ネコノミは卵の状態では駆除ができない!?ネコノミを繁殖させないための対策
現在確認されているノミの中には、人間や動物の血を養分とするノミがいます。
中でもひときわ繫殖力が高く、日本での生存数が多いのが「ネコノミ」です。
しかし、ネコノミの実態や噛まれた(刺された)ときの症状について、よくご存じないという方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
「ネコノミとはどんな生き物なの?」
「人体やペットにどんな影響を与えるの?」
そんな方のために、今回はネコノミの生態を明らかにしたうえで、ネコノミの駆除方法や繁殖させないための予防法についてもまとめているので、要チェックです!
ネコノミは犬や猫だけじゃなく飼い主も吸血する厄介な害虫
猫や犬、そして人間の血を養分にして活動するネコノミ。
吸血されるとさまざまな症状を引き起こすため、ペットを飼っている人にとっても、そうでない人にとっても厄介な存在です。
まずはそんなネコノミについて、基本的な特徴や吸血されたときの症状、繁殖しやすい時期などについて見てみましょう。
ネコノミってどんな生き物?
ネコノミはオス・メスともに体長1.0~2.0mmで、人の目でも確認できる程度の大きさです。
また色は褐色もしくは黒褐色で、後ろに伸びる長い脚が特徴です。
そんなネコノミは2~4ヶ月で卵から孵り、約2~21日間幼虫として過ごします。
なおこの幼虫の間は、成虫ネコノミのフンや人間の老廃物(フケなど)を食べて過ごすため、吸血することはありません。
それから早くて13日、遅くて38日程度でサナギになり、成虫へと成長します。
寿命は環境によって異なり、短いもので1週間、長いもので1年といわれています。
参考元:ネコノミ
ネコノミに噛まれたらどうなるの?
ネコノミに人や猫が噛まれると、「ノミ刺咬症」「猫引っかき病」などを引き起こします。
ノミ刺咬症
人がネコノミに噛まれると、1cm程度の紅斑、丘疹などがあらわれます。
そのうえで48時間以内に激しいかゆみが生じます。
猫引っかき病
猫がノミに噛まれると、バルトネラ・ヘンセレという菌に感染することがあります。
猫は無症状ですが、感染した猫に人が引っかかれたり噛まれたりすると、患部の化膿やリンパの腫れ、また発熱や頭痛などを発症します。
一般的に多いのは「ノミ刺咬症」です。
掻きむしると水膨れになったり、細菌が入り二次感染を引き起こしたりするため、注意が必要です。
ネコノミが発生しやすい時期
ネコノミは気温18〜27℃、湿度75~85%という環境を最も好み、特に春と夏に発生・繁殖のピークを迎えます。
ただし、ネコノミは気温が13℃以上あれば活動が可能であるため、寒さが厳しい時期(12月後半から3月くらいまで)を除き、年間を通して注意する必要があります。
ネコノミは繫殖力が非常に高い
ネコノミは非常に繁殖力が高く、「1匹の成虫がいたら卵は10個以上ある」といわれています。
ネコノミのメスは吸血後2日で産卵し、1日あたり20〜30個、そして生涯では400個以上もの卵を産むといわれています。
あるデータでは、「10匹のネコノミが1ヶ月後には2,000匹になった」とされています。
「1匹程度なら……」と軽視せず、後半でお伝えする予防策を徹底しましょう。
ネコノミはどこに産卵してどこで成長するの?
ここでは、驚異的な繫殖力を持つネコノミが具体的にどこで産卵し、どのようにして成長していくのかをまとめてみました。
ネコノミはペットに卵を産み付けるってホント?
残念ながら、「ネコノミがペットに卵を産みつける」という話は本当です。
ですが、ご安心ください。
産んだ卵が直接ペット(犬や猫)の体の上で孵化したり、発育したりしているわけではありません。
通常、ペットの体毛の上に産み落とされた卵は数時間で床や畳に落下します。
そのため、ネコノミの幼虫は床や畳、カーペットなどで発育することがほとんどだと考えられています。
ネコノミの卵は畳や床で孵化して成長する
床や畳、カーペットに落ちたネコノミの卵は、早くて1日、遅くても1週間程度で孵化します。
孵化した幼虫のネコノミはまだ吸血を行わないため、床に落ちている食べこぼし、人間の老廃物(フケや垢、爪など)、それから成虫ネコノミのフンなどを食べてサナギに成長します。
また、ノミは埃が溜まっている場所や湿気がある場所を好みます。
なかなか掃除が行き届かないベッド下や家具のすき間などは、ノミからすれば”絶好のすみか”なのです。
ネコノミは卵の状態では駆除が難しい?
