【徹底解説】猫の肝臓の数値が高い理由とは?対処法も教えます!

【徹底解説】猫の肝臓の数値が高い理由とは?対処法も教えます!「健診で、猫の肝臓の数値が高いと言われたんですが……」
深刻な病気なのではないかと心配です」
 
確かに心配ですよね……。
そして確かに、「数値が高い=肝臓病にかかっている」おそれがあります。
 
猫の肝臓病は症状が出にくく、気づいた時にはすでに進行していることが多いのが怖いところ……。
 
この記事では、猫の肝臓の数値が高くなる具体的な原因・疑われる病気・対処法を、猫特有の視点から解説します!
 

猫の肝臓の数値が高い時、まずこれを確認!

「肝臓の数値が高い」と言われたとき、検査結果に並ぶアルファベットを見て戸惑う方も多いと思います。

まず、何の数値を見ているのかを簡単に整理しておきましょう。
 

項目 正式名称 ひとことで言うと…
ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ 肝細胞が壊れているかどうかの指標。
高い場合は現在進行形で肝細胞が壊れているサイン
ALP アルカリホスファターゼ 胆汁の流れや肝臓周辺の状態を示す指標。
猫は上昇しにくい。

少しでも高い場合は以下の重要疾患を疑う。
肝リピドーシス
甲状腺機能亢進症
胆管肝炎

AST アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ 肝臓・筋肉・心臓などのダメージを示す指標。
ALT と同時に高い場合、肝細胞障害が強く疑われる
GGT γ-グルタミルトランスフェラーゼ 主に胆管周辺の異常を示す指標。
猫の場合、胆管肝炎で上昇しやすい。
ALP と GGT の両方が高い場合、胆管系の重篤な異常を疑う。

 
そのうえで、以下のポイントを確認してください!

 

猫のALPは「少しでも高ければ要注意」

私たちが人間ドックを受ける場合、ALPの数値が少し高い程度なら「経過観察でOK」と判断されますが、猫の場合は要注意です!
以下の表で、人間と猫の場合を比較してみました。
 

項目 人間
ALP の特性 比較的上昇しやすい 本来ほとんど上昇しない
ALP が高い場合 経過観察でよいことが多い 高い場合は重篤な病気がほぼ確実
主な原因疾患 肝炎・胆道疾患・骨疾患など 肝リピドーシス・胆管肝炎・甲状腺機能亢進症
緊急度 中~低 高(すぐに精密検査を!)

 
実は、猫のALPは本来、ほとんど上昇しない酵素です。
それが高い数値を示しているということは、体の中で何か深刻なことが起きているサインと思って間違いありません。

 

2〜3日食べていませんか? 今すぐ病院へ!

これは、数値には現れづらいのですが……。
猫の肝臓病として特に気をつけたいのが、肝リピドーシス(脂肪肝)です。
特に肥満気味の猫が2〜3日食事をとらない状態が続く場合、発症している可能性があります。
 
肝リピドーシスは猫特有の病気で、治療が遅れると命に関わります。
「そのうち食べるだろう」という様子見が、最も危険です!
肝臓の数値が正常であっても、食欲不振が続いている猫は今すぐ動物病院を受診してください!

 

猫特有の3大肝臓病!胆管肝炎・肝リピドーシス・甲状腺機能亢進症

猫の肝臓病は、犬のそれとは代表的な疾患がまったく異なります。
犬ではクッシング症候群や門脈シャントが重要ですが、猫では以下の3つが柱になります。

 

【胆管肝炎】猫の肝胆疾患で最も多い病気

猫の肝臓・胆管に炎症が起きる病気で、猫の肝胆疾患の中で最も発生頻度が高いとされています。
 
原因は、大きく2つに分かれます。
 

細菌が胆管から侵入して起こる「化膿性(細菌性)胆管肝炎」
免疫が自分自身の胆管を攻撃してしまう「リンパ球性胆管肝炎」

 
このうち、「可能性胆管肝炎」は急性的に起きて重症化しやすいのが特徴です。
一方、「リンパ球性胆管肝炎」は慢性的な経過をたどることが多いという特徴があります。
 
症状は食欲不振・嘔吐・体重減少・黄疸・元気消失など……。
ただし、これらは他の病気でもよく見られる症状で、「胆管肝炎」と気づくことが難しいのが現実です。
なお、上昇しやすい数値はALT・ALP・GGTです。
 

⚠️

猫の胆管肝炎は膵炎炎症性腸疾患(IBD)と同時に発症することがよくあります。
「三臓器炎」と呼ばれるこの状態では、「お腹の調子が悪い」と思っていたら実は肝臓も悪かったというケースが少なくありません。

