猫のフィラリア予防は必要?室内飼いでも予防すべき理由と方法
「フィラリアは犬の病気」と思っていませんか?
実は、猫もフィラリアに感染しますし、突然死を引き起こすこともある危険な病気です。
この記事では、猫のフィラリア予防の必要性と、具体的な予防方法について詳しく解説します。
目次
猫にも感染するフィラリアとは?
寄生虫であるフィラリア(犬糸状虫)が体内に入り込み、さまざまな症状を引き起こす寄生虫症です。
「犬糸状虫」という名称からわかるように、主に犬に多い寄生虫症のひとつですが、猫にも感染する可能性があるため注意が必要です。
フィラリアは犬や猫の体内に寄生すると、徐々に成長しながら最終的に心臓や肺動脈に移動し、さまざまな症状を引き起こします。
猫がフィラリアに感染するとどうなる?
犬がフィラリアに感染した場合は咳、食欲不振、元気消失などの症状があらわれます。
では、猫にフィラリアが感染した場合、どのような症状があらわれるのでしょうか。
猫の場合、犬よりも体が小さく血管が細いため、わずか1〜2匹の成虫が寄生しただけで血管が物理的に詰まり、突然死を引き起こすことがあります。
実際に、フィラリアに感染した猫の10〜20%が突然死に至るとされています。
また、猫の体はフィラリアに対して非常に過敏です。
心臓に虫が到達する前の「幼虫」の段階でも激しい肺の炎症(猫呼吸器疾患)を引き起こし、呼吸困難に陥るケースが少なくありません。
猫がフィラリアに感染してしまった場合、猫の寿命は5〜6年といわれています。
参考元:猫のフィラリア症
猫がフィラリアに感染する原因
命に危険を及ぼす可能性があるフィラリアは、一体どのようにして猫へと感染するのでしょうか。
フィラリアの感染経路はさまざまですが、感染のいちばんの原因は「蚊」の存在です。
蚊が血を吸う
未感染の犬・猫の血を吸う
新たな感染が広がる
逆に言えば、蚊を完全にシャットアウトできれば、フィラリアに感染する可能性をゼロにすることが可能なのです!
猫がフィラリアにかかる確率
フィラリアは犬に多い寄生虫症のひとつですが、猫にフィラリアが感染する可能性は実際どの程度なのでしょうか。
猫のフィラリア感染率は、犬の約10〜20%が目安です。
もし犬が1,000頭中10頭感染している地域なら、猫は1〜2頭です。
つまり、猫の感染リスクは犬の「10分の1」程度といえます。
ただし、「じゃあ安心……」と胸を撫でおろすことはできません。
ある研究で健康に見える猫を詳しく調査したところ、10頭に1頭の割合で「過去にフィラリアが体内に侵入していた形跡」があることが判明しています。
この数字は、猫が蚊に刺されてフィラリアに狙われる機会がいかに多いかを物語っています。犬に比べて発症する確率は低いものの、決して他人事ではなく、対策が必須の病気なのです。
猫から人に感染することもある!?
猫の中にいるフィラリアを吸い取った蚊が人を刺した場合、まれに人にも感染することがあります。
ただし、人はフィラリアにとって本来の宿主ではないため、人の体内に入ったフィラリアは成虫になる前に免疫機能によって死滅するのが一般的です。そのため、犬や猫のように心臓に虫が詰まって深刻な事態になることはまずありません。
ごくまれに、死滅した虫の死骸が肺に留まり、エックス線検査などで「肺の結節(しこり)」として見つかるケースが国内で報告されています(肺犬糸状虫症)。
多くは無症状ですが、稀に咳や胸の痛みが出ることもあります。
ただし、あくまでも「ごくまれ」な話で、過度に怖がる必要はありません。
猫のフィラリアは犬よりも深刻!
猫のフィラリアは犬よりも深刻な状態を引き起こす可能性があります。
ここでは猫と犬のフィラリアの違いについて詳しく紹介します。
| 項目 | 犬 | 猫 |
|---|---|---|
| 感染率 | 高い | 犬の1〜2割 |
| 寄生数 | 多数寄生 | 少数寄生 |
| 症状の進行 | 徐々に進行 | 突然死のリスク |
| 診断 | 比較的容易 | 非常に困難 |
| 治療 | 可能 | 確立されていない |
猫のフィラリアが犬よりも深刻な理由は、少数寄生でも重篤な症状を引き起こすこと、突然死のリスクが10〜20%と高いこと、治療法が確立されていないこと、診断が難しいことなどが挙げられます。
犬の場合は多数のフィラリアが寄生することで徐々に症状が進行していきますが、猫の場合はわずか数匹の寄生でも重篤な症状を引き起こします。
また、犬には有効な治療法がありますが、猫には確立された治療法がありません。
だからこそ、猫のフィラリアは予防が最重要!感染してからでは遅く、予防が唯一の対策といえます。
愛猫をフィラリアに感染させないための予防法:生活編
「うちは基本、室内飼いだし、猫が外に出ることはないから大丈夫」と思われている飼い主さんもいらっしゃるのでは?
