妊娠中や授乳中にフィラリア予防はできる?母子感染する可能性のある寄生虫も解説


うちの犬、妊娠中なんだけど、フィラリア予防しても大丈夫?

授乳中なんだけど、子犬に危険はない?
そんな疑問にお答えしていきましょう!
- フィラリア予防薬は妊娠中・授乳中にも使える?
- 妊娠中・授乳中のフィラリア予防で注意すべき点は?
- フィラリアは母子感染する?
以上のような気になるポイントを解説します。
目次
妊娠中・授乳中でもフィラリア予防は可能?
大切な愛犬が妊娠・授乳期を迎えると、普段何気なく行っている投薬が「胎児や子犬に影響を及ぼさないか」と不安になるのは、飼い主さんとして当然の配慮です。
結論から申し上げますと、妊娠中・授乳中の母犬であっても、適切な予防薬を選択することでフィラリア予防を継続することは十分に可能であり、むしろ強く推奨されます。
妊娠中の母犬は、体のリソースを胎児の成長に割くため、通常時よりも免疫力が不安定になりがちです。
このような時期にフィラリアの感染を許してしまうと、母体の健康を著しく損なうだけでなく、後述する子犬へのリスクにも繋がります。
ただし、フィラリア予防手段の中には「1回の注射で1年効果が持続するタイプ(予防注射)」もありますが、こちらは妊娠・授乳中の安全性については確立されていません。そのため、この時期の選択肢からは外すのが一般的です。
基本的には、安全性が確認されている「毎月投与するタイプ」のお薬を選び、休まずに継続することが、母子を守るための最善策となります。
妊娠中・授乳中でも安全に使用できる成分「セラメクチン」
多くの飼い主さんが最も懸念されるのは、薬の成分による「胎児の奇形(催奇形性)」や「流産」のリスクでしょう。
これに対し、フィラリア予防薬の主要な成分は、厳しい安全性試験を経てその安全性が確認されています。
中でも代表的な成分である「セラメクチン」は、繁殖・妊娠・授乳中の犬に対して、推奨用量の10倍という高用量を投与し続けた試験においても、母体および胎児の健康に影響を与えないことが立証されています。
もちろん、セラメクチン以外の主要成分である「ミルベマイシン」や「モキシデクチン」なども、繁殖用の犬に対して安全に使用できることが確認されています。
それでも特に「セラメクチン」がこの時期に推奨されることが多いのには、実用面での大きな理由があります。
セラメクチンは皮膚から吸収させる「スポット(滴下)タイプ」の成分として使われています。
妊娠中の母犬は、つわりによる食欲不振や嘔吐が見られることも珍しくありません。
飲み薬(経口薬)の場合、投与後に吐き出してしまうと成分が十分に吸収されず、予防が不完全になるリスクがあります。
その点、スポットタイプであれば母犬に食べる無理をさせず、確実に全量を投与できるというメリットがあるのです。
有効成分がセラメクチンのフィラリア予防薬「レボスポット」
セラメクチンは妊娠中でも使える安全性の高い寄生虫予防効果をもった成分ですが、このセラメクチンを配合したフィラリア予防薬として人気となっているのが「レボスポット」です。
知名度の高い「レボリューション」のジェネリック医薬品であり、小型犬用が3本入りで3,000円(1本あたり1,000円)と安価であるという特徴もあります。
妊娠中・授乳中のフィラリア予防で注意するべきこと
妊娠・授乳期に予防を行う際は、お薬の成分選びとあわせて、母犬の「体調管理」に細心の注意を払う必要があります。
まず、投与のタイミングです。
妊娠初期の器官形成期であっても、フィラリア予防薬が胎児の形成を阻害することはないとされていますが、もし母犬が極端に体調を崩している場合は、無理にその日に投与せず、数日様子を見て落ち着いてから行うという柔軟な対応も大切です。
また、投与後は数時間、母犬の様子を観察してください。
※スポットタイプを使用した場合は特に注意
これらをチェックし、もし異変を感じた場合は、それが「薬による反応」なのか「妊娠に伴う不調」なのかを自己判断せず、速やかにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
フィラリアに母子感染はある?
「フィラリアは母子感染しない」などとネットで目にすることがありますが、医学的なファクトとして、母犬の血液中にいる幼虫(ミクロフィラリア)が胎盤を通り抜け、子犬の血管内へ移行する現象は明確に確認されています。
フィラリアの幼虫は、いったん蚊の体を通るというステップを踏まない限り、子犬の体内で成虫に成長することはありません。
(ミクロフィラリアが「第3期幼虫」に成長するまでは、必ず蚊の体内にいる必要があります)
そのため、いきなりフィラリア症を発症するわけではありませんが、無視できないリスクが2つあります。
※母犬から幼虫を譲り受けている可能性があるため注意が必要です。
適切な診断の妨げになるため、正しい時期の検査が重要です。
「心臓に虫がわかないから大丈夫」と過信せず、子犬にこうした余計なリスクを負わせないためにも、母犬の段階で血液をクリーンに保っておくことが何よりも重要なのです。
母子感染する可能性がある寄生虫
母犬から子犬へ受け継がれてしまうリスクがあるのは、フィラリアだけではありません。
むしろ、日常的に遭遇しやすい他の寄生虫のほうが、子犬の健康に直接的な悪影響を及ぼすケースが多く見られます。
特に注意すべきなのは、「犬回虫」「犬鉤虫」といった寄生虫です。
それぞれ以下のような特徴があります。
子犬の栄養を奪い、成長不良や腹部膨満の原因となります。
腸壁から吸血するため、子犬に深刻な貧血を引き起こすことがあります。
これらの寄生虫は、フィラリア予防薬(特にセラメクチンやミルベマイシンを含む広範囲なタイプ)によって、フィラリアと同時に駆除することが可能です。
参考元:鉤虫(こうちゅう)症
まとめ
妊娠・授乳という大切な時期にある愛犬にとって、フィラリア予防は単なる「病気対策」以上の意味を持ちます。
それは、これから生まれてくる、あるいは生まれたばかりの子犬たちの健やかな未来を守るための、飼い主さんにしかできない重要なケアです。
セラメクチンをはじめとする安全性の高いお薬を、母犬の体調を見極めながら正しく使い続けることで、母子ともに安心して過ごせる環境を整えてあげてください。
