トール

トールは利尿作用のあるお薬です。
本来は人間用の治療薬ですが、犬や猫に対する有効性・安全性も確認されています。
なお、本剤はルプラックと同一の有効成分を含有しており、安価でありながら同等の効果を得られます。
先発薬のルプラックは実際に国内の動物病院でも処方されているため、安心してお使いいただけます。

心臓、腎臓、肝臓の機能が低下すると、体内に水分が蓄積されて浮腫（むくみ）が生じます。
余分な水分が貯まることで心臓をはじめとする臓器に負担がかかってしまい、心不全や高血圧症を起こします。
そのため、治療においては利尿薬で体内の余分な水分や塩分を排泄させることが基本となります。

トールはループ利尿薬と呼ばれるお薬です。
有効成分であるトラセミドは、主にむくみを取る作用があります。
トラセミドは腎臓へ働きかけることで尿細管での塩分と水分の再吸収を阻害します。この作用によって尿として排出される水分量が増え、体内の血液量が減ります。その結果、むくみが取れて血圧が下がるとともに心臓の負担が軽減されます。
優れた利尿作用があることから、うっ血性心不全、肺水腫、高血圧症といったむくみが原因の幅広い病気治療にお使いいただけます。
なお、本剤の投与開始時は排尿回数が増えるため、こまめなトイレメンテナンスを心がけてください。

また、トラセミドは効果の持続時間が長いため、1日1回での投与で効果が得られます。
さらに、カリウムの排泄が少ないため、同類の利尿剤と比べて副作用の低カリウム血症が起こりにくい特徴があります。