普段のケアも原因になる!?犬や猫に多い皮膚病「膿皮症」ってなに?

普段のケアも原因になる!?犬や猫に多い皮膚病「膿皮症」ってなに?愛犬や愛猫の様子を見ていたとき、皮膚の調子がいつもと違うと思ったことはありませんか?

犬猫の皮膚疾患にはさまざまな種類が存在しており、その中でも比較的よくみられるのが膿皮症という病気です。

愛犬や愛猫の皮膚に水疱がみられたり、円形の脱毛がみられたりした場合は、この病気にかかってしまっている可能性があります。

そこで、膿皮症とはどのような病気なのか、どのように対処すればいいのか事前に確認しておき、即座に対応できるようにしておきましょう。

 

犬や猫の皮膚病「膿皮症」ってなに?

皮膚病に罹っている犬
膿皮症は、すでに軽く触れているように犬や猫でみられる皮膚疾患の1種です。

皮膚に細菌が感染することによって生じる皮膚疾患で犬によくみられますが、稀に猫にもみられます。

発症するとかゆみや皮膚の赤みや湿疹などの症状を引き起こし、フケや円形の脱毛などがあらわれることもあります。

皮膚の深い部分で発症すると症状が重くなり、全身症状に繋がるケースもあるため注意が必要です。

 

膿皮症の3つのタイプ

一口に膿皮症といっても、どこで症状が起きているかによっていくつかの種類に分けることができます。

その種類によって原因や治療法が異なるため、それぞれの種類に適した方法で対処する必要があります。

参考元:膿皮症(皮膚細菌感染)

 

表面性膿皮症

表面性膿皮症は、引っかき傷等のちょっとした外傷がきっかけになって引き起こされることが多い膿皮症です。

皮膚の表面でのみ細菌が過剰に増殖している状態で皮膚の赤みやかゆみ、ジュクジュクした状態になるなどの症状があらわれます。

皮膚と皮膚が重なっている顔や陰部周りなどのシワの部分でよく見られ、比較的症状が軽いタイプの膿皮症でもあります。

 

表在性膿皮症

一般的な膿皮症にあたり、非常によく見られるのが表在性膿皮症です。

表皮や毛包内に細菌感染を起こしている状態で、発症すると初期症状として丘疹や膿疱がみられ、かゆみや脱毛などの症状も引き起こされます。

症状が進行すると膿疱が潰れ、円形に広がってドーナツ状のフケやカサブタが付着する表皮小環がみられるようになります。

さらに時間が経つと炎症の後にメラニンが皮膚に沈着し、色素沈着が引き起こされることがあります。

 

深在性膿皮症

皮膚が腫れて膿や血が出たり、皮膚の一部に膿や血が溜まって赤や紫色に盛り上がったりしている場合は、深在性膿皮症が疑われます。

このタイプの膿皮症は皮膚の深い部分まで細菌感染が広がってしまっており、痛みを伴うことが多く、発熱や食欲不振など全身症状に繋がる場合もあります。

内分泌疾患や寄生虫疾患など、体内の疾患が原因になることもあるため、注意が必要です。

 

犬・猫の膿皮症の原因

ご紹介したように、膿皮症にはさまざまなタイプが存在しています。

では、こういった症状を引き起こす膿皮症は、どのような原因によって発生するのでしょうか。

複数のタイプが存在しているように、膿皮症の原因も複数存在しています。

 

直接的な原因は細菌の感染

どのタイプの膿皮症でも、直接的な原因は細菌の感染であるという共通点があります。

皮膚に存在する常在菌が引き金になることが多く、体の抵抗力や皮膚のバリア機能が低下した際に過剰に増殖することによって発症します。

表面性膿皮症の場合は特にブドウ球菌による細菌感染が多く、表在性膿皮症の場合でもこの細菌が表皮や毛包内に感染することによって引き起こされます。

しかし、深在性膿皮症の場合は緑膿菌や大腸菌などが検出されることもあり、ブドウ球菌以外の細菌によって症状が起きる場合もあります。

参考元:夏に多発!!犬の膿皮症の症状と原因、治療について|獣医師が解説

 

疾患によって生じることがある

多くの場合、膿皮症は引っかき傷等の外傷によって細菌感染を起こして発症します。

しかし、深在性膿皮症の場合は他の疾患や腫瘍によって引き起こされる場合があり、注意が必要です。

代表的な例として内分泌疾患の1種であるクッシング症候群や甲状腺機能低下症があげられ、こういった病気が膿皮症につながります。
 
また、内分泌疾患だけでなくアレルギー性皮膚炎が引き金になる場合もあります。

これらの病気が原因となっており病気の適切な治療が行われずにいると、なかなか膿皮症の治療に成功せずに長期化する傾向にあります。

そのため、膿皮症が長引く場合はこういった病気にかかっている可能性も疑いましょう。

参考元:膿皮症ってどんな病気?

