命を落とす可能性もある!?胃捻転の症状と予防対策
愛犬がかかる可能性がある病気のうち、緊急性が高く恐ろしいものは数多く存在します。
こういった病気の代表格といえるのは心臓病ですが、それ以外で緊急性が高く軽視できない病気が「胃捻転」という病気です。
胃捻転は早めに処置をしなければ愛犬の命に関わる病気で、少しでも判断が遅れると愛犬が命を落としてしまうこともあります。
愛犬の命に関わる胃捻転について知り、もし疑われる症状を発見したときは速やかに対処できるよう備えておきましょう。
胃捻転ってどういう状態なの?
胃捻転とは、文字通り胃が捻転してしまう病気です。
何らかの原因で胃が拡張、内容物が発酵してガスを発生させ、胃に充満して捻れてしまうことで生じます。
胃が拡張してしまうことで他の臓器を圧迫してしまったり、他の臓器や血管などが胃とともに捻転し、血液の循環を妨げてしまったりする緊急性が高い症状でもあります。
早めに処置をしなければ高確率で命を落としてしまうほど恐ろしい病気のため、胃捻転が疑われる症状があらわれたときは速やかに動物病院へ連れていきましょう。
胃捻転の初期症状
胃捻転は発症から時間が経てば経つほど危険性が上昇するため、早期発見が非常に重要になります。
そのため、胃捻転になるとどのような初期症状があらわれるのか、しっかり把握しておくのが大切です。
胃捻転の初期症状のうち、主なものは腹部の膨張、呼吸の変化、空嘔吐の3つです。
腹部の膨張
胃捻転を発症すると、捻れてしまった胃袋の中でガスが溜まっている状態になります。
その影響で腹部が膨らんで見えることがあり、触ると痛がったり嫌がったりすることがあり、こういった様子のときは胃捻転が疑われます。
ただし、肋骨で抑えられて胃の膨らみが外見的にはわかりにくい場合もありますので、腹部が膨らんでいるように見えないからといって油断しないようにしましょう。
呼吸が荒い呼吸が早い
痛みや循環障害、膨らんだ胃に肺が圧迫されることにより、呼吸が荒くなったり早くなったりすることがあります。
腹部の膨張にくわえて呼吸の状態も確認し、荒い呼吸や早い呼吸をしていた場合は胃捻転の可能性を疑いましょう。
空嘔吐(吐きそうなのに吐けていない)
人間でいう「えずいている」状態のように、吐き出すものは特に何も出ないのに吐きそうな仕草を繰り返している場合は特に注意が必要です。
胃液や未消化物が出る嘔吐よいも、空嘔吐は胃捻転や胃拡張の可能性が高い、特に危険なサインです。
しかし、胃捻転や胃拡張でも吐物が出る嘔吐症状がみられる場合もあるので、吐瀉物が出たから胃捻転ではないということにはなりませんので注意しましょう。
胃捻転の症状が進行するとどうなる?
発見が遅れて進行してしまうと、胃の壊死や腹膜炎といった重篤な症状に繋がることがあります。
また、循環の異常によってショック症状が起きてぐったりしたり、呼吸困難に陥ったり、多臓器不全を起こしたりする場合もあります。
治療が遅れた場合、命を落とすことにも繋がってしまうため、症状が進行して重篤化する前に処置を行うのが重要です。
初期症状の時点で気づいたらすぐに動物病院へ
すでに触れているように、胃捻転は重症化すると他の臓器へ激しく影響を与えます。
一度捻れてしまった胃が自然と元に戻る可能性はほとんどありませんので、自宅で様子を見ることはせず、初期症状に気付いた時点ですぐに動物病院へ連れていきましょう。
このときも、通常の診療時間を待たずに、受診可能な近くの動物病院や救急動物病院へ早急につれていくことを強くお勧めします。
胃捻転になりやすい犬種
胃捻転は、胸が大きくて深い犬種、具体的には大型犬や超大型犬で発生しやすい傾向にあります。
特にグレートデーンは危険性が高く、他にもセントバーナードやジャーマンシェパードなどの犬種が該当します。
大型犬の場合は20%程度が生涯のうちに胃捻転を発症する可能性があるという報告もされています。
しかし、ダックスフンドやトイプードルなどの小型犬でも発症する場合があるため、全ての犬種において警戒する必要があります。
胃捻転の原因と対策
危険性が高く恐ろしい病気ですが、根本的な原因がはっきりわからないことも多くあります。
しかし、胃捻転のリスク要因やその対策はいくつか存在しており、そういった点に気をつけることで胃捻転を発症する可能性を低くすることができます。
食事を一気に食べてしまう(ドカ食い)
胃捻転の原因として挙げられやすいのが食事の食べ方です。
1日1食だったり、一度に大量に食べてしまったり、フードを盗み食いしたりしてしまうと胃が急激に拡大してしまいます。
また、早食いや水の多量摂取も同様に引き金となるおそれがあり、これらの原因から胃捻転を引き起こしてしまうことがあります。
食事は小分けにして与える
食事は一度にたくさん食べさせず、1日2~3回ほどに分けて与えるようにしましょう。
