瓜実条虫症とは?犬・猫の「症状」「感染経路」「治療・予防方法」を解説!

ノミが媒介する感染症「瓜実条虫症」を自分で調べる方法や予防方法を解説!

疑問に思う男性

最近やたらとうちの犬がお尻のあたりを気にしてる

疑問に思う男性

飼ってる猫の便に、米粒みたいな白い物体があるんですけど……

そんな異変に気づいたことはありませんか?
それ、瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)かもしれません!
 
瓜実条虫症は、ノミを媒介して感染する消化管内寄生虫の瓜実条虫が原因となる感染症です。犬にも猫にも、そして人間にも感染しうる人獣共通感染症です。
 
この記事では、そんな瓜実条虫症の感染経路症状治療・予防方法について、犬・猫それぞれの視点から詳しく解説します。

 

瓜実条虫症とは?

瓜実条虫症瓜実条虫症の原因となる瓜実条虫(Dipylidium caninum)は、動物の消化管(腸)に住み着く性質がある寄生虫です。
 
寄生数が少なければコレといった症状が出ない(無症状)場合もありますが、大量寄生によって犬・猫に大きな健康被害をもたらすこともあります……。
 
まずは、その基本情報を表にまとめておきましょう。
 

項目 内容
正式名称 瓜実条虫(学名:Dipylidium caninum)
分類 条虫類(いわゆるサナダムシの仲間)
虫体の大きさ 成虫で 15〜80cm
片節が 100 個以上連なる構造)
片節の見た目 米粒サイズ、胡瓜(きゅうり)の種・瓜の実に似た形。
感染する動物 犬・猫・人間(人獣共通感染症)
主に猫で多い
中間宿主 ノミ(ネコノミ・イヌノミ)
ハジラミ
感染経路 瓜実条虫を宿したノミを飲み込むことで感染
感染後の経過 感染から 21〜28 日で片節が便に排出されるようになる
💡

成虫の片節が胡瓜(きゅうり)の種のような形をしているため、「瓜実」条虫と呼ばれます。

 

瓜実条虫の感染経路

瓜実条虫の感染経路「瓜実条虫(寄生虫)に感染する」というと、動物の体内に虫そのものが入り込んでいくところをイメージする方もいるでしょう。
しかし、瓜実条虫は、単体で犬や猫の体内に入り込むわけではありません。
瓜実条虫は、必ずノミ(またはハジラミ)の体内を経由して感染します。
感染した犬・猫の便を食べても、瓜実条虫の片節を食べても、感染しません。
 
以下に、瓜実条虫の感染経路をまとめました。
 

Step①
ペットの便に片節が排出される
感染したペットの便や肛門周囲に、虫卵を含んだ片節が排出される。
Step②
ノミの幼虫が虫卵を食べる
排出された片節から虫卵が環境中に散らばる。
ノミの幼虫がこれを摂取する。
Step③
ノミの体内で瓜実条虫が成長
ノミが成虫になるまでの 2〜4 週間で、ノミ体内の瓜実条虫も
感染力を持つ状態(シスチセルコイド)に成熟する。
Step④
ペット・人がノミを飲み込む
グルーミング・毛づくろい・ノミを潰した手を舐めるなどで、
感染力を持つノミごと瓜実条虫を経口摂取する。
Step⑤
小腸に定着・産卵開始
瓜実条虫が小腸粘膜に定着する。
感染から 21〜28 日後に片節が便とともに排出され始める。
(Step①に戻る)

 

⚠️

【人間への感染】ノミを潰した手で口を触る・小さな子どもがノミを誤飲するなどで感染することがあります。
特に小さな子どもがいる家庭は注意が必要です。

 

【瓜実条虫症の症状】犬・猫それぞれの特徴

ここでは、犬・猫それぞれにあらわれる瓜実条虫症の症状を詳述します。

 

【犬】瓜実条虫症の症状

症状 特徴 詳細・注意点
無症状 最も多い 少数寄生では症状が出ないことが多い。
気づかないまま放置されるケースもある。
お尻を床に擦りつける
(スクーティング)
よくみられる 片節排出時の肛門周囲のかゆみ・違和感が原因。
「お尻歩き」とも呼ばれる。
肛門周囲・便に米粒状のものが付く 気づきやすい 乾燥するとゴマ粒状になる。
動くことがある(片節が収縮運動するため)。
下痢・嘔吐 大量寄生時 少数寄生では起こりにくい
体重減少・食欲異常 重症時 子犬では発育不良の原因にもなりうる
血便・出血性腸炎 重症(まれ) 大量寄生時。この状態では早急に受診

 
表からもわかるように、犬の瓜実条虫症は無症状で終わることも多いです。
ただし、便と一緒に虫の片節が出てくるときに猛烈なかゆみがあるのは注意したいところ。
その結果、以下のような姿を見せることがあります。
 

