犬や猫の肝臓の数値が高い時に疑われる病気ってなに?実は病気じゃない可能性も?
愛犬や愛猫とのすこやかな毎日を送っていくためには、定期的な健康診断などは非常に重要です。
そうして受けた健康診断で肝臓の数値が高いという結果が出た場合に考えられる病気には一体どのようなものがあるのでしょうか?
こちらのページでは肝臓の数値が高い時に疑われる病気などについて詳しく紹介していきたいと思います。
肝臓の数値は病気ではないという可能性もあるため、こちらのページを参考に適切な知識を持って対処していくようにしましょう。
犬や猫の肝臓ってどんな働きがあるの?
犬や猫の肝臓の数値や病気について把握する前に、そもそもこの肝臓が一体どのような働きをするのかということについて紹介していきたいと思います。
肝臓の持つ働きを把握することで肝臓がいかに重要な臓器であるのかを理解できるかと思います。
栄養の合成や貯蔵
肝臓は数ある臓器の中でも最大級の大きさを持っており犬や猫の場合、体重の2~3%を占めるとされています。
そんな肝臓は腸で吸収された栄養を体の各部位に適した形に合成するという機能があります。
そうして合成された栄養は体の各部位で活用されています。
また、体を動かすエネルギー源であるブドウ糖をグリコーゲンという形に変えて肝臓の中に貯蔵しておくという機能もあります。
そうして貯蔵されたグリコーゲンは体内の糖が不足している時に、再びブドウ糖に作り替えて全身に送り込むことでエネルギー不足の解消を行います。
参考元:肝臓の働き
胆汁の分泌
肝臓ではエネルギーの貯蔵や栄養の合成以外に、胆汁を分泌するという働きもあります。
この胆汁はコレステロールを元に作られる消化液であり、この胆汁が腸内に分泌されることで腸の中で脂肪分を分解・吸収に活用されています。
脂肪はそのままでは体内への吸収がされないため、脂肪の吸収には胆汁は必要不可欠といっても過言ではありません。
また脂肪の分解・吸収が低下すると下痢や軟便、排泄回数の増加といったことに繋がる場合もあります。
当然、胆汁の分泌が低下すれば脂肪の分解・吸収も滞ってしまい、上記の栄養合成機能で体への栄養供給も滞ってしまうことになります。
解毒作用
肝臓には栄養の合成や貯蔵、胆汁の分泌などの機能以外に体内の有害物質を解毒する機能もあります。
この解毒機能によって薬やアンモニア、アルコールなどの有害物質を害のない状態へと解毒して体外へと排出させます。
当然、この解毒機能が低下してしまえば薬の成分が体内に残り続けてしまい副作用のリスクが高まったり、アンモニアやアルコールが残り続けてしまって尿毒症や肝炎などを引き起こしてしまいます。
こうした肝臓機能が低下して解毒作用が弱まればさまざまな事に気を付ける必要が出てくるため、非常に大変です。
愛犬・愛猫の肝臓の数値が高い時に疑われること
ここまでお伝えしてきたように、肝臓は生きていく上で非常に重要な機能が複数もっています。
では、定期健診などで肝臓の数値が高い時には、どういったことが疑われるのでしょうか?
