- シベリアンハスキー
なお、「小型犬の発症は稀」といわれていますが、ミニチュアシュナウザーやミニチュアダックスフンドといった犬種はほかの小型犬に比べて発症する可能性が高いといわれているので要注意です。
また、発症しやすい年齢は4~6歳頃といわれていますが、6歳以降でも発症することがあります。
というわけで、何歳であったとしても注意を怠らないようにしましょう。
猫が発症するのは稀
実は猫の場合、甲状腺機能低下症になりにくいといわれています。
ただし、甲状腺機能亢進症は犬に比べて発症しやすい傾向があるため、注意が必要です。
この病気の症状は「活動的になりすぎる」「食欲が異常に増える」といったものなので、「元気だな~」と思うだけで病気に気づかず、見過ごしてしまうことがあります。
とくに更年期には発症しやすくなるので、年齢を重ねたら定期的に検診を受け、ホルモン値の異常がないか確認するのがおすすめです。
犬や猫が甲状腺機能低下症になるとどんな症状があらわれる?
犬や猫が甲状腺機能低下症になると、以下のような症状を引き起こします。
- 疲れやすくなる
- 元気がない
- 寝そべったまま立ち上がらなくなる
- 食欲がなくなる
- 顔やまぶたが腫れている
- 首をかしげる、下を向く動作が増える
甲状腺ホルモンは体の代謝を活発にする働きがあるため、分泌量が低下することで「疲れやすい」「元気がない」といった症状が起こり始めます。
進行すると嗜眠(※)、体温低下といった症状が現れ、明らかに「ぐったりしている状態」になります。
(※半ば眠った状態が続き、体に直接刺激を与えないと起きない)
なお、体温低下といっても著しく体温が下がるわけではありません。
「体が冷えているので寒いところを嫌がる」という感じになるので、冬場などは注視しましょう。
犬や猫が甲状腺機能低下症になってしまう原因はなに?
甲状腺機能低下症の原因として最も多く見られるのは、免疫システムの機能異常です。
本来は体内に侵入してきた病原菌などの異物を撃退する免疫のシステムが異常を起こし、甲状腺を「異物」と見なして攻撃を仕掛け、破壊することがあるのです。
結果的に、甲状腺ホルモンの分泌量が下がって病気を発症するというメカニズムです。
こうした免疫システムの異常があらわれるのは遺伝によって甲状腺機能不全などを引き起こしているケースが考えられます。
病気が原因になることはない?
甲状腺機能低下症は、自己免疫の異常によるものがほとんどです。
しかし稀に、他の病気が甲状腺機能低下症を引き起こす原因になることもあります。
具体的には、腫瘍やヨード欠乏症、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)などが挙げられます。
また、甲状腺機能亢進症の治療を受けた反動で甲状腺機能低下症を発症した事例もあります。
甲状腺機能低下症を予防する方法はある?
残念ながら、甲状腺機能低下症を予防する方法はありません。
主な原因である自己免疫の異常は、あらかじめ察知することができないものだからです。
飼い主としてできることは、なるべく早期発見できるように努めることです。
定期的な検診を受けさせたり、日ごろの様子をしっかり確認したりして、早めに気づけるようにしましょう。
「もしかしたら発症しているかも?」と疑わしいけれども確信がない……というときは、血中のホルモン検査を受けることが望ましいです。
犬や猫が甲状腺機能低下症になったらどんな治療を受けるの?
ここでは、甲状腺機能低下症にかかったらどんな治療を受けるのかについてまとめてみました。
気になる治療にかかる費用などについても触れていますので、最後までチェックしてみてください。
甲状腺ホルモン補充療法で治療する
甲状腺機能低下症と診断された場合、内服薬を使用した「甲状腺ホルモン補充療法」を受けることになります。
文字通り、減少した甲状腺ホルモンを補充して増やすという治療方法ですが、即効性はありません。
ホルモン量が安定するまで数週間から数ヶ月かかるといわれています。
また、甲状腺ホルモン補充療法は、甲状腺機能低下症を完治させることはできません。
内服薬を一定期間に渡って飲み続けたからといって甲状腺が完全に回復することはなく、生涯にわたって服用し続ける必要があります。
参考元:甲状腺機能低下症
定期的なホルモン検査を受ける
甲状腺ホルモン補充療法を受けることで、甲状腺機能低下症の症状は次第に安定してきますが、補充されるホルモンの量が過剰になってしまうと逆効果です。
過剰に甲状腺ホルモンを補ってしまうことで、ホルモンの作用が強まりすぎてしまい甲状腺機能亢進症の症状を引き起こしてしまう可能性があるわけです。
そのため、甲状腺ホルモン補充療法は定期的に甲状腺ホルモンの値を調べ、ホルモン量が多すぎないか少なすぎないか確認する必要があります。
治療費用はどれくらいかかる?
甲状腺ホルモン補充療法を受けたとしても、症状は収まるものの、甲状腺ホルモンの分泌が正常に戻ることはありません。
そのため、いったん治療を始めたら生涯にわたって続けていく必要があります。
生涯にわたって治療を継続するとなると、当然費用のことが気になることもあるでしょう。
この甲状腺ホルモン補充療法で必要になる費用は年間2万円ほどだと思っておくといいでしょう。
甲状腺ホルモン補充療法は、基本的に年2回受ける必要があり、1回につき1万円程度かかります。
というわけで、年間の合計金額は2万円ほどになるわけです。
ただし、甲状腺ホルモンの濃度が安定するまでは年2回以上の通院が必要になるため、治療を開始し始めた段階だと年間の費用は2万円以上になってしまいます。
まとめ
今回は犬と猫の「甲状腺機能低下症」についてまとめてみました。
ポイントは以下の通りです。
- 甲状腺機能低下症は主に中型犬、大型犬に見られる病気である
- 猫はあまり発症しない
- 発症すると元気がなくなりぐったりするようになる
- 甲状腺機能低下症の原因のほとんどは「免疫異常」
- 予防法はなく、定期的な検診が必要
中型犬・大型犬に多い病気だといわれている病気ですが、飼育率の高い柴犬やミニチュアダックスフンドなどの犬種が発症することも少なくありません。
「最近元気ないな」と思われたときは、早めに動物病院に行って検査を行いましょう。
甲状腺機能低下症は免疫異常が原因であることが多いため早めの治療が必要です!また長期間の治療が必要になる疾患でもあります。ペット用のホルモン剤は通販で安く購入することができるので治療コストを抑えることができます!