愛犬・愛猫に口内炎ができてる!?口内炎ができてしまう原因と予防方法
人間でもみられることがある口腔内の症状である口内炎。
自身の経験などから口内炎は大したことがない症状だと思ってしまいがちですが、犬や猫の場合、決して無視できない口腔病になります。
最悪の場合、愛犬や愛猫の命に関わるおそれもあるため口内炎ができてしまっているときは速やかに治療をするのが大事になってきます。
犬や猫の口内炎はどのようなものなのか、発症した場合の対処法やそもそも口内炎にさせないためにはどうすればいいのか、愛犬や愛猫の口内炎についてご説明します。
犬や猫が口内炎になったらどんな症状があらわれる?
人間の場合、口内炎ができても少し食事をとりづらい程度で済むことが多いです。
しかし、犬や猫の場合は強い痛みから食事をとることが難しくなってしまい、食べにくそうにしたり食べる量が普段よりも少なくなったりします。
また、よだれが多く出たり、犬の場合は口元を触られるのを嫌がるようになったりしますので、このような様子がみられたときは口内炎ができてしまっているかもしれません。
この他にも、以下のような症状があらわれるため、該当する症状が愛犬や愛猫にみられたときは口内炎の可能性を疑いましょう。
【犬の場合】
- 食べ物をポロポロこぼす
- 食事に時間がかかる
- ドライフードを嫌がり、ふやかし食やウェットフードを好むようになる
- くちゃくちゃと音をたてながら食べたり、舌の動きが増える
- 口をくちゃくちゃさせる
- 前足で口をこすったり、ケージやおもちゃに口をこすりつける
【猫の場合】
- 食べたそうにしているが食事をとらない
- 歯茎や口腔内と頬の粘膜全体に炎症が広がっている
- 口臭がある
- 食事中に突然鳴いたり走り出したりする
- よだれに血が混ざっている
- 毛づくろいをしなくなる、または回数が少なくなる
- 隠れてじっとしていることが多くなる
犬や猫の口内炎の原因
犬や猫の口内炎ですが、犬よりも猫に多くみられます。
しかし、犬の場合でも猫の場合でも、実は口内炎に関してはっきりとした原因と呼べるものはありません。
口内が傷つくような刺激や口腔内の病気、あるいは全身性の疾患が原因になっていると考えられています。
口の中の粘膜を痛めてしまう刺激
口内炎は、主に口腔内の粘膜が傷ついてしまうことによって生じます。
口の中はデリケートな部位で、思わぬことで傷ついてしまうため、どのような刺激が口内炎の引き金になるおそれがあるのか、しっかり覚えておきましょう。
熱い食べ物などによるヤケド
熱いお湯やミルク、冷ますのが不十分なふやかし食や手作り食など、熱い食べ物を口に含んだ際に火傷をしてしまうことがあります。
こういった熱い食べ物による刺激で口腔内の粘膜が傷ついてしまい、口内炎や舌炎などの症状を引き起こしてしまいます。
温めた食事を与える際は十分に冷ますか、犬や猫が火傷をしない温度で温めるようにしましょう。
異物を口に含んだことによる傷
缶の蓋や釣り針などの異物を口に咥えた際、口腔内が傷ついてしまうことがあり、それによって口内炎が引き起こされる場合があります。
成犬や成猫ではこういった状況になる可能性は低いですが、好奇心旺盛な子犬や子猫の時期は特に注意が必要です。
また、固いおもちゃやおやつによって口腔内を傷つけてしまうおそれもあるため、異物だけでなくおもちゃやおやつにも注意しましょう。
その他の危険物
また、シリカゲルや有毒植物、洗剤などにも注意が必要です。
シリカゲルは口腔粘膜や消化管を刺激して出血を伴う炎症を起こすことがあります。
また、シュウ酸カルシウムを多く含む植物は口内炎や粘膜刺激を引き起こしますし、洗剤は直接舐めなくても体に付着してしまい、そこをグルーミングで舐め取ってしまう可能性があります。
そのため、危険物を愛犬や愛猫が口に含んでしまわないように注意する必要があります
口の中の病気や全身性の疾患
粘膜の刺激以外にも、歯周病等の口腔病や歯に付着している歯垢、歯石が口内炎の原因になることもあります。
また、全身性の疾患が引き金になる場合もあるため、愛犬や愛猫に口内炎ができたときはこういった原因が隠されている可能性も考えましょう。
歯周病
歯周病は、3歳以上の犬や猫の約8割が罹患しているといわれる口腔病です。
付着した歯石と歯肉の間から細菌が歯茎へ侵入することで引き起こされ、歯根まで入り込んで増殖して歯肉や歯根が炎症を起こします。
ケアが不十分で口腔内に歯垢や歯石が溜まることが原因で、発症すると歯肉の腫れや赤み、出血、口臭の悪化やよだれの増加などの症状があらわれます。