お尻を地面にこすりつけたまま前足だけで歩く
自分のお尻を噛もうとする
お尻を気にして落ち着きがなくなる

 
また、瓜実条虫が大量寄生すると、下痢嘔吐などの症状が出ることも……。

⚠️

子犬は成犬より症状が出やすく重症化しやすいため、スクーティングや便の異常が見られたら早めに受診してください。

 

【猫】瓜実条虫症の症状

症状 特徴 詳細・注意点
無症状 最も多い 猫は犬より症状が出にくい。
感染していても気づかないことが多い。
お尻を気にして舐める よくみられる 片節排出時のかゆみ。
過度なグルーミングが見られたら要注意!
肛門周囲・便に米粒状のものが付く 気づきやすい 猫の寝床・座った場所にも付着していることがある。
下痢・血便 大量寄生時 大量寄生により出血性腸炎を起こすことがある。
体重減少 慢性感染時 気づかないうちに痩せていく場合がある。

 
表にもあるように、猫の症状も、それ自体は犬とそれほど大きく変わりません。
ただし、大量発生時は犬より激しく、血便が出るなどの症状がみられることがあります。
 

⚠️

猫はさかんにグルーミングする習慣があるためノミを飲み込みやすく、犬より瓜実条虫に感染しやすい傾向にあります。
よく外出する猫には、特に注意してください。

 

瓜実条虫症の診断方法

ペットが異常にお尻を気にしている場合、便や寝床などに注目してみるとある程度、自分でも瓜実条虫症かどうかを判断できます。
 

ポイント
便の表面に米粒状の白いものがないか確認
ペットの肛門付近も確認
ペットの寝床にゴマ粒状の乾燥した粒がないか確認

 
ただし、不審な粒があったからといって絶対に瓜実条虫症であるとは限りません。
下の表をご確認ください。

見た目・状態 正体 ポイント
・白~淡黄色
・米粒状
・動く
排出直後の生きている片節 収縮により動いているように見える。
瓜実条虫の片節の可能性が高い。
・白~黄色
・ゴマ粒状
・動かない
乾燥した片節 ペットの寝床などに付着していることがある。
動かない白い粒(複数) ごはんの粒・砂など 片節以外の可能性もある。
ただし、念のため動物病院で確認を!
💡

「動いているかどうか」が重要なポイントです。生きた片節は収縮運動するため動いて見えます。

💡

見つけた場合は、乾燥しないようにウェットティッシュに包み、動物病院へ持参するとスムーズです。

 

動物病院での検査

瓜実条虫症が疑われる場合、動物病院で次のような検査が行われます。
 

検査方法 瓜実条虫の検出率 補足
片節・虫体の目視確認 最も確実 持参した片節便表面の観察。
これで確定診断できることが多い。
糞便検査(虫卵検出) △ 低い 瓜実条虫の卵は通常の糞便検査で検出されにくい。
陰性でも安心できない。
体表のノミ・ノミ糞確認 ○ 参考になる ノミがいれば瓜実条虫感染リスクが高い。
⚠️

糞便検査が陰性でも瓜実条虫がいないとは言い切れません。
「便に米粒のようなものが付いていた」という情報を必ず獣医師に伝えてください。

 

【治療方法】瓜実条虫とノミを駆除!

瓜実条虫症の治療には、「瓜実条虫の駆虫薬」「ノミの駆虫薬」の2種類が使われます。

 

瓜実条虫の駆虫薬

薬品名 投与方法 補足
プラジカンテル
(ドロンシット、ドロンタール)
内服薬(錠剤) 犬・猫ともに第一選択薬
一般的には駆虫薬だけで改善される。
プラジカンテル+エモデプシド
(プロフェンダースポット)
スポットタイプ 猫向け。
薬を飲ませるのが難しい場合に有用。
猫回虫・猫鉤虫・猫条虫・多包条虫も同時に駆除できる。

 
猫は錠剤をかたくなに嫌がるケースが多いため、スポットタイプが使いやすいです。
 
さらに、ノミの駆除薬としてネクスガード」(アフォキソラネル)や、「フロントラインプラス」(フィプロニル)などが有用です。

 

【なぜ?】瓜実条虫とノミを同時に駆除する理由

理由はシンプルです。
瓜実条虫の駆虫薬で腸内の寄生虫を駆除しても、ペットの体にノミが残っていれば再感染が繰り返されるためです。
 

治療 対象 解説
瓜実条虫の駆虫薬のみ 腸内の瓜実条虫を駆除 ペットにノミが残っていれば再感染する。
繰り返し感染のリスクが消えない。
ノミ駆除薬のみ ノミの駆除 現在、腸内にいる瓜実条虫は駆除されない。
症状が続く。
瓜実条虫の駆虫薬+ノミ駆除薬 腸内の条虫+ノミを同時駆除 これが完治への唯一の方法!
💡

治療と同時に、ペットの寝床・カーペット・ソファ周辺の掃除機がけなども行い、ノミをしっかり退治することが大切です。

 
なお、重症(下痢・嘔吐による脱水がある)場合は点滴で水分・電解質を補給します。
また、二次感染防止のため抗生剤が処方されることもあります。
治療後、再度糞便検査を行い、駆除できたか確認します。

 

【瓜実条虫症の予防】ノミ予防が最大の対策!