ここまでネコノミの繫殖力の高さをお伝えしてきましたが、できることなら卵のうちに駆除してしまいたいですよね?しかし、実は卵の状態で駆除するのは困難だといわれています。
ここでは、その理由や見つけたときの対処法についてお伝えしていきたいと思います。
卵の状態では駆除が難しい
ノミ駆除をする際には、燻煙剤、殺虫剤などが使うのが一般的ですが、成虫には効いても卵には効果がありません。ネコノミの卵は、「熱」以外の弱点がないためです。
また、サナギになると卵のときよりも生命力が高まり、より駆除が難しくなるといわれています。
ノミは繫殖力の高いかわりにライフサイクルが短いため、こまめな成虫駆除を繰り返して少しずつ対処していくのが効果的です。
成虫になる前に駆除したいなら徹底的な掃除を!
成虫をこまめに駆除すれば数は減らせますが、なんとか成虫になる前に駆除してしまいたい方も多いでしょう。
そんな場合には、とにかく徹底的に掃除を行い、卵を取り除き、さらに幼虫のエサになりうるフケや垢、食べかす、埃などを除去していきましょう。
特にノミが生息しやすい部屋の角、ソファやベッド、家具の隙間、フローリングの溝などを重点的に掃除するのがおすすめです。
ペットに卵がくっついているならブラッシングが効果的!
「ペットにネコノミの卵と思われるものが付着している!」
そんなときは慌てずに、ブラッシングを行いましょう。
専用の「ノミ取りコーム」が望ましいですが、お持ちでなければ普段お使いのコーム、ブラシでも構いません。
ポイントは「手で取ろうとしないこと」です。
卵が手に付いたまま食品に触れると、条虫症に感染するおそれがあります。
落ち着いてブラッシングを行い、卵は粘着テープなどで張り付けて破棄しましょう。
ネコノミの卵が布団にある場合の対処法
布団でネコノミの卵を見つけたときは、洗濯をし、60℃以上の高温で乾燥させます。
実はネコノミは高温に弱く、60℃以上の熱で死滅します。
コインランドリーなどの大型乾燥機を使えば30分程度でほとんど死滅するため、利用してみてください。
また、次に生まれてくるネコノミの温床とならないよう、乾燥後は粘着テープなどで卵や死骸を絡めとるのも忘れないでください。
ネコノミに噛まれないようにするためにできる予防策
ネコノミの侵入を100%阻止することは難しいですが、噛まれないように対策をすることは可能です。
ここではネコノミに噛まれないようにするために私たちができることを3つお伝えします。
「特に対策していなかった」という方も、被害が出る前ならまだ間に合うので、ぜひ参考にしてみてください。
家の中やペットの寝具はしっかり掃除する
お伝えしたように、ネコノミの幼虫は食べこぼしや人間の垢などをエサにし、埃を寝床としています。
そのため、日頃からこまめな掃除を行い、ネコノミが生息しにくい環境を心がけましょう。
特にペットを飼われている家庭では犬や猫の抜け毛が溜まりやすく、ペットを飼っていない家庭よりもノミが集まりやすくなるため、注意が必要です。
また、犬や猫の寝具は要注意です。
- 日ごろから洗濯を行う
- 洗濯ができないものはスチームアイロンを当てて乾燥させる
上記のような方法でネコノミ対策をしてください。
外に出るときは虫除けスプレーなどを使用する
虫よけスプレーは、蚊だけでなく、ネコノミなどの害虫にも効き目があります。
夏季だけではなく、春先から夏、また暑さがやわらぐ9~10月にも虫よけスプレーを使いましょう。
また、最近はペットの首輪に簡単に取り付けられるタイプの虫よけグッズも販売されています。
こういったものもあわせて使い、ペットが外出するときにネコノミを持ち帰らないように注意しましょう。
ペットにはノミの予防薬を投与する
いちばん重要なのは、「専用の予防薬」を投与することです。
皮膚に薬剤を塗布するだけで1ヶ月に渡ってノミ駆除を行える『フロントラインプラス』をはじめ、さまざまな予防薬があります。
動物病院で処方してもらえるほか、ネット通販でノミ・ダニの駆除薬を購入することも可能です。
ノミを寄せつけず、感染症にかからないようにするため、ぜひ検討してみてください。
まとめ
今回はネコノミの特徴や駆除をテーマとして取り上げ、ネコノミに噛まれたらどういった症状を引き起こすか、そしてどのように繁殖するかなどをお伝えしました。
- ネコノミに噛まれるとひどいかゆみ、二次感染などの症状を引き起こす
- ネコノミは繫殖力が高く、卵の状態での駆除は困難
- 「卵を産ませない&増やさない」環境づくりが大切
- 予防薬を使って感染症を防ぐ
上記のポイントをもとに、しっかりとネコノミ対策をしていきましょう。
特に、「卵を駆除するのは難しい」という点は要注意です。
ネコノミの卵には燻煙剤などが効かないため、徹底的な掃除やノミの予防薬を使用し、しっかり対処することをおすすめします。