しかし、実は室内飼いでもフィラリアの感染リスクがあるため、予防は必須です。
とはいえ、「どんな対策をすればいいのかわからない」という飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
そこで、ここでは普段の生活の中でできるフィラリア予防をまとめてみました。
➀室内飼育を徹底する
まずは、「完全室内飼い」を徹底するところから始めましょう。
そもそもフィラリアは、フィラリアに感染した動物の血を吸った蚊に刺されることで感染します。
- 屋外で飼育する
- 蚊がいる外に猫を連れ出す
これらは、最もフィラリアの感染リスクを高める行為です。
完全室内飼いを徹底し、蚊に刺されないようにしましょう。
とはいえ、完全室内飼育であっても、蚊に刺されてしまうリスクはあります。
次の②~⑤のような対策もあわせて行いましょう。
②蚊避けのグッズを使う
蚊避けグッズには、大きく分けて次の2種類があります。
- 室内に置いておくタイプ
- 猫につけるタイプ
「室内に置いておくタイプ」として最もポピュラーなのは、昔ながらの蚊取り線香でしょう。
また、「火をつけるのは不安」「煙が苦手」という方におすすめの薬液揮散タイプもあります。
いわゆる電池式・電気式の製品で、殺虫効果のあるピレスロイド系の薬液などを揮散(気化)させ、侵入してきた蚊を退治します。
一方の「猫につけるタイプ」は、猫をピンポイントに守るグッズです。
たとえば、「首輪にしみこませたピレスロイド系の薬液が蚊を寄せつけない」といったグッズがあります。
③庭の整備・草木の管理
そもそも家に蚊を寄せつけない工夫も必要です。
たとえば、庭の草木を適切に整備・管理することが有効といえます。
- 木の剪定や芝刈りをこまめに行う
- 草むらを作らないようにする
蚊は、草木が生い茂っているところにひそみます。
庭が整備されていない状態だと、蚊の温床になってしまう可能性があるわけです。
ちなみに、整備されていない庭はダニ、ノミ、さらに毛虫なども引き寄せてしまいがち……。
蚊以外の害虫・寄生虫も増えてしまう可能性があるため、注意しましょう!
④水たまりができないように工夫する
実は、蚊はサナギの状態になるまで水の中に生息しています。
蚊の成虫は水際に卵を産み、孵化した幼虫は水の中で生活し、やがてサナギになって放たれるわけです。
というわけで、家のまわりに水たまりができやすいくぼみなどがある場合は、要注意です!
くぼみがある場合は、盛土をするなどして、水たまりができないように工夫しましょう。
- 庭に置いてある植木鉢の水受け
- 庭の隅にある水栓柱の水受け
これらも、雨の翌日などはこまめに清掃し、水気を取っておきましょう。
⑤窓やドアに隙間がないように補修する
窓やドア、網戸などは完全に締め切っているつもりでも、わずかな隙間があいている場合があります。
- 経年によって家が傾いて隙間ができる
- 猫が網戸を破って隙間ができる
原因はさまざまですが、たとえ隙間がわずかであっても、蚊は侵入してしまう可能性があります。
たとえば、「網戸に穴が開いている」といった場合は、市販の補修テープなどを使用して補修し、隙間をふさぎましょう。
愛猫をフィラリアに感染させないための予防法:予防薬の使用
猫の飼育環境や生活環境を徹底的に整えたとしても、蚊に刺されるリスクはゼロにできません……。
そのため、「刺されても大事に至らないようにする」という対策も必要です。
フィラリアの感染予防として最も有効なのは、「予防薬」を使用することです。
では、具体的にはどんな予防薬があるのでしょうか?
猫用のフィラリア予防薬にはどんなものがある?
