猫にも歯磨きは必要?歯磨きの必要性と歯磨きの方法をわかりやすく解説!
今回のテーマは「猫の歯磨き」です。
実は犬より難しいといわれている猫の歯磨き。
「全然慣れてくれない」とお困りの方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは猫の歯磨きの必要性をお伝えしたうえで、歯磨きの方法や注意点などをお伝えしていきたいと思います。
愛猫家のみなさま必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
結論:猫にも歯磨きは必要
飼い猫の多くは、次のようなものを食べて生活しています。
- ドライ系フード(通称「カリカリ」)
- ウエットタイプのフード、またはおやつ
- フリーズドライタイプ(トッピング、おやつなど)
このうち、とくにウエットタイプのフードは柔らかく、歯のすき間や表面に残りやすい(つまりやすい)ため、「歯垢や歯石がつきやすい」のが実状です。
歯垢や歯石は歯周病の原因になるため、可能な限り猫にも歯磨きを行う必要があります。
猫が歯周病にかかるとどうなる?
猫の歯磨きを怠ることでいちばん怖いのは、歯周病のリスクが大きくなることです。
ここでは、猫が歯周病になるとどういった症状が現れるのか、また歯周病が原因で引き起こす病気について説明します。
歯周病の症状
歯周病を発症すると、次のような症状が見られるようになります。
- 口臭がきつくなる
- 歯茎が赤く腫れる
- よだれが出る
歯周病の原因は、歯垢や歯石の中に潜む細菌です。
猫は人間と比べ、歯垢が歯石に変化するスピードが早く、歯周病を発症するのも早いため、「2歳までの猫の7割がすでに歯周病、もしくは歯周病予備軍」といわれています。
初期の場合だと気付きにくく、猫自身にも自覚症状が少ないといわれていますが、猫の歯が黄色もしくは茶褐色に変化してきた場合は「初期歯周病」を疑いましょう。
歯周病が引き起こす病気
歯周病が進んでいくと、「歯周炎(歯周膿漏)」を引き起こします。
歯周炎が起きると、歯周ポケットの奥にある組織「歯根膜」が破壊されます。
歯根膜は歯を固定する役割をしているため、この部位が破壊されると歯が抜け落ちます。
また、歯茎の血管が切れて出血した場合、そこに細菌が入り込み、血管を通って肺や心臓、腎臓に運ばれてしまうこともあります。
出血や痛みによって食事ができなくなった猫は衰弱し、死に至ることもあるため、「たかが歯周病」と軽視するのは非常に危険です。
若いうちから愛猫の口腔ケアはしっかり行うようにしましょう。
猫の歯磨きはどうすればいい?
小さい頃からのケアが大事とはいえ猫の歯磨きは犬よりも難易度が高いため、なかなかうまくいかないこともあるかと思います。
ここでは「始めるタイミング」や、慣れさせる方法について解説してみたので、ぜひ参考にしてみてください。
猫の歯磨きはいつから始めるべき?
しつけの概念がない猫に「歯磨きを教える」というのは、簡単なことではありません。
とくに成猫(2歳以上)になってから習慣づけるのは非常に難しく、場合によっては猫の機嫌を損ね、二度と触らせてもらえなくなる、飼い主を引っかく、などのトラブルになることもあります。
そのため、子猫のうちに慣れさせておくことが必要です。
始めるタイミングは、「早ければ早いほど良し」です。
永久歯にすべて入れ替わるのがだいたい生後4~6ヶ月なので、このくらいの月齢になるまでには歯磨きに慣れてもらうとよいでしょう。
歯磨きに慣れさせる方法
「慣れてもらうとよいでしょう……といったって、慣れさせるのが難しいんですが?」
そんな方のために、ここでは猫に歯磨きを慣れさせる方法を解説します。
適切な方法で慣れさせることで「もう2歳だけどできた!」という報告もあがっているので、あきらめずに挑戦してみてください。
STEP1:口に触れられることに慣れさせる
猫にとって、歯ブラシは「得体の知れない怖いもの」です。
そういったものを口に入れられるとなれば、当然恐怖を感じることでしょう。
というわけで、はじめは歯ブラシを持たず、「口の周りを触る」ことから始めていきましょう。
ただし、とくに迎え入れたばかりの猫の場合、口を触られることすら嫌がることもあります。
そのため、まずは「飼い主が触れても大丈夫」というところを目指しましょう。
ポイントは「嫌がられない程度に少しずつ」です。
ゆっくり愛猫の様子を見ながらはじめてみてください。
STEP2:歯や歯肉を触られることに慣れさせる
口元を触ることに抵抗がなくなったら、次は歯や歯肉に触れることに慣れてもらいましょう。
ここでも、まだ歯ブラシは必要ありません。
