フィラリアは人間にも感染するってホント?人間がフィラリアに感染するリスクが高くなる5つのケースとは
ペットの飼い主の中には、フィラリアが人間に感染するという話を聞いて、不安を感じる人もいるでしょう。
フィラリア症は一般的には動物に見られるものですが、人間への感染リスクもあります。
ペットだけでなく、飼い主や家族の健康を守るためには、この病気についての正しい知識を身につけることが必要です。
この記事では、フィラリアの基本情報や感染の原因、症状、そして人間への感染経路について解説します。
また、検査方法や治療法、予防策についても詳しく紹介しますので、フィラリアについて詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
フィラリアは人間にうつる?
フィラリアは、蚊を主な宿主とする寄生虫で、人間に感染することもあります。
ただし、人から人への直接的な感染は報告されていません。
2000年のデータによれば、世界中で1億2,000万人以上が感染し、その中で約4,000万人が外見の変化や機能障害などの症状を発症しています。
これはフィラリアが全身に広がった場合に起こり得る深刻な状態です。
フィラリア症の治療は、寄生虫が心臓や肺に達する前に開始することが重要です。
適切な治療を受けることで、症状の進行を防ぎ、健康を取り戻せる可能性があります。
しかし、病状が進行した場合、治療はより複雑かつ長期間かかるケースもあります。
フィラリアに関する正確な情報を知ることは、予防と早期治療を正しく実施するために不可欠です。
フィラリアとは
フィラリアは、犬や猫などのペットに感染します。
特に犬フィラリアは、ペットの寿命を短くする主な原因の一つとされています。
2024年3月現在、ワクチンによる予防は不可能ですが、専用の予防薬を使用することで、感染を防ぐことが可能です。
フィラリア症は蚊を介して伝播され、フィラリア成虫が心臓や肺の血管内に寄生します。
これらの寄生虫は、長さ17~28cmにも及ぶそうめんのような形状をしており、寄生によって心臓や肺、肝臓や腎臓といった器官にさまざまな問題を引き起こします。
さらに一部のフィラリアは、リンパ系組織に障害を与え、身体の一部に痛みや重度の障害などを引き起こすことがあります。
世界的に見ると、52ヶ国で約8億5,600万人がフィラリアのリスクに直面しており、この病気の拡散を食い止めるためには、化学療法を用いた予防が必要です。
フィラリアは、ペットだけでなく人間にとっても重要な健康上の問題であり、適切な予防と対応が求められます。
フィラリアの症状と発症の原因
フィラリアは、犬だけでなく人間の健康に深刻な影響を及ぼすことがあるため、正しい知識で対策を講じることが大切です。
ここではフィラリアが引き起こす具体的な症状と、これらの症状が発生する原因について詳しく解説します。
フィラリアの症状
感染の初期段階では、目立った症状がほとんど現れないことが多いです。
しかし、時間が経つにつれて、発熱や悪寒などが見られるようになります。
感染が進むとリンパ管炎やリンパ節炎を発症し、リンパ液の流れに障害が生じる場合もあります。
フィラリアは、無症候期、急性期、慢性期の3段階に分かれます。
感染しても無症候性の場合が多く、外見上は健康に見えるかもしれません。
しかし、無症候期にもリンパ系組織や腎臓への障害が進行し、免疫機能に変化が起こっているため、油断はできません。
慢性期には、四肢のリンパむくみや象皮病、陰嚢水腫などが発生し、乳房や生殖器への影響も見られます。
これらの身体の変形は、偏見からくるメンタルへの悪影響を引き起こすリスクも考えられます。
参考元:リンパ系フィラリア症
フィラリアの原因
フィラリアは、バンクロフト糸状虫やチモール糸状虫、マレー糸状虫といった寄生虫が原因です。
これらは主に蚊によって媒介されます。
フィラリアの大多数はバンクロフト糸状虫による感染です。
フィラリアの幼虫を持つ蚊が人間を吸血することで、体内に侵入し、リンパ管内で成虫に成長します。
成虫はミクロフィラリアと呼ばれる仔虫を産み、これが血液中を循環して感染が広がります。
感染者は多くの場合幼少期に感染し、成人してから症状が現れることが多いです。
フィラリアの人間への感染経路
先述した通り、フィラリアの主な感染源は蚊です。
都市部や郊外に生息するイエカ属、農村地帯に多いハマダラカ属、そして太平洋の島々に常在するヤブカ属が、この病気の拡大に大きく関与しており、これらの蚊がフィラリア症の感染リスクを高める要因となっています。
この病気は、主にアジア、アフリカや西太平洋、カリブ海、南米の一部の熱帯・亜熱帯地域の47ヶ国で多く発生しています。
これらの地域を訪れる際には、蚊に刺されることを避けるための対策が必要です。
感染経路を理解し、適切な予防策を実施することで、フィラリア症の感染リスクを低減できます。
フィラリアの検査方法と治療方法
ここからは、フィラリアを検出するための検査方法と、感染が確認された場合の治療方法について詳しく解説します。
フィラリアの検査方法
フィラリアの検査方法として、血液検査が一般的です。
医師は顕微鏡を用いて、血液やリンパ組織の生検サンプル中にミクロフィラリアが存在するかを確認します。
また、超音波検査を行うことで、拡張したリンパ管内を移動する成虫の存在を確認することが可能です。
血液検査により感染症の兆候を特定する方法も開発されていますが、この検査ではリンパ系フィラリアとほかの寄生虫感染症を区別することが難しく、現在と過去の感染を区別することも困難です。