 

不適切なケアが原因になることがある

他の病気や外傷ではなく、不適切なシャンプーやブラッシングといったケアが原因になることもあります。

シャンプーやブラッシングは愛犬や愛猫の皮膚や被毛を健やかに保つためにも大切ですが、不適切な方法で行っていると皮膚疾患を引き起こしてしまうことがあります。

特にシャンプーのときに多く、愛犬や愛猫の体に合わないシャンプーを使用していたり、過剰にシャンプーをしたり、反対にシャンプー不足だったりすると膿皮症の原因になる場合があります。
 
また、シャンプーだけでなく過剰なブラッシングで表皮に傷をつけてしまったり、ドライヤーの長時間の使用による皮膚への過度な負担によって膿皮症を引き起こしてしまうこともあります。

愛犬や愛猫が膿皮症になってしまったときは、日々のケアは適切かどうか一度見直してみましょう。

 

膿皮症の予防方法

ご説明したとおり、膿皮症は主に引っかき傷等の外傷が引き金になります。

そのため、膿皮症を予防するには外傷にもっとも注意する必要があり、日々のスキンシップの際に被毛をかき分けて皮膚に引っかき傷をはじめとした外傷がないか確認するようにしましょう。
 
また、引っかき傷がどうしてできたのかという原因をしっかり把握し、その原因を取り除くことも必要です。

たとえば、外傷の原因がストレスや寄生虫による影響なら、ストレスの引き金になっているものを取り除いたり寄生虫を駆除したりといった対策をして膿皮症を予防しましょう。

定期的なシャンプーやブラッシングで皮膚に付着した汚れや余分なフケを取り除くのも大切ですが、過剰なケアで逆に皮膚を傷つけてしまわないように気をつけましょう。

参考元:愛犬・愛猫の皮膚を守る! |犬と猫の膿皮症の基礎知識と対策法について

 

膿皮症の治療方法

膿皮症の治療は、症状の種類や程度に応じて使い分ける必要があります。

適した治療を行わなければ効果が薄く、治療をしているはずなのに膿皮症が長引いてしまうなんて事態になってしまいます。

愛犬や愛猫の膿皮症を確実に治療するためにも、適した方法で治療を行いましょう。

 

 膿皮症かどうかの見分けは難しい

他の病気でもそうであるように、膿皮症は治療の前に検査を行います。

というのも、犬や猫がかかる可能性がある皮膚疾患の中にはマラセチア皮膚炎など膿皮症と似たような症状があらわれるものもあります。

膿皮症だと思っても実際は別の皮膚疾患である可能性があり、もし膿皮症以外の皮膚疾患だった場合は異なる方法で治療しなくてはなりません。

そのため、治療を始める前に検査を行って本当に膿皮症であるかどうかを確認する必要があります。
 
しかし、膿皮症は判断が難しく、さまざまな治療を行ってその反応を見ながら診断していく必要があるため、どうしても時間がかかってしまうものだと理解しておきましょう。

参考元:犬の膿皮症|症状や原因、治療法について獣医師が解説

 

軽度の症状の場合の治療方法

膿皮症の症状が軽い場合、外用薬による治療やシャンプー療法が行われます。

抗菌作用がある外用薬を塗ったり、薬用シャンプーを使用して体全体や患部を洗ったりすることにより、過剰に増殖した細菌を死滅させて膿皮症を治療できます。

 

症状が重い場合や膿皮症が繰り返される場合

症状が重い場合や、膿皮症が繰り返される場合は内服の抗菌薬を使用します。

広範囲に湿疹が出現している場合も推奨されることがあり、通常3~4週間ほど内服薬を投与し、症状が消失したあともさらに1週間ほど投与して体の内側から治療していきます。

内服薬を使用する場合は獣医師から指示された期間中、しっかり薬を投与して指示された期間よりも早くに投与をやめたりしないでください。

また、膿皮症を繰り返す場合は基礎疾患として何か原因となるものが隠されている可能性があるため、そちらの検査や治療も行いましょう。

 

まとめ

犬と猫が獣医に撫でられている
愛犬や愛猫がかかる可能性がある皮膚疾患のうち、比較的よくみられるのが膿皮症です。

犬で特に多くみられますが、まれに猫も発症することがあり、愛犬家の方も愛猫家の方も注意するべき皮膚疾患の1つといえます。

表面性、表在性、深在性の3つの種類が存在し、症状が皮膚の深部で起きる深在性膿皮症になると皮膚だけでなく全身に症状があらわれるため注意が必要です。

いずれの膿皮症も細菌感染によって起き、外傷や過剰なシャンプー、過剰なブラッシングや病気などのさまざまな原因によって症状が引き起こされます。

膿皮症が疑われる症状がみられたときは、動物病院で検査を行ってもらい、適切な治療を行って愛犬や愛猫の皮膚を健やかに保ちましょう。