タッチしても嫌がらない状態を目指して徐々に触っていくようにし、飼い主側も「噛まれる恐怖心」がない状態を目指しましょう。
歯に触ることに慣れてきた段階で、ペットが好む味の歯磨きペーストを使ったり、ふき取り系のデンタルケアグッズを使ったりするのもひとつの手です。
この場合、かならず「動物用」のものを使うようにしてください。
STEP3:ブラシを当てられることに慣れさせる
STEP2をクリアした段階で、歯ブラシを用意しましょう。
しかし、慣れない歯ブラシを見て「怖い!」「嫌だ!」と感じる猫も少なくありません。
そのため最初は「ブラシを当てる時間は限りなく短く、ほんの少しだけ」を意識しましょう。
焦らず、少しずつ慣れてもらい、徐々に歯ブラシを動かしながらブラッシングをしてみてください。
各ステップの終わりにはご褒美を
各ステップを終えた後は、必ずおやつなどのご褒美をあげてください。
これにより、「嫌なことを頑張ったらご褒美がもらえる」と認識してくれるようになります。
とはいえ、通常のおやつを食べてしまうとせっかくの歯磨きが水の泡になってしまうので、デンタルケアができるおやつガムなどを選ぶことをおすすめします。
歯磨きの方法と注意点
ここでは、歯磨きの方法と注意点についてお伝えします。
自己流の歯磨きをされてきた飼い主さんも、これを機に「正しい方法」をチェックしてみてください。
歯磨き用のグッズは必ずペット用を用意
「歯ブラシや歯磨きペーストは人間用のもので代用してもいいのでは?」
とお考えの方もいるかもしれませんが、実はこれは間違いです。
人間用の歯ブラシは動物にとっては非常に固く、歯茎を傷めてしまう可能性があります。
そのため、必ず動物用のものを使うようにしましょう。
また、人間用の歯磨きペーストには、猫にとって猛毒となる「キシリトール」が含まれているものが多く、非常に危険です。
歯磨きペーストも必ず動物用のものを選びましょう。
デンタルケアグッズはペット専用のものを使用する必要があります!ペットの口腔ケアグッズは通販サイトで購入することができます!
ブラッシングの方法
ブラッシングは、歯に対して斜め45度の角度から歯ブラシを当て、小刻みに左右に動かします。
強くこすったり、左右ではなく上下に激しく磨いたりするのは、猫の歯茎に負担がかかるため良くありません。
小さな猫の歯にしっかりと歯ブラシを当て、「歯と歯茎の間のポケットにブラシを入れ込む」という点を意識し、優しく丁寧に磨いてあげてください。
歯磨きの流れ
「まったく磨かないよりマシなので適当に磨けるところを磨いている」
「嫌がらない場所からはじめている」
という方も多いかと思いますが、順番があったほうが磨き残しのリスクが少なくなり、効率的です。
おすすめなのは、「上部の前歯と犬歯」→「上部の奥歯」→「下側」という順番です。
歯磨きの頻度
理想は1日1回ですが、途中で機嫌が悪くなって中断してしまうこともあるでしょう。
そういった場合に備え、「左右に分割して、どちらか片方を毎日磨く」という方法を取り、スピーディに歯磨きを済ませるようにしましょう。
ちなみに猫の場合、歯垢が1週間で歯石に変わるといわれています。
歯石になってしまったものは歯ブラシでとれないので、毎日左右どちらかだけでもしっかり磨いて歯垢を落とし、歯石になるのを防いでいきましょう。
プロに任せるのもアリ!
「歯どころか、そもそも体に触られることが嫌い」
「ブラッシングがどうしてもうまくできない……」
そんな場合は、プロに任せるのもひとつの手段です。
歯科を併設している動物病院やトリミングを手がけるサロンでは、猫の歯磨きが可能な場合があります。
費用が多少かかってしまいますが、歯石除去や歯周病の治療にかかる費用に比べれば高額ではないですし、何より猫の健康が第一です。
「自分では難しくとも口腔ケアはしっかりしたい!」という方は、ぜひこういったサービスを検討してみてください。
まとめ
今回は「猫の歯ブラシ」をテーマに、歯ブラシの必要性や方法についてまとめてみました。
ポイントは、以下の通りです。
- 猫も歯ブラシは必要
- 歯周病が悪化すると衰弱死することもある
- 歯ブラシは子猫のうちにはじめる
- 決して無理をせず、デンタルケア系おやつを上手に使う
犬よりも難しいとされる猫の歯ブラシは、「プロでも簡単ではない」といわれています。
とはいえ、決して不可能なことではありません。
猫は歯磨きを嫌がりがちですが、「まずは口や歯に触ることに慣れる」というところから地道に進めることで、最終的には難なく歯磨きできるようになる場合もあります。
ぜひ今回まとめたやり方・流れを参考に、頑張ってみてください!