犬の慢性腎臓病で気を付けたい食事!制限したい4つの栄養とは

犬の慢性腎臓病で気を付けたい食事!制限したい4つの栄養とは 

発症すると一生付き合っていかなくてはならない犬の病気の1つに、腎臓病があります。

腎臓病には急性と慢性の2種類があり治療が遅れた場合は愛犬の命に関わる危険な病気のため、早期発見が重要になってくる病気といえます。

しかし、急性のものは早急に治療を始めることで回復する可能性がありますが慢性のものは完治させるのが難しく、一度発症すると症状を上手く抑えて付き合っていかなくてはなりません。

犬の慢性腎臓病はどのような病気なのか?そして、もし発症した場合はどう付き合っていけばいいのか?といったことについて事前に確認しておきましょう。

 

永続的な治療が必要になる慢性腎臓病

腎臓そもそも腎臓病とは、何らかの原因によって腎臓の機能が長期間にわたって低下していく病気です。

高齢の犬で多く見られる傾向にあり、若齢犬でも発症することがあります。

また、一部の犬種では遺伝性または家族性の腎疾患がみられることもあります。
 
すでに軽く触れているように「急性腎臓病」と「慢性腎臓病」の2つに分けることができ、急性腎臓病の場合は急激に症状があらわれるため緊急治療が必要になります。

これに対し、慢性腎臓病は一度発症すると生涯に渡って治療を続けなくてはなりません。

慢性腎臓病では特に食事内容に気をつけなくてはならない点が多数存在するため、しっかり覚えておきましょう。

参考元:病気と上手く付き合おう(03) <犬や猫の慢性腎臓病について>

 

腎臓病の場合に制限したい4つの栄養

犬のエサ愛犬が慢性腎臓病になった場合、毎日の食事を療養食に変えた食事療法を行う必要があります。

このとき、「リン」「タンパク質」「ナトリウム」「カリウム」をあまり摂取しないよう制限し、腎臓へかかる負担を和らげなくてはなりません。

愛犬が慢性腎臓病になったときは、上記の栄養の摂取を制限するようにしましょう。

 

リン

ミネラルの1種であるリンは、カルシウムと結合して歯や骨を丈夫にするために欠かせない栄養素です。

しかし、慢性腎臓病になって腎臓の機能が低下すると余分なリンを上手く体外へ排出できなくなり、血液中に過剰なリンが蓄積されてしまいます。

その結果、過剰なリンと結合するためにカルシウムが骨から取り出され、骨が弱くなってしまいます。
 
また、リンは過剰になると慢性腎臓病を悪化させてしまうとも言われているため、摂取する量を制限しなくてはなりません。

リンはほとんどの食材に含まれていますが、特にレバーや魚介類、乳製品などに多く含まれているため、こういった食材を与える量に注意し、適度な摂取量になるよう調節しましょう。

参考元:【獣医師監修】愛犬の腎臓をいたわる食事や腎臓病(腎不全)とはどんな病気なのか解説!

 

タンパク質

血液や筋肉など体に必要なものの元になる重要な栄養素であり、生命活動に欠かせないエネルギーを作り出す大切な栄養素でもあるのがタンパク質です。

しかし、タンパク質は尿素に変化する窒素を含んでいるため、過剰に摂取すると血液中の窒素が増加して腎臓の濾過作業が増えてしまいます。

タンパク質を適切に排泄できなくなると尿毒症を引き起こしてしまうおそれがあるため、愛犬が腎臓病にかかったときは制限する必要があります。

鳥や魚、大豆などタンパク質が多く含まれている食材の摂取量を制限し、腎臓の濾過機能に過度な負荷がかからないよう気をつけましょう。

 

ナトリウム

人が腎臓病にかかったときはナトリウムの摂取を制限されますが、これは犬の場合も同じです。

ナトリウムは細胞が機能するために必要不可欠な栄養ですが、腎機能が弱ってしまっている場合はナトリウムが適切に排出できなくなってしまいます。

その結果、血圧が上昇して腎臓に大きな負担をかけてしまう可能性があるため、犬も腎臓病にかかったときはナトリウムの摂取を控えるほうが良いとされています。

人間ほど影響しないともいわれているため、あまり過敏にならなくていいという意見も存在していますが、腎臓に負担をかける栄養素であることは確かなので摂取させすぎないように気をつけましょう。

 

カリウム

カリウムは犬に必要な栄養素の1つであり、細胞の浸透圧の調節等、生命維持に欠かせない働きをしている栄養素です。

しかし、腎臓病になると体内の余分なカリウムを上手く排出できなくなってしまい、体内に余分なカリウムが蓄積して高カリウム血症などの症状を引き起こしてしまいます。

腎臓病による高カリウム血症は犬ではあまり多くないので過度に心配して極端にカリウムを制限する必要はありませんが、症状が進行した場合は摂取量を制限しなくてはなりません。