悪化すると歯槽骨が溶けて歯が抜け落ちたり、下顎が折れてしまったりすることもあります。
場合によっては細菌が血液に乗って運ばれて心臓や腎臓、肝臓にまで到達して病気を引き起こすこともありますので、注意が必要です。
尿毒症
口内炎を併発することが多い病気の一つが尿毒症です。
中高齢の犬や猫に多い慢性腎臓病や急性腎障害など、腎臓病の末期症状として見られることが多く、電解質や体液量の調節障害や老廃物、毒性物質の排泄障害などが原因になります。
これらの原因によって本来腎臓から排泄されるはずの老廃物や毒性物質が正常に排泄されず、血液中に残って全身を巡り、痙攣や意識障害、口からのアンモニア臭、口腔粘膜の壊死や潰瘍などの症状に繋がります。
他にも食欲が劇的に落ちてぐったりする、嘔吐や呼吸が荒くなるといった症状もみられるため、口内炎以外にこういった症状がみられたときは尿毒症の可能性を疑いましょう。
感染症
ウイルスや細菌、真菌などの病原体に感染し、それらによる感染症によって口内炎を発症することもあります。
犬の場合はジステンパーウイルス等のウイルスやカンジダなどの真菌の感染が、猫の場合は猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスなどの感染が原因となり、発症することが多いです。
口腔内には常にさまざまな細菌が存在しており、バリア機能も働いているので健康な犬や猫では細菌のみが発症要因になることはほとんどありません。
口内炎の原因が感染症の場合、根本的には抵抗力が下がる病気や全身性疾患の併発が関与していると考えられます。
糖尿病
また、場合によっては糖尿病が口内炎に繋がっている場合があります。
糖尿病は犬や猫でもみられることがあり、脾臓で作られているインスリンというホルモンが不足したり十分な働きをできなくなったりして血液中のブドウ糖が利用できなくなることによって発症します。
初期のうちでは発見が難しいのが特徴で、症状が悪化するとともに白内障や腎疾患、肝疾患など多くの合併症を伴うことが多いという特徴があります。
糖尿病を発症すると体の免疫力が低下するため、その影響で口腔内のバリア機能が低下し、炎症や感染症が起こりやすくなって口内炎に繋がります。
口内炎ができたらどうすればいい?
犬や猫の口内炎は、一度できると自然に治るのは稀です。
ほとんどの場合は慢性経過をたどり、終生にわたって症状を示すため、愛犬や愛猫に口内炎ができてしまったときは動物病院で治療を行います。
口腔内の視診や血液検査、レントゲン検査、ウイルス検査などの検査を行って口内炎であること、他の病気が隠されていないかを確認し、もし全身性疾患による口内炎の場合はその治療を行います。
歯石や歯垢による口内炎の場合は、そういった歯石や歯垢を取り除き、治療を進めていきます。
口内炎の原因となっているものを検査で明らかにしてから治療をするため、口内炎の疑いがあるときは必ず動物病院へ連れていきましょう。
参考元:猫の口内炎
口内炎ができないように予防しましょう!
口内炎にかからないよう、予防する方法は残念ながらあまりありません。
そのため、普段からの口腔ケアや定期的な口内のチェックによる早期発見と早期治療が重要になります。
毎日の歯磨きを習慣にしたり、口腔ケアに役立つアイテムを使ったりして、日頃から愛犬や愛猫の口腔内を清潔な状態で保ちましょう。
また、口の中の粘膜を痛めてしまうような刺激を与えないことや、感染症にかからないようワクチン接種をするということも口内炎の予防に繋がります。
動物病院で定期的に検査を受けたりするのも効果的ですので、必要に応じて取り入れましょう。
まとめ
人間にとって大したことがないように感じてしまう口内炎も、犬や猫にとっては厄介な病気の一つです。
犬や猫の口内炎は口腔内の粘膜を傷つけてしまったり、口腔内に蓄積した歯垢や歯石が原因になったりして引き起こされることが多い口腔病です。
場合によっては尿毒症や糖尿病など全身性疾患が引き金になっていることもあるため、口内炎が疑われる症状がみられたときは速やかに動物病院へ連れていき、治療するのが一番です。
適切な治療をせずに放置していると、口内炎による痛みから食事をとれなくなって衰弱し、最悪の場合は愛犬や愛猫の命に関わることもあります。
日頃から歯磨きをして口腔内を清潔に保ったり、口腔内を定期的にチェックしたりして、口内炎らしき症状がみられたときは動物病院で獣医師に相談するようにしましょう。