検査方法には、顕微鏡を用いた血中のミクロフィラリアの確認と、血清検査があります。
ミクロフィラリアは夜間に末梢血管に移動するため、採血は特定の時間に行うことが重要です。
血清検査では、血清中の抗体値を調べますが、感染後に数年経過してリンパ浮腫を発症した人でも陰性となることがあるため、正確な検査結果であるか判断が難しいでしょう。
参考元:リンパ系フィラリア症
フィラリアの治療方法
治療には、ジエチルカルバマジン、アルベンダゾール、イベルメクチンなどの駆虫薬を使用するのが一般的です。
これらの薬を用いた治療は効果的ですが、リンパ浮腫や象皮病はフィラリアを取り除いた後も悪化するケースがあります。
悪化を防ぐためには、患部を清潔に保ち、リンパ液の流れを改善するための運動が大切です。
慢性の腫れに対しては、皮膚の丁寧なケアが必要です。
小さな傷やすり傷をしっかり洗浄することで、細菌感染を予防できます。
腫れを軽減するには、弾性包帯を巻く、患部を高く保つといった方法が有効です。
重度の象皮病や陰嚢の腫れには、手術によって体液を排する場合もあります。
皮膚細菌感染症には抗菌薬の経口投与が行われており、象皮病の進行を遅らせることが可能です。
肺関連の問題には、ジエチルカルバマジンを用いるのが効果的ですが、感染症の再発が見られる場合もあり、その際は再治療が必要になります。
フィラリアの予防方法
フィラリア症の感染から身を守るには、蚊に刺される機会を減らすことが大切です。
具体的な予防方法として、露出した肌に防虫剤を塗布し、ペルメトリンを浸透させた衣服を着用するのが効果的です。
また、長袖シャツや長ズボンの着用も有効でしょう。
フィラリアが頻発する地域では、感染拡大を防ぐために年間を通じた集団治療プログラムが役立っています。
このプログラムでは、地域特有の寄生虫の有無に応じて複数の抗寄生虫薬が用いられ、感染者の血中ミクロフィラリアの数を減少させています。
人間がフィラリアに感染するリスクが高くなる5つのケース
人間もフィラリアに感染するリスクがあるわけですが、「どんなときに感染するの?何に気をつければいいの?」と気になっている方も多いはず……。
そこで、ここでは感染リスクが高くなる5つのケースを紹介します!
蚊が多い環境・蚊に刺されやすい環境の場合
フィラリアは蚊が媒介するため、蚊が多い環境にいることはリスクとなります。
人間に深刻な症状をもたらす「リンパ系フィラリア症」は、熱帯地域のバングラディシュやコートジボワール、インドなどで感染しやすいという特徴があります。
それらの地域を旅行する際は特に、蚊に刺されやすい環境に身を置かないように注意することが必要です。
ペットがフィラリアに感染してしまっている場合
現在、日本で存在が確認されているのは「犬フィラリア」であり、ペットの犬から蚊を媒介して人間に感染するケースが考えられます。
人間の体内は犬と異なり、フィラリアが生息しやすい環境ではないため、感染しても90%のフィラリアは成虫になれず、無症状のままといわれています。
しかし、人によっては「咳」「胸の痛み」などの症状が出るケースもあります。
そのため、まずはペットがフィラリアに感染しないように予防を徹底する必要があります。
免疫力が低下している場合
私たちの体に備わっている免疫は、細菌やウイルスなどの病原体を撃退する役割を果たしています。
しかし、免疫力が低下していると、普段かからないような感染症にかかったり、その病気が重症化したりすることがあります。
フィラリアの場合も同様のことがいえます。
免疫が低下している人はフィラリアに感染している蚊に刺された際、重症化するリスクがあるわけです。
蚊が侵入しやすい環境になっている場合
蚊は、わずかな隙間であっても侵入します。
- 窓がしっかり閉まっていない
- 網戸に穴が開いている
蚊が盛んに飛ぶ夏を中心に、上記のような点には注意が必要です。
また、家の周辺に水たまりができやすい環境にある場合は蚊が繁殖しやすいため、対策が必要です。
水たまりができやすい場所を定期的に清掃するなどして蚊の繁殖を防ぎ、侵入リスクを減らしましょう。
ペットの飼育環境が不衛生な場合
ペットの飼育環境が不衛生だと、皮膚病のリスクが高まります。
それ自体は、人へのフィラリア感染につながりませんが、ペットが皮膚病になって毛が抜けたりすると、皮膚が露出するため蚊に刺されやすくなります。
結果的に、「ペットがフィラリアに感染→その血を吸った蚊がフィラリアを媒介して人間を刺す」という流れで、人間に感染するリスクが高まります。
まとめ
フィラリアは犬や猫などのペットに感染する寄生虫ですが、人間にも感染する可能性があります。
感染した場合、リンパ系組織に障害を与え、重度の身体障害を引き起こすこともある危険な病気です。
診断には血液検査や超音波検査が用いられ、治療にはジエチルカルバマジンやアルベンダゾールなどの薬が使用されます。
予防には、蚊に刺されないようにすることが重要であり、長袖の着用や防蚊剤の使用が効果的です。
フィラリアが多発する地域では、感染拡散を防ぐために集団治療プログラムが実施されています。
フィラリアに感染すれば、ペットだけでなく人間の健康状態にも悪影響があるため、適切な予防と治療を行うことが大切です。
ペットだけでなく、自身の健康状態を正常に保つためにも、今回紹介した内容を参考に、フィラリア症について正しい知識を身につけましょう。

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