カリウムはバナナやほうれん草などの果物や野菜類に多く含まれているため、野菜を中心とした食事を用意する場合はカリウムについてもしっかり考えましょう。

参考元:犬の腎臓病の食事に野菜を与えてもいいの?獣医師が解説

 

腎臓病の場合に積極的に摂取したい2つの栄養

犬の栄養素制限したい栄養素とは反対に、愛犬が腎臓病になったときに役立つ栄養素というのも存在しています。

愛犬が腎臓病にかかったときは特定の栄養素の制限と合わせて「オメガ3脂肪酸」や「食物繊維」を積極的に摂取させましょう。

 

オメガ3脂肪酸

健康成分として知られている栄養素の1つにオメガ3脂肪酸があります。

この栄養素はイワシをはじめとした青魚に多く含まれており、血液をサラサラにして高血圧や酸化ストレスを軽減する作用を有していることで知られています。

腎臓を構成しているネフロンの毛細血管で起きている炎症を緩和する働きもあるといわれており、毛細血管の炎症によって腎臓の濾過機能が低下してしまうのを防ぐ効果が期待できます。

オメガ3脂肪酸は体内で作ることができない栄養素でもあるので、日々の食事の中で摂取するかサプリメントを活用して補ってあげるようにしましょう。

 

サーモンオイルオメガ3脂肪酸

サーモンオイルオメガ3脂肪酸は、グリズリーペットプロダクツ社から製造、販売されているサプリメントです。

オメガ3脂肪酸はもちろん、DHAやEPA、オメガ6脂肪酸などの栄養素が有効成分として配合されており、健康維持に最適な栄養素を手軽に補えます。

液体タイプのサプリメントなので毎日の食事にも混ぜやすく、愛犬の腎臓を効果的に労ってその働きが低下してしまうのを防ぐことができます。
 
250ml入りのもので1本5,500円ほど、1mlあたり22円ほどで販売されていることが多く、通販で手軽に購入できます。
 

 

食物繊維

オメガ3脂肪酸に続いて、積極的に取り入れたい栄養素が食物繊維です。

腎臓病になると消化器系のトラブルを抱えることがあり、食物繊維を積極的に摂取することで腸内細菌のバランスを整えて消化器系の働きを促進され便秘や下痢などのトラブルを軽減します。

腎臓病を患っている犬は糖尿病やインスリン抵抗性を併発することがあるため、積極的に食物繊維を摂取することによってそういった病気のリスクを軽減する効果にも期待ができます。
 
食物繊維は野菜に多く含まれていますが、野菜の中にはカリウムが多く含まれているものもあるので取り入れる際は注意が必要です。

比較的カリウムが少ないブロッコリーやオクラなどの野菜や、果物、キノコ類、海藻類なども取り入れて食物繊維の摂取量を増やしましょう。

 

新鮮な水をしっかりと与えることも意識しましょう!

犬の水腎臓病になると腎臓の機能が低下することによって、尿を濃縮できなくなるため薄い尿を大量に排泄するようになります。

そのため、普段よりも尿量が増えて水分不足になり、それを解消するために水をたくさん飲むようになります。

こういった多飲多尿の症状の影響によって脱水症状に陥るおそれもありますので、愛犬が腎臓病になったときは新鮮な水をしっかり飲めるように意識することも大切です。
 
体内に水分がきちんと行き渡るようにすることで内臓の健康維持にも繋がるほか、水分を適切に摂取することで体内の毒素を排出するのにも役立ちます。

食事制限だけでなく水分補給の面も意識し、愛犬が新鮮な水を十分飲めるようにしてあげましょう。

 

まとめ

犬の腎臓病のうち、ゆっくりと腎臓の機能が失われていく慢性腎臓病は一度発症すると完治させるのは難しい病気です。

特に気を付けたいのが食事中に含まれる栄養素で、愛犬が慢性腎臓病になったときはリン、タンパク質、ナトリウム、カリウムの4つの栄養素を摂取しすぎないよう制限しましょう。

反対にオメガ3脂肪酸や食物繊維といった栄養素は積極的に摂取することで腎臓をサポートできるため、必要に応じてサプリメントも活用して積極的に取り入れていきましょう。
 
また、食事だけでなく愛犬が新鮮な水を十分摂取できるようにして、水分不足に陥らないようにしてあげることも重要です。

日々の生活の中で注意し、愛犬の慢性腎臓病の悪化を防いで日々を快適に過ごせるようにしてあげましょう。