ビーナット

ビーナットは犬猫用における肥満細胞腫の治療薬です。
グリベック錠と同一の有効成分を含有しており、本来は人間用の医薬品ですが、現在では犬や猫の切除できない肥満細胞腫治療薬としても使用されています。

肥満細胞腫は腫瘍化した細胞で、主に皮膚や皮下で発生しますが、全身に転移してしまう可能性がある恐ろしい病気です。
なお、犬の皮膚腫瘍では最も多い発生率で、猫においても2番目に多い皮膚腫瘍と言われています。
内蔵や全身に腫瘍が発生した場合には切除が困難で、治療には抗がん剤が用いられます。

ビーナットは分子標的薬に分類されるチロシンキナーゼ阻害剤（抗がん剤）です。
有効成分であるイマチニブは癌細胞の増殖を抑制する作用があります。
がん細胞の増殖にはチロシンキナーゼと呼ばれる酵素が関与しており、チロシンキナーゼの働きを阻害することで活性化が抑えられます。その結果、肥満細胞腫、好酸球増加症候群、線維肉腫及び扁平上皮癌に対する抗腫瘍効果をあらわします。

ビーナットは特定の分子にのみ作用する分子標的薬です。
病気の原因と考えられる特定の分子へ直接狙い撃ちするため、効率的にがん細胞の増殖や転移を阻止することができます。正常な細胞へのダメージがほとんどなく、従来の抗癌剤と比べて副作用が起こりにくい特徴があります。

なお、肥満細胞腫の治療は治療期間が長く、先発薬のグリベック錠は価格も高いため、治療費用が膨らみます。
しかし、ビーナットはジェネリック医薬品のため価格が大幅に抑えられており、治療が続けやすくなります。