猫のフィラリア予防に使われる予防薬としては、皮膚に薬液を垂らす(スポットオン)ことでフィラリアを予防する「レボリューション」「ブロードライン」「アドボケート」などがあります。
また内服(飲ませる)タイプとして、「カルドメックチュアブル」などがあります。
1ヶ月に1回の頻度で投与することで、フィラリア幼虫が入り込んでも即座に駆除し、フィラリア症の発症を防ぎます。
このように、猫の好みに合わせて使い分けることが可能です。
予防薬の選び方
完全室内飼いの猫には、フィラリアとノミを予防できるレボリューションがおすすめ!
一方、外出する機会がある猫や、マダニのリスクがある地域にお住まいの場合は、フィラリア・ノミ・マダニをまとめて予防できるブロードラインが適しています。
予防薬を投与する期間はいつ?
フィラリアの予防は、蚊がいる時期に行います。
蚊は春の半ばから早くも活動しはじめるため、4月あたりには予防を開始することが必要です。
また、蚊は夏を越えて冬の初めまで活動するため、12月ぐらいまでは予防を続けましょう。
予防するべき時期が地域によって異なる
フィラリア予防を行う場合には、予防を行う期間に注意が必要です。
多くの地域では4~12月が推奨されますが、近年では地球温暖化の影響もあり、ほぼ通年(12ヶ月間)で予防を行う方も少なくありません。
特に暖かい沖縄では、ほぼ通年での投与が必須です。
猫を飼う地域によっては、フィラリアの予防は常に欠かすことができないものとなっているのです。
フィラリア予防薬は病院かネット通販で購入可能
猫のフィラリア予防薬は動物病院で処方してもらえる他、ネット通販で購入することも可能です。

フィラリア予防薬の費用
猫のフィラリア予防薬の費用は、月1,300〜2,000円程度が一般的です。
予防期間を9ヶ月(4月〜12月)とした場合、年間費用は11,700〜18,000円となります。
ただし、沖縄など通年予防が必要な地域では、年間15,600〜24,000円(12ヶ月分)かかります。
オールインワンタイプ(フィラリア+ノミ・マダニ予防)は単独の予防薬よりも高めですが、別々に購入するよりもトータルでは安く済みます。
フィラリアの予防薬を投与する場合の注意点
フィラリア予防薬は病院やネット通販で手に入るので、今では完全に自宅内でフィラリアの予防を行うことが可能です。
ただし、事前にいくつか把握しておくべき注意点があります。
実際にフィラリア予防を開始する前に、ぜひ確認しておいてください。
フィラリア予防薬の副作用に注意
フィラリア予防薬も医薬品のひとつなので、投与された猫に副作用があらわれる場合があります。
既に報告されている副作用はさまざまです。
スポットオンタイプの場合、薬液を滴下した場所のかぶれや痒みのほか、下痢や嘔吐なども報告されています。
また、薬液をなめとってしまった場合、流涎(よだれが出る)などの症状があらわれる場合があります。
一方、内服タイプのフィラリア予防薬では元気の消失などが報告されています。
参考元:動物医薬品検査所 イベルメクチン
フィラリア予防薬を自分で投与する場合の注意点
予防薬の投与を開始する前に、フィラリア感染の有無を検査で確認する必要があります。
もし感染している状態で予防薬を投与すると、体内にいるミクロフィラリアがまとめて死亡することで、心血管が詰まるなどして突然死を迎えることがあります。
また、投与を忘れるリスクがある点にも注意が必要です。
投与忘れがあるとフィラリア感染のリスクが高まります。
さらに蚊の発生の終息後の1ヶ月後までは投与が必要になるため、「いつまで投与が必要か」ということも確認しておきましょう。
(多くの地域では4~12月が投与時期となりますが、近年は温暖化の影響もあって12ヶ月連続で投与することが推奨される場合もあります)
初めて予防する場合の注意点
初めてフィラリア予防を行う場合は、まず動物病院で相談することをおすすめします。
予防を開始する前には必ず検査を行いますし、どの予防薬が愛猫に適しているかなど専門的なアドバイスを受けることができます。
また、スポットオンタイプの場合は、初回は動物病院で投与方法の指導を受けると安心です。
正しい投与方法を学ぶことで、自宅でも確実に予防を続けることができます。
まとめ
猫もフィラリアに感染する可能性があり、室内飼いでも予防が必要です。
猫のフィラリアは突然死のリスクが10〜20%と高く、治療法が確立されていないため、予防が唯一の対策となります。
予防薬の種類はさまざまですが、完全室内飼いの猫にはレボリューション、外出する機会がある猫にはブロードラインがおすすめです。
愛猫をフィラリアから守り、すこやかな毎日を送れるよう、適切に予防を実施しましょう!