妊娠中や授乳中にフィラリア予防はできる?母子感染する可能性のある寄生虫も解説
犬や猫を飼う時に欠かせないフィラリアの予防。
毎年、動物病院に通院して予防したり、ネット通販でフィラリア予防薬を手に入れて予防したりしている飼い主は非常に多いと思います。
ですが、このフィラリア予防を行っていく上で、どうすればいいのか判断に迷ってしまうことがあったりします。
例えば、愛犬や愛猫が妊娠したり出産を終えて授乳中だったりする場合です。
こちらのページではそんな妊娠中や授乳中のフィラリア予防について、詳しく紹介していきますので是非お役立てください。
目次
妊娠中・授乳中でもフィラリア予防は可能?
妊娠中や授乳中の犬や猫でもフィラリアの予防はできるのでしょうか?
早速ではありますが、お答えします。
妊娠中であってもフィラリアの予防は可能です!
フィラリア予防薬の中には妊娠中や授乳中への安全性を確認するための臨床試験を行い、安全と確認されているものも少なくありません。
そのため、妊娠中も適切にフィラリア予防をすることが非常に重要です。
ただし、フィラリア予防薬の中には妊娠中や授乳中の犬や猫への投与の安全性が確立されていないものもあるため、その点は注意しておく必要があります。
参考元:インターセプターS添付文書
妊娠中・授乳中でも安全に使用できる成分「セラメクチン」
妊娠中や授乳中でもフィラリアの予防を行うことが可能であることをお伝えしました!
妊娠中や授乳中に使用しても問題がないとされているフィラリア予防薬の成分がセラメクチンです。
セラメクチンはフィラリアだけでなくノミやダニに対しても駆虫効果を持っているため幅広い寄生虫の対策に役立てられています。
現在では、国内外の幅広い地域でこのセラメクチンを配合したフィラリア予防薬が活用されているので、安心してお使いいただけます。
有効成分がセラメクチンのフィラリア予防薬「レボスポット」
セラメクチンは妊娠中でも使える安全性の高い寄生虫予防効果をもった成分ですが、このセラメクチンを配合したフィラリア予防薬として人気となっているのが「レボスポット」です。
こちらはインドの製薬会社であるAsle pharmaceuticalsが製造・販売するレボリューションのジェネリック医薬品です。
こちらはスポットタイプの予防薬で投与自体も非常に簡単であるため、妊娠中のペットへの投与も容易です。
価格は小型犬用が3本入りで4,860円(1本あたり972円)と安価であるという特徴もあります。
妊娠中・授乳中のフィラリア予防で注意するべきこと
妊娠中や授乳中の愛犬や愛猫に対してフィラリア予防を行うという場合は
- 注射での予防はできない
- オールインワンタイプは注意が必要
- 体調が変化しやすい
上記のような注意すべきことがいくつかあります。
ここからは、上記の3つの注意点についてそれぞれ詳しく紹介していきたいと思います。
安心安全にフィラリアの予防を進めていくためには、適切に把握しておくことが重要になるので予防を進める前に是非ご覧ください。
フィラリア注射は使用することができない
フィラリアを予防するための予防薬には下記の4つの種類があります。
- 錠剤タイプ
- チュアブルタイプ
- スポットタイプ
- 注射
それぞれに特徴があるフィラリア予防薬ではありますが、フィラリア注射だけは妊娠中や授乳中に使用することはできません。
また、猫用のフィラリア注射もないため、妊娠中などの愛犬や愛猫のフィラリア予防に注射使えないため、別の種類のものを使うようにしましょう。
オールインワンタイプは注意が必要
フィラリア注射は妊娠中の愛犬に使えないということはおわかりいただけたでしょう。
その他にも、チュアブルタイプやスポットタイプを使う場合でも注意が必要になります。
オールインワンタイプの場合はフィラリア予防のための有効成分以外に、ノミやマダニなどさまざまな寄生虫に対して効果を発揮するものがあります。
そうしたフィラリア予防以外の効果を持つ有効成分の安全性に関しても調べておく必要があります。
調べるのが大変、本当に使用しても問題ないのか不安な場合には、動物病院で相談するようにしましょう。
妊娠中は体調が変化しやすいので注意
妊娠中や授乳中であっても使えるフィラリア予防薬を使用すれば問題ないと思えます。
ですが、そもそも妊娠中は体調が変化しやすいため、フィラリア予防薬を投与して副作用があらわるケースはゼロではありません。
そのため、妊娠中の愛犬や愛猫へとフィラリア予防薬を投与する場合は、妊娠中で使える種類の薬であっても投与後に副作用が出ていないかといった観察を十分に行うようにしましょう。
フィラリアに母子感染はあるのか?