 

【肝リピドーシス(脂肪肝)】猫特有の緊急疾患

これは、猫にしかほぼ起こらない病気です。
(犬にはほぼ見られません)
 
肥満猫が2〜3日食事をとらない状態が続くと、体はエネルギー不足を補おうと全身の脂肪を分解し始めます。
ところが、猫の肝臓は脂肪処理が得意ではないため、処理しきれない大量の脂肪が肝臓に蓄積してしまいます。
これが肝リピドーシスです。
 
引き金になるのは、フードの急な変更引越しなどの環境変化他の病気による食欲不振飼い主が良かれと思って始めたダイエットなど……。
日常的によくあることが、病気を招くきっかけになってしまうのです。
 

項目 内容
なりやすい猫 肥満猫・中年以上の猫。
(ただし肥満でなくても発症しうる)
主な症状 食欲廃絶・急激な体重減少・嘔吐・黄疸・元気消失など。
重症時は神経症状を起こすこともある。
上昇する数値 ALP・ALT
治療 「とにかく栄養を入れること」が最優先!
経鼻チューブ・食道チューブを使った強制給餌が必要な場合がある。
初期は入院治療が必要。
重要な注意点 治療は厄介だが、早期発見・早期治療で回復できる。
「食べない猫をしばらく様子見」は絶対に NG! 2〜3 日で急激に悪化する。
⚠️

「2〜3日食べていない」「急に痩せてきた」という猫は、肝臓の数値に関係なく今すぐ受診してください。

 

【甲状腺機能亢進症】「よく食べるのに痩せる」が典型サイン

「肝臓の数値が高い」と言われて受診したら、実は喉にある甲状腺の病気だった……。
猫では、このケースが非常に多くあります。
 
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
10歳以上のシニア猫に多く、ALP・ALTを上昇させるため肝臓病と混同されやすいのが特徴です。
 
典型的な症状は「よく食べているのに体重が減る」「活動性が上がってそわそわしている」「多飲多尿」です。
「元気になった」と思っていたら実は病気だったということもあります。
 

項目 内容
なりやすい猫 10 歳以上のシニア猫に多い。
(猫種にかかわらず発症する可能性あり)
主な症状 体重減少しているのに食欲は旺盛
・多飲多尿
・活動性増加
・嘔吐
・下痢
上昇する数値 ALP・ALT
治療 療法食(ヨウ素制限食)・薬物療法・放射性ヨウ素療法。
(療法食のみで管理できるケースも多い)
重要ポイント 甲状腺機能亢進症を治療すると、肝臓の数値も改善することが多い。
⚠️

ちなみに、犬の場合は甲状腺機能が「低下」する病気が多いのに対し、猫は逆に「亢進」する病気が多いというのも特徴のひとつです。

 

その他の原因

肝臓の数値が高い場合、上記のような「3大肝臓病」の他に、以下のような病気が原因となっているケースがあります。
 

疾患名 上昇する項目 特徴
糖尿病 ALT・ALP 肥満・高炭水化物食との関係が深い。
多飲多尿・体重減少・後躯麻痺(重症時)
膵炎 ALT・ALP 胆管肝炎・IBD(炎症性腸疾患)と同時発症することが多い。
猫伝染性腹膜炎(FIP) ALT・ALP 腹水・胸水・神経症状を伴うことがある。
中毒(アセトアミノフェン等) ALT(急上昇) 人間の解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)は猫に致命的。
絶対に与えてはいけない!
門脈シャント ALT 若い猫に見られる先天性の血管異常。
成長障害・神経症状を伴う

 

猫の肝臓が悪いときに出るサイン

猫は、本能的に弱みを見せない動物です。
「なんとなく元気がない気がする」という飼い主さんの直感は多くの場合正しいので、「年のせいかな」などと流さず、早めに確認してあげてください。
特に、次のようなサインがある場合は要注意です。
 

サイン 緊急度 補足・見落としやすいポイント
黄疸(皮膚・白目・耳が黄色い) 緊急 黄疸が出ている場合はかなり進行しているサイン。
今すぐ受診を!
お腹のふくらみ 緊急 腹水のサイン。
FIP(猫伝染性腹膜炎)もしくは重篤な肝臓病の可能性。
ふらつき・痙攣 緊急 肝性脳症もしくは FIP の可能性。
深夜でも救急に駆け込むべきレベル。
食欲不振 2〜3 日食べない場合は即受診!
「いつもより少ない」程度でも要注意。
体重減少 毛に隠れて分かりにくい。
定期的な体重測定が重要。
元気消失(ぐったりしている) 「いつもとは違う」程度でも要注意。
様子見せず、即受診がおすすめ。
多飲多尿 甲状腺機能亢進症・糖尿病のサイン。
肝臓の数値上昇を伴うことがある。
嘔吐・下痢 猫は嘔吐が多い動物だが、頻度が高い場合などは要注意。

