犬や猫のアジソン病とは?原因や予防法について解説!

犬や猫のアジソン病とは?原因や予防法について解説!今回のテーマは「アジソン病」です。

アジソン病は、人間だけでなく犬や猫にも発症する病気ですが、「そんな病気、名前を聞いたこともないんですが……」という方も多いでしょう。

 

そこで今回は、アジソン病の特徴や原因、治療法について解説します。

「犬と猫、どちらのほうが発症しやすいか?」

「どういう犬種によく見られるのか?」

といった疑問についても回答していますので、ぜひチェックしてみてください。

 

犬や猫のアジソン病ってなに?他の病気とどう違う?

アジソン病とは、副腎皮質ホルモンの減少によって起きる病気です。

副腎皮質ホルモンは、文字通り副腎皮質(腎臓上部にある「副腎」の80~90%を占める内分泌性組織)から分泌されるホルモンで、ストレス耐性を保ったり血圧を維持するなどの役割を担っています。

それが減少することで、異常な疲労や筋力低下などさまざまな症状を引き起こします。

 

ちなみに、同じ副腎皮質ホルモン関係の病気に「クッシング症候群」というものがありますが、こちらはホルモンが過剰に分泌されてしまう病気で、アジソン病とはまったく違う病気です。

参考元:クッシング症候群・アジソン病

 

猫よりも犬に多くみられる病

アジソン病は、猫よりも犬に多くみられる病気とされています。
猫の場合、アジソン病になるのはきわめてまれです。また犬に関しても比較的めずらしい病気です。
そのほかの特徴として、犬の若年期(小型犬なら生後1年、大型犬なら生後2年)から壮年期(だいたい6歳くらいまで)にみられること、雌に多いことが挙げられます。

 

どんな犬に多くみられる?

欧米ではグレートデン、ロットワイラー、スタンダードプードルなどの大型犬によくみられるとされています。

一方、日本では小型犬にみられる傾向があるようです。
また、小型犬が発症する場合、1~2歳で発祥するケースが多いというデータも報告されています。

 

アジソン病になってしまう原因は?

アジソン病の直接的な原因は「副腎皮質のホルモン分泌低下」ですが、この状態になる原因は大きく分けて3つあります。

ここでは、その3つの原因についてまとめてみました。

 

特発性

特発性(とくはつせい)アジソン病は、副腎そのものが障害を負うことで引き起こされるものです。

自己免疫疾患によって副腎が委縮し、ホルモンの分泌量が低下します。

ちなみに、アジソン病と診断される犬・猫の90%が特発性といわれています。

参考元:犬のアジソン病の症状と原因、治療について|獣医師が解説

 

二次性

二次性アジソン病は、脳の下垂体・視床下部などの病変や損傷などが原因で引き起こされます。

脳下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の量が低下することで、副腎皮質が委縮して副腎皮質ホルモン分泌の低下が起こります。

二次性アジソン病と診断される犬・猫はごく一部で、その中でも下垂体が原因となるアジソン病は非常にまれだといわれています。

 

医原性

クッシング症候群の治療薬の影響で引き起こされるタイプです。

具体的には「ミトタン」という薬剤で、過剰に投与されると副腎皮質が委縮することで発症します。

なお、ステロイドの一種であるグルココルチコイド製剤を長期間にわたって投与されている犬も、医原性アジソン病を発症することがあるといわれています。

 

アジソン病になったらどうなる?どんな症状があらわれる?

アジソン病になると、次のような症状があらわれます。

  • 食欲低下
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 多飲多尿

症状が重い場合、「アジソンクリーゼ」と呼ばれるショック症状があらわれることもあります。

突然死につながる場合もある緊急性の高い状態であり、けいれん、失神、ふるえといった症状が見られた場合は早めの治療開始が必要です。

 

また、アジソン病は初期症状が腎臓病など他の病気に似ており、明確にアジソン病と判断できる特徴的な症状があまりみられないため、気づかないうちに症状が重くなるケースもあります。

そのため、「アジソンクリーゼを発症してはじめて気づいた」という飼い主さんも少なくありません。

 

アジソン病を予防する方法は?

ペットを泣きながら撫でる男性
残念ながら、アジソン病を予防する方法は現段階では見つかっていません。

 

ただし、前述した「医原性アジソン病」はクッシング症候群の治療薬を過剰投与することが原因であるため、「過剰投与をしない」ということはアジソン病を防ぐことにつながります。

すでにクッシング症候群などの病気の治療を行っている場合は、獣医の指示にしっかりと従い、正しく薬を投与しましょう。

 

アジソン病はどんな方法で検査する?

アジソン病は、食欲低下や下痢など他の病気でもあり得るような症状がみられ、それだけで「アジソン病である」と判断することは難しいものです。

アジソン病と断定するためには、次のような検査が必要です。

  • 尿検査
  • 血液検査(血液生化学検査)
  • ACTH刺激試験
  • エコー(腹部超音波検査)

また、二次性アジソン病が疑われる場合、CTやMRIなどを行う場合もあります。

ちなみに、「ACTH刺激試験」とは、副腎皮質刺激ホルモンのACTHを投与したあとの血中コルチゾール濃度を測定する検査のことです。

血中コルチゾール濃度が基準値未満だと、クッシング症候群かアジソン病であると診断されます。

参考元:ACTH刺激試験

 

アジソン病の治療

アジソン病を発症すると完治するのは難しく、状態を悪化させないようにする維持療法を生涯に渡って行う必要があります。

内服薬により、分泌量が低下している副腎皮質ホルモンを補充するのが基本です。

場合によっては注射、点滴を使用することもあります。

また、症状が進んでアジソンクリーゼに陥っている場合は、緊急治療として輸液療法を行ったり、補充しているホルモン量を増やすなどの措置が取られ、入院して様子を見ることになります。

参考元:アジソン病について

 

医者

アジソン病は完治が難しく、状態を悪化させないようにするために副腎皮質ホルモンを補充する必要があります。まずは動物病院で診察を受けましょう!ペット用のホルモン剤は通販で購入することも可能です!長期間の治療になるので経済的に負担が少ないようにするためにも通販がオススメです!

 

まとめ

今回は「アジソン病」を取り上げ、まとめてみました。

ポイントは、次の通りです。

  • アジソン病は副腎皮質ホルモンの減少で起こる病気
  • 猫より犬のほうが多い
  • アジソン病の種類は「特発性」「二次性」「医原性」の3つ
  • アジソン病の症状は他の病気と混同されやすい
  • 予防法は見つかっていないが、治療することは可能

日本では小型犬の一部の犬種にみられることが多いというデータがあるものの、中型犬や大型犬、また犬だけでなく猫も注意してあげる必要があります。

飼っている犬や猫に何かしらの異変がある場合は、すぐに獣医の診断を受けるようにしましょう。