妊娠中の愛犬や愛猫のフィラリア予防をしなければ、フィラリアが母子感染するのではないだろうか?といったように考えてしまう飼い主の方は少なくありません。
ミクロフィラリアが血管を通って寄生するからこそ、体内でつながっている母子で感染してもおかしくないと考えるのは当然のことといえます。
ここからは、そんなフィラリアの母子感染について詳しいく紹介していきます。
フィラリアは母子感染しないとされている
フィラリアの母子感染が心配という方に先ずお伝えすべきことは、フィラリアは母子感染しないとされています。
これはフィラリアの感染が蚊を媒介するためです。
そのため、妊娠中の愛犬や愛猫がフィラリアに感染してしまっていた場合であっても、子供にフィラリアが感染するといったことはないと考えて問題ありません。
ですが、出産後は蚊を媒介として感染するため、その点には注意が必要になります。
フィラリア以外の寄生虫は母子感染することも
妊娠中も投薬によって予防が可能なフィラリアは母子感染する可能性はないと考えても問題がないとお伝えしました。
ですが、フィラリア以外の寄生虫の場合は、母子感染してしまう可能性があります。
母子感染する寄生虫として代表的なのが犬回虫で、この犬回虫は妊娠中の母から子への胎盤感染のほか、授乳中の母乳を経由して母から子へ経乳感染する場合もあります。
そのため、妊娠中から出産後まで注意しておく必要があります。
母子感染する可能性がある寄生虫
フィラリアは母子感染する可能性はまずないと考えてよいとお伝えしましたが、それ以外の寄生虫は母子感染する可能性があるともお伝えしました。
そこで、ここからは実際に母子感染する可能性がある寄生虫について紹介してきます!
実は母子感染する寄生虫の種類は多いので、どういった症状が出るのかといったことを把握しておくことで、いち早く寄生に気づいて対処したりするのにも役立ちます。
犬回虫、猫回虫
既にお伝えしていますが、母子感染する寄生虫の代表となるのが犬回虫や猫回虫です。
胎盤、経乳で感染する寄生虫で、感染しても無症状なケースもあります。
また、便と一緒に体外へと排出された卵を口にしてしまったりしても回虫に感染してしまいます。
ですが、軟便や下痢、嘔吐などの消化器症状があらわれるようになったり、寄生している数によっては腸閉塞などが起きることもあります。
また、この回虫は人へも感染する可能性があるため、注意が必要です。
犬鉤虫、猫鉤虫
次に紹介するのは犬鉤虫や猫鉤虫です。
こちらの鉤虫も回虫と同様に胎盤を通してや母乳を通じて、母から子へと感染してしまいます。
更に、回虫と同様に糞便を介して感染する場合もあるため、注意しておくようにしましょう。
鉤虫に寄生されると軟便や下痢やそれに伴う出血がみられるようになります。
また、長期にわたって寄生されている場合、消化吸収不良や消化管出血によって鉄欠乏性貧血などの症状があらわれるようなり、子犬の場合は重症化しやすいので早期対処が重要です。
参考元:鉤虫(こうちゅう)症
犬糞線虫、猫糞線虫
母子感染の可能性がある寄生虫には糞線虫もいます。
糞線虫はペットに寄生した後、第一幼虫形態で糞便と共に体外へ排出されて経口感染や経皮感染、粘膜感染する場合があります。
また母親の母乳から子へと経乳感染するケースもあるため注意が必要です。
この糞線虫に感染すると、軟便や下痢などの症状があらわれます。
またそうした便中には血液を含んでいる場合もあり、子犬や子猫が感染すると重症化しやすく衰弱から死に至るケースもあります。
参考元:糞線虫(ふんせんちゅう)症
まとめ
こちらのページでは妊娠中や授乳中におけるフィラリアの予防についてさまざまな情報を紹介してきました。
フィラリアの予防は妊娠中や授乳中でも適切に予防薬を選ぶことによって可能ですし、妊娠中も適切に予防することによって母親がフィラリアに感染する可能性をゼロにすることが可能です。
基本的に、フィラリアが母子感染するといったことはないですが、フィラリア以外の寄生虫では母子感染するリスクがあるため愛犬が妊娠しているといったような場合には、そうした母子感染のリスクを可能な限り下げてあげることが飼い主の責務のひとつといっても過言ではありません。
愛犬や愛猫との笑顔にあふれる毎日を1秒、1日でも長く過ごすためには、こうした寄生虫への対策はとても大切なので、適切な知識をもって取り組むようにしましょう。