 

肝臓の数値が高かった時の対処法

4項目(ALT、ALP、AST、GGT)のうち、ALTが高い場合は、基準値をわずかに超えているレベルでも注意が必要です。
1ヶ月以内に再検査を行うことが推奨されます。
 
同じくALPも、少しでも高ければ要注意です。
すぐに精密検査を受けることが強く推奨されます。

 

食事・生活環境の改善

以下のように、普段の食事や生活環境に注意することも必要です。

肥満気味の猫は体重管理を!
ただし急激なダイエットは肝リピドーシスの引き金になる
必ず獣医師の指導のもとで、ゆっくりと進める!

フードを急に変えない
食欲不振の引き金になりえる
変更する場合は少しずつ移行する

ストレス要因を減らす
環境の急激な変化に注意
多頭飼育のトラブルが肝臓に影響する可能性

定期的な体重測定
月1回の体重チェックを!
体重減少に早めに気づける

定期的な血液検査
シニア猫(7歳以上)は半年に1回推奨
症状が出てからでは遅いことが多い

 

肝臓サポートのサプリメント・療法食

動物病院での治療と並行して、肝臓サポートを目的としたサプリメントが活用されることがあります。
 
わんにゃん薬局では、肝臓の解毒機能を改善させるS-アデノシルメチオニンを配合した『デノシル(猫用)』をはじめ、複数の肝臓ケアサプリを取り扱っていますので、ぜひご確認ください!
 

⚠️

猫は犬と薬・サプリへの代謝がまったく異なります。犬用製品を猫に与えることは危険な場合があります。
必ず猫用であることを確認してください。

 

よくある質問

Q. 2〜3日食べていません。すぐに病院に行くべきですか?

A. はい、今すぐ受診してください。

特に肥満気味の猫は、2〜3日の絶食で肝リピドーシス(脂肪肝)を発症するリスクがあります。

 

Q. ALPだけが少し高いと言われました。深刻ですか?

A. 「少し高い」であっても、甲状腺機能亢進症・肝リピドーシス・胆管肝炎などの重篤な病気のサインである可能性があります。
 
「少しだから大丈夫」と思わず、精密検査を受けることをおすすめします。

 

Q. 甲状腺機能亢進症と肝臓の数値の関係は?

A. 甲状腺機能亢進症はALP・ALTを上昇させます。「肝臓が悪い」と言われた猫が実は甲状腺の病気だったというケースは珍しくありません。
 
甲状腺ホルモン(T4)の測定を同時に行うことで鑑別できます。
甲状腺の治療をすると肝臓の数値も改善することが多いため、「肝臓の治療をしているのに数値が下がらない」場合はぜひ担当の獣医師に相談してみてください。

 

Q. 猫の肝臓病は余命に影響しますか?

A. 病気の種類・進行度によって大きく異なります。
 
肝リピドーシスは早期治療で回復できますが、放置すると死亡例もある深刻な病気です。
胆管肝炎・甲状腺機能亢進症は適切な治療を続けることで安定した生活が期待できます。
「数値が高い=余命が短い」ではありませんが、早期に対処できるかどうかが、その後の生活の質を大きく左右します。

 

Q. 室内飼いの猫でも肝臓病になりますか?

A. 肥満・高炭水化物のフード・加齢・ストレスなど、室内でも十分な発症リスクがあります。
 
むしろ運動不足になりがちな室内飼いの猫は「肥満→肝リピドーシス」のリスクが高いとも言えます。
定期的な健康診断と体重管理が予防の基本です。

 

まとめ

今回は、検査で猫の肝臓の数値が高い場合に考えられる病気や対処法などについてまとめてきました。


肝臓の数値が高いのは、猫特有の3大肝臓病が中心

猫の「ALP」はわずかな上昇でも重篤な病気のサインである可能性が高い

「太り気味の猫が2〜3日食べない」は今すぐ病院へ!

猫は不調を隠すため、飼い主の直感を大切に早めの受診を!

シニア猫(7歳以上)は半年に1回の血液検査で早期発見を心がける

 
特に覚えておきたいのは、人間と猫では数値のとらえ方が違うということです。
人間の場合は「経過観察でOK」というレベルの上昇だったとしても、猫の場合は幼虫というケースがあります。
ぜひ今回の記事を参考に、猫の肝臓の数値と向き合ってみてください!