1日の間に複数回、小分けにして与えることによって一度の食事で大量に食べてしまうのを防ぎ、胃捻転のリスクを減らすことに繋がります。
また、お皿を早食いを防止するものに変えるのも有効なので、早食いの癖がある愛犬と暮らしている方はこういったお皿を活用するのもお勧めです。
食後すぐに運動する
食事の量だけでなく、食後すぐの運動が引き金になり、胃捻転に繋がることもあります。
というのも、胃は体内でしっかりと固定されておらず、食後すぐに運動すると食べ物によって膨らみ重くなった胃が動き回って腸と絡まり、捻れてしまうおそれがあります。
激しい運動は特に注意が必要といえるので、食事の量だけでなく運動のタイミングにも注意が必要です。
食後しばらくは安静にする
食事を与えたあとはすぐに運動させたり興奮させたりしないようにしましょう。
最低でも食後1~2時間、理想的には3時間は安静な状態にさせ、十分な休息を取らせましょう。
また、食事を与える時間も必ず散歩の後や運動後にし、散歩や運動の前に与えないようにしましょう。
どうしても排泄のために散歩をしなくてはならない場合、排泄のみに限定し、愛犬が排泄を行ったらすぐに散歩を中断するようにしましょう。
なるべくストレスを与えない
ストレスは万病のもとと言われているとおり、さまざまな病気の引き金になりますが、胃捻転も例外ではありません。
ストレスの影響によって胃腸の働きが悪くなり、その結果、胃捻転が発生しやすくなってしまうと考えられています。
特に環境の変化によるストレスが大きく、そういった精神的な負担も胃捻転の原因になることがあります。
旅行などのイベントをなるべく控える
ストレスによる胃捻転の可能性を低くするためにも、環境が大きく変化するイベントはなるべく控えましょう。
旅行等のイベントによる移動やペットホテルへ預ける等の環境的変化は、犬にとってストレスになります。
人間にとって旅行は楽しいものですが、愛犬にとってはそうではないため、旅行やペットホテルへ預けるといったことは控えて環境的変化のストレスをなるべく与えないようにしましょう。
加齢
他の病気でもそうであるように、胃捻転も加齢によって生じるリスクが年々高まっていきます。
加齢の影響によって胃を支える靭帯が緩むことが一因だとされており、特に中高年の犬から老犬に多いといわれています。
動物保険の保険金支払いデータでも、6歳以上になると請求件数が増えているという結果が出ています。
そのため、愛犬が年を取ってきたら他の病気と合わせて胃捻転にも気をつけるべきといえます。
加齢の対策はない!
他の原因と異なり、加齢は自然と起きることのため、対策することができません。
加齢そのものを避けることもできませんので、胃捻転が起きたときの初期症状を見逃さないよう、普段から注意深く観察することがとても重要になってきます。
また、普段お世話になっている動物病院だけでなく、近場にある動物病院や救急動物病院の位置を調べておき、胃捻転が起きたときに即座に連れていけるようにしておくことが大事です。
愛犬の様子をしっかりと観察し、普段との行動の違いがあれば、すぐさま病院へ行けるように環境を整えておきましょう。
胃捻転の治療
胃捻転の治療には、内科的治療と外科的治療の二つが存在しています。
初期であれば胃の減圧処置を行う場合もあり、腹腔穿刺や食道にチューブを通すことによる胃ガスの除去などが行われます。
症状の度合いによって治療方法が変わりますが、内科的治療だけの場合は再発率が高いという注意点があります。
根本的に改善するためには外科的治療が有効で、手術によって胃を元の位置に戻して腹壁に固定する必要があります。
捻転の整復のみで胃腹壁固定術を行わなかった場合も再発率が高く、その場合の再発率は80%以上といわれています。
胃捻転のような胃腸の疾患はいくつもあります。胃や腸の疾患に有効な治療薬や予防・サポートをするためのサプリメントなどは通販サイトに多数あります!ペットの胃や腸の疾患に有効な治療薬は通販サイトでの購入をぜひ検討してみてくださいね!
まとめ
胃捻転は、大型犬や超大型犬で特に注意するべき病気の一つといえます。
加齢を重ねた犬でみられることが多い病気ですが、どの年代の犬でも発生する可能性があるため、まだ若い年齢の犬と暮らしている場合でも気をつけなくてはなりません。
発生後、数時間で死に至ることも多い緊急性が高い病気のため、普段から初期症状を見逃さないようにし、疑われる症状があらわれたときは即座に動物病院や救急動物病院へ連れて行かなくてはなりません。
また、普段から食事の与え方や食後の過ごさせ方にも注意し、予防をすることも大事です。
日頃から予防をしつつ、胃捻転の初期症状にはどのようなものがあるのかを把握し、もし発症してしまった場合はすぐに対処ができるよう環境を整えておきましょう。