ここからは数値が高い時に疑われる病気について紹介していきます。
肝臓や胆のうの疾患
愛犬や愛猫の定期健診で肝臓の数値が高かった場合にまず疑われるのが、肝臓や胆のうの疾患です。
肝臓の疾患としては肝臓が慢性的に炎症を起こしている慢性肝炎、肥満などで肝臓に脂肪が付着してしまっている脂肪肝、肝臓内に線維組織が増えて肝機能が大きく低下する肝硬変などがあります。
また、胆のうの疾患としては本来サラサラである胆汁がドロドロになってしまう胆泥症、胆のうの中に石ができる胆石症などがあげられます。
これらの疾患が原因となって肝臓の数値が高くなっていることがあるため、数値が高い場合にはより精密な検査を受けたりすることが重要になります。
参考元:肝臓疾患、胆嚢疾患について
肝臓以外の疾患
健康診断などで肝臓の数値が高かった場合、肝臓や胆のうの疾患がまず疑われますが実は数値が高くなる原因はそれだけではありません。
肝臓以外の疾患でも肝臓の数値が高くなってしまうことがあります。
犬猫でも肝臓の数値が上がってしまう疾患は違っていたりします。
犬の場合に考えられる肝臓以外の疾患としてはクッシング症候群や糖尿病、肥満や高脂血症による膵炎などがあります。
猫の場合では甲状腺機能亢進症や膵炎、糖尿病や腸炎などがあげられます。
このように、肝臓以外のさまざまな疾患でも肝臓の数値は上がってしまうため、肝臓の数値が高い場合はさまざまな観点から原因を探る必要があります。
病気ではない可能性もある
肝臓の数値が高くなってしまっている場合の原因には肝臓や胆のうの疾患や肝臓以外のさまざまな疾患が原因となっている場合があります。
しかし、疾患ではないことが原因となって肝臓の数値が高くなってしまう場合もあります。
例えば愛犬や愛猫の成長期やシベリアンハスキーやスコティッシュテリアといった特定の犬種である場合があげられます。
また、ストレスが原因となっている場合もありますし、ステロイド治療を行っているような場合にも肝臓の数値が高くなったりすることがあります。
愛犬・愛猫の肝臓の数値が高いときの対処法
愛犬や愛猫の健康診断で肝臓の数値が高いという結果が出てしまった場合。
どのような対処を行えばよいのでしょうか?ここからは肝臓の数値が高い時に行うべき対処法を紹介していきたいと思います。
まずは再度検査を受ける
愛犬や愛猫の健康診断で肝臓数値が高かった場合、まずするべきことは検査です。
肝臓の数値はストレスなどで一時的に高くなっている場合もありますし、何かしらの病気が原因となって高くなっている場合もあります。
ですから、肝臓の数値の上昇が一時的なものなのか、慢性的なものなのかを改めて検査してみることで確認します。
その上で、慢性的に肝臓の数値が高くなっているような場合には、数値が高くなっている原因を探していく必要があります。
食事やおやつを洗い出すなど原因を見つける
肝臓の数値が慢性的に高くなっているような場合、その原因を見つけることで初めて肝臓数値の上昇を対処することができるようになります。
逆にいうと原因が特定できなければ根本的な改善を目指すというのは難しいということです。
そして、肝臓の数値が慢性的に高くなっている原因の中には毎日の食事やおやつなどが原因となっている場合もあります。
そうした場合は原因となっている食事やおやつを変更することで改善する場合があります。
そのため毎日与えている食事やおやつなどを洗い出した上で、検査を受けた病院で相談したりするようにしましょう。
疾患が原因となっている場合は治療を行う
肝臓数値の上昇が食事やおやつなどが原因ではなく、疾患が原因であった場合は原因となっている疾患の治療を行う必要があります。
前述している様に肝臓の数値が高くなってしまう疾患は肝臓の疾患以外にも、さまざまな部位で起きる疾患が原因となっている場合があります。
そのため、原因となっている疾患を特定するのが難しかったり、特定までに時間がかかってしまう場合もあります。
ですが、原因を解消しないまま放置してしまえば、肝臓の機能が大きく低下したりして深刻な状態を招いてしまうことにもつながるため、原因を特定して適切に対処するようにしましょう。
まとめ
愛犬や愛猫の肝臓の数値が高いという結果が出てしまった場合。
数値の上昇が一時的なものである場合は、大きな問題になるケースはあまりありません。
ですが、慢性的に肝臓の数値が高くなっているような場合には、肝臓の疾患や肝臓以外の疾患などさまざまな原因が考えられます。
更に、肝臓の数値が高い状態が続いてしまうことは、命に関わるような重大な病気へのキッカケになってしまうこともあります。
そのため、愛犬や愛猫の定期健診などで肝臓の数値が高いという結果が出た場合には、適切に再度検査を受けた上で原因の特定や原因に対しての対処を行うようにしましょう。
また、肝臓の数値の上昇は見かけだけではわかりづらいため、愛犬や愛猫との健やかな毎日を送るためにも定期的に検診を受けたりするようにしましょう。