ノミとダニの違い|ペットが刺されたときの対処法や予防法について
ペットの健康を守るために注意したいのが、ノミとダニの存在です。
ノミやダニがペットに寄生すると、アレルギー性皮膚炎などを発症する可能性があることに加え、感染症を引き起こすリスクもあります。
本記事では、ノミとダニの違いやペットが刺された際の対処法・予防法について解説します。
ペットに悪影響を及ぼすのを防ぐには、ノミやダニについて理解を深め、適切な対処をすることが重要です。
ノミとダニの違い
最初に、ノミとダニの違いについて以下の表で紹介します。
ノミ |
ダニ |
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外見 |
|
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サイズ |
2~3mm |
2〜3mm 吸血すると100〜200倍になる |
生息場所 |
樹木や草 家具の下や絨毯など |
樹木や草 絨毯や畳の下など |
寄生経路 |
ノミが寄生した動物や人間からうつる |
散歩のときなどに樹木や草についたダニがうつる |
症状 |
ノミの唾液を原因とするアレルギー性皮膚炎 |
皮膚炎や貧血 |
感染の恐れがある病気 |
瓜実条虫症 |
ヘモバルトネラ症やバベシア症など |
ノミとダニは似ているように見えて、異なる点がいくつかあります。ここでは、さらに詳しくノミとダニの違いを解説します。
参考元:ノミとダニの比較
ノミ
ノミは、哺乳類などの皮膚から吸血します。
日本だけでも約80種類いるといわれており、ネコノミとイヌノミが代表的な種類として挙げられます。
近年、イヌノミは減りつつあり、一般的によく見られるのはネコノミです。
ネコノミという名前ですが、猫だけでなく犬にも寄生します。
ネコノミはイヌノミよりもサイズが少し大きめで跳躍力があるのが特徴です。
体長の100倍以上も跳ねるため、見つけたとしてもすぐに見失ってしまうでしょう。
ノミはもともと湿度の高い亜熱帯地域に生息していましたが、地球温暖化などの影響により生息域を広げ、現在は日本全国どこでも発生するようになっています。
人や動物が外に出た際についたノミが家の中に入ると、家具やカーペットなどの隙間に潜んで繁殖するため、注意が必要です。
ダニ
ダニとは、サソリやクモの一種であり、屋内に生息する個体と屋外に生息する個体が存在します。
ペットに寄生する恐れがあるのは、マダニやツメダニなどです。
基本的にマダニは屋外に生息し、河川敷や草むら、庭などで活動しています。
ほかのダニと比べるとサイズが大きく、吸血の際には大きく膨らむのが特徴です。
ツメダニは屋内に生息し、カーペットや畳の下などに潜んでいます。
色は白く、ペットに寄生した様子がフケのように見えることから「歩くフケ」とも呼ばれています。
ツメダニは主に夜間活動するのに対し、マダニは昼間に活動します。
公園などで散歩をするときは、マダニがペットに寄生する恐れがあるので注意してください。
マダニ |
ツメダニ |
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外見 |
|
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サイズ |
3~4mm |
0.3~1mm |
生息域 |
日本全国 河川敷や草むら、庭などの屋外 |
日本全国 カーペットや畳の下などの屋内 |
発生時期 |
4月~11月 ピークは10~11月 |
ピークは8月~9月 |
ノミとダニの見分け方
ノミとダニの見分け方のポイントは、移動方法です。
ノミは跳ねながら移動する一方で、ダニは這いながら動きます。
加えて、種類によっては体の大きさで確認することも可能です。
ノミ・ダニ共に目視ができないような非常に小さなサイズのものもいますが、犬や猫に寄生するノンは体長1~3mmとなっており、目視することも可能です。
また、マダニに関しては、吸血後に1cm近くの大きさにもなるので、発見しやすくなっています。
また、ノミに刺された場合はかゆみが最長で1ヶ月ほど続くのに対し、ダニの場合は数日~1週間ほどでおさまります。
犬がマダニに刺されたときは、かゆみを感じないことも少なくありません。
しかし、かゆみを感じていなくてもマダニは貧血や皮膚炎などさまざまな症状の原因になるため注意しましょう。
ペットがノミ・ダニに刺されたときの主な病気・症状
ペットがノミ・ダニに刺されたことに気づくためには症状を把握しておくことが大切です。
ここでは、主な病気や症状について解説します。
ノミに刺された場合
ノミに寄生された場合、刺されたときの刺激や唾液の分泌によって皮膚炎を発症します。
フケや丘疹、脱毛が起きることも少なくありません。
かゆみを感じるようになると、皮膚を舐めたり噛んだりといった仕草が多くなります。
犬は腹部や内股、尻尾、お尻の周りに症状が見られることが多く、猫は首から背中、腰にわたって発症する場合がよくあります。
また、グルーミングの際にノミを飲み込むと、ノミの内部に潜む寄生虫に感染する恐れがあります。
ノミによく見られる寄生虫の1つが瓜実条虫です。
感染が進むと下痢や嘔吐などの症状が見られるのに加え、てんかんや出血性腸炎に発展することもあります。
ダニに刺された場合
マダニもノミと同様、さされると激しいかゆみを伴います。
さまざまな部位に寄生する可能性がありますが、主に耳や脇、胸、内股、お尻の周り、足裏など体毛が少ない部分で発見されることが多いです。
吸血によってペットが貧血を起こすこともあり、症状が重くなると体重が減ったり、体力を消耗したりといった事態に陥りやすくなります。