瓜実条虫の予防対策として最も有効なのは、「ノミを予防すること」です。
 
そもそもノミがペットの体に近づかなければ、瓜実条虫には感染しません。
日ごろからノミ予防効果のある予防薬を投与(月1回)しておくことが大切です。
 

予防策 効果 具体的な方法
ペットへのノミ予防薬 (最重要) 最も確実 月1回のノミ予防薬投与。
ノミがいなければ瓜実条虫には感染しない!
環境処理(室内のノミ駆除) 重要 ペットの寝床・カーペット等を、くん煙剤・スプレーで処理。
(ノミの95%は環境中にいるため)
ペットの体のブラッシング・チェック ○ 補助的 散歩後にノミ・ノミ糞がないか確認。
早期発見につながる。
定期的な糞便検査 △ 補助的 瓜実条虫は糞便検査で検出されにくいが、他の寄生虫の確認にも有効。
生活環境の清潔維持 ○ 補助的 ペットの寝床・タオルの定期洗濯。
ノミの繁殖を防ぐ。

 
予防薬を使ったノミ駆除は、月1回のフィラリア予防と一緒に行うのが便利です。
具体的には、フィラリア予防効果に加え、ノミやマダニの駆除効果がある「オールインワンタイプ」が適しています。
 
オールインワンタイプの薬でいちばん人気が高いのは、わんにゃん薬局にも取り扱いがあるネクスガードスペクトラ(チュアブル=おやつタイプ)です。
 

 
また、薬を口にしたがらない猫には、フィラリア・ノミ・ミミヒゼンダニなどに効くスポット(滴下)タイプの「レボリューション(猫用)」をおすすめします。
 

 

よくある質問

Q. 便に米粒のような白いものが付いていました。瓜実条虫ですか?

A. その可能性が高いです!
 
生きた片節であれば動いて見えます。
乾燥するとゴマ粒状になります。
見つけた場合は乾燥しないようにサンプルを包んで動物病院へ持参してください。

 

Q. 瓜実条虫は人間にうつりますか?

A. 感染することがあります。
 
ただし、感染経路はノミを飲み込むことのみです。
ペットの便や、便の中にある片節を触っただけでは感染しません。
ノミを潰した手で口を触る・小さな子どもがノミを誤飲するといった経路での感染が報告されています。

 

Q. 室内飼いのペットでも瓜実条虫になりますか?

A. なりえます!特に、ノミが室内で繁殖している場合は感染します。
 
たとえペットに外出の機会がなくても、飼い主が外からノミを持ち込むことがあります。

 

Q. 治療後すぐにまた出てきました。なぜですか?

A. ノミが駆除されていない可能性が高いです。
 
条虫の駆虫薬だけでなく、ノミ駆除も同時に行う必要があります。
さらに環境中のノミ(卵・幼虫・さなぎ)にも対処してください。

 

Q. 糞便検査で陰性でしたが安心していいですか?

必ずしも安心できません。瓜実条虫は通常の糞便検査で検出されにくい寄生虫です。
 
便に米粒のようなものが付いていたという情報を必ず獣医師に伝えてください。

 

Q. 猫に瓜実条虫用の飲み薬を飲ませるのが難しいのですが、他の方法はありますか?

A. スポットタイプ(プロフェンダースポット)が使えます。
 
背中に垂らすだけで猫の条虫を駆除できます。
猫回虫・猫鉤虫・猫条虫・多包条虫も同時に駆除できるため、飲み薬が苦手な猫に特におすすめです。

 

まとめ

今回は、犬・猫の瓜実条虫症についてまとめてきました。
 


感染ルート:「ノミを食べる」ことで感染。便に触れても感染しない

感染のサイン:お尻や便に「動く米粒(白)」か「乾燥したゴマ(黄)」

症状:基本は無症状。お尻をかゆがったら即チェック

治療:「条虫薬」+「ノミ薬」の同時撃退が必須!片方だけはNG

予防:「月1回のノミ予防」が基本!ノミがいなければ、感染リスクは下がる

 
瓜実条虫症は、無症状で終わることが多いとはいえ、犬や猫に大変なストレスをもたらします。
ノミに噛まれる前にしっかりと対策することが大事です。
ノミ駆除薬を通販で購入しておき、予防対策をしっかりしておきましょう!