マダニを媒介し寄生虫に感染するリスクがある点にも注意しましょう。
マダニの吸血によって感染する犬バベシア症にかかると貧血や発熱、黄疸などの症状が現れ、場合によっては死に至ることもあります。
また、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)と呼ばれる感染症にかかる可能性も考えられます。
犬は比較的軽症で治ることが多いですが、猫は重症化しやすいため注意が必要です。
なお、ペットにツメダニが寄生した場合は、肩や背中、腰などにフケが現れ、かゆみや脱毛、湿疹などの症状が発生します。
ペットがノミ・ダニに刺されたときの対処法
ペットがノミやダニに刺されているのを発見した際は、早めの対処が必要です。ここでは、主な対処法について解説します。
ノミに刺されたときの対処法
ペットがノミに刺されているのを見つけたら、まずは駆除効果を期待できる薬を投与します。
ノミ駆除用の薬は、おやつタイプの経口薬や皮膚に滴下するスポット薬が一般的です。
なお、ノミの成虫を見つけた際に指で潰すのは避けてください。卵が飛び散り、繁殖を促進する恐れがあります。
ノミを捕まえた場合は、中性洗剤を溶かした水に入れる、粘着テープで取るなどの方法が一般的です。
ノミを駆除できたとしても、ペットの体内にはノミを媒介して瓜実条虫が寄生している可能性もあるため、動物病院に連れて行き、適切な処置を施してもらいましょう。
また、室内に住み着いたノミを取り除くために駆除剤を使い、掃除機をかけて部屋の中を清潔な状態にすることも大切です。
ダニに刺されたときの対処法
ペットにダニがついているのを見つけたら、動物病院で処置を受けるのが基本です。
皮膚から吸血するマダニは、一度寄生すると簡単に取ることができません。
無理やり取ろうとすると頭部だけがペットの体内に残り、炎症が発生します。
最終的には膿瘍に発展する恐れもあるため、まずは動物病院へ行くことを優先しましょう。
また、取り除こうとしたダニを潰した場合、ダニの体内にいる細菌やウイルスに人が感染する可能性もあるため、注意が必要です。
動物病院で適切な処置を受けた後は、ダニの駆除作用がある薬を処方されます。
ノミと同様に、経口薬やスポット薬を処方される場合がほとんどです。
医師の指示に従い、再びダニに寄生されないよう適切に薬を投与してください。
ノミ・ダニが原因でペットが病気にならないための予防法
ノミやダニは皮膚炎を起こすだけでなく、寄生虫による病気を引き起こす可能性もあります。
ここでは、ノミ・ダニの予防方法について紹介します。
予防薬を定期的に投与する
ノミやダニは、ペットに予防薬を投与することで防げます。
どんなに気をつけていても、散歩のときなどにノミやダニに寄生される可能性はゼロではありません。
きちんと予防薬を投与しておけば、ノミやダニがついたとしても発症を防げます。
予防薬には、皮膚に滴下するスポット剤やおやつタイプの経口薬などの種類があるため、ペットの好みや体質に合わせて選びましょう。
おやつタイプは飲みやすく、薬が苦手なペットでも投与しやすいのが特徴です。
スポット剤は食べ物にアレルギーがあるペットでも安心して使えますが、場合によっては皮膚に合わないこともあるため注意してください。
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体を定期的にチェックする
ノミやダニがついていないかこまめにチェックするのも効果的です。
ブラッシングやシャンプーをする際にペットの体を確認し、ノミやダニが潜んでいないか見てみましょう。
マダニの場合、吸血によって体が膨らむため目視で確認できます。
ノミがいるのかを確認する際は、ノミやノミの糞がついていないかチェックするのが基本です。
ペットの皮膚についた黒い粒を水に濡らしたティッシの上に置き、赤く滲んだ場合はノミの糞と考えられます。
また、体をかくことが多くなっていないか、脱毛や発疹は見られないかといった犬の仕草や症状を確認することも大切です。
室内の清掃はこまめに行う
ダニやノミが室内に入り込んだ場合、家具や絨毯の下、床に置いた洋服などに潜伏し、繁殖する可能性があります。
そのため、こまめに室内を掃除し、衣類の洗濯を行うようにしましょう。
清潔な状態を保つようにすれば、ダニやノミが室内で増える恐れは少なくなります。
ダニやノミは繁殖力が高いため、室内で発生しているのを発見したら薬を使って駆除しましょう。
駆除した後は掃除機などを使って死骸を取り除くのも忘れないようにしてください。
外出時は虫よけスプレーをする
室内にダニやノミを入れないためには、外出時に虫よけスプレーを使う方法もあります。
虫よけスプレーを使わないまま外出すると、屋外でダニやノミが衣服などに付着し、知らないうちに室内に持ち込んでしまう恐れがあるでしょう。
近年は、人用だけでなくペット用の虫よけスプレーも出ています。
ノミやダニだけでなく蚊も防げるため、ペットの健康を守りたい場合に適しています。
草むらの多い場所など、ダニやノミが発生しやすい場所へ行く際は、虫よけスプレーで対策してみてください。
まとめ
本記事では、ノミとダニの違いやペットが刺されたときの対処法、予防法について解説しました。
ノミやダニがつくとかゆみが生じるだけでなく、感染症にかかるリスクもあります。
重症化すると命の危険が伴う可能性もあるため、気をつけてください。
定期的に予防薬を投与したり、ペットの体をチェックしたりしてノミ・ダニを防ぐことが大切です。
また、こまめに部屋の中を掃除して清潔な状態を保つ必要もあります。
適切な方法を取り入れて、